IMG_9722



「人的補償」は、明らかに「矛盾した」制度である。
そもそも「FA制度」は、「ドラフト制度」を補完するシステムとして導入された。

NPBやMLBのようなクローズドリーグでは、選手の獲得を「自由競争」にすると金満球団がいい選手をどんどん獲得して、リーグ戦はずっと強いチーム。弱いチームが固定されてしまう。
2リーグ分立から1965年のドラフト施行までの15年を見れば、セ・リーグは巨人が11回優勝し、パ・リーグは南海が7回、西鉄が5回優勝していた。この間優勝したのはセが巨人、阪神、中日、松竹の4球団だけ、パは南海、西鉄、毎日(大毎)、東映の4球団だけだった。
ドラフト制の導入以降に、その他の球団もすべて初優勝を果たした。日本のドラフト制度は完全ウェーバー制ではなく、不完全なものではあったが、それでも「戦力均衡化」という意味では劇的な役割を果たした。

IMG_0763




しかしドラフト制度は「好きな球団に入団する」という「職業選択の自由」を侵害していると言う議論が根強くあった。MLBの選手たちは「自由に移籍できる権利」を訴えてストライキをするなど抗議活動を行い「FA権」を確立させた。
日本の「FA制度」もこれに準じて導入された。その精神は「選手は自由に移籍することができるべき」というものだ。
MLBの場合、移籍先の球団は移籍元の球団に「移籍金」を支払う。またそれとともに「ドラフトでの上位指名権」も譲渡する。
しかしNPBの場合、ドラフトは完全ウェーバー制ではないので「指名権の譲渡」はできない。そこで大物選手のFA移籍に際して「人的補償」という制度ができたのだ。移籍元の球団は移籍先の支配下選手70人の内、プロテクトされた28人を除く42人の中から、獲得する選手を選ぶことができる。

「人的補償」は極めて理不尽だ。まず、どの選手がプロテクトされているかは選手に知らされない。ある日突然「人的補償になったから」と通告される。その上に、選手にはそれを拒否する権利はない。
フリーエージェント規約には
人的補償に指名された選手がこれを拒否した場合、その選手は資格停止選手となる
と明記されている。該当する選手はいきなり「移籍するかクビか」の決断を迫られるのだ。

この制度が「移籍の自由」を求めるFA制度の派生で生まれたのは、理不尽としか言いようがない。

ただ、この悲劇が「選手の移籍」が非常にネガティブな問題、と受け止められている日本球界独特の問題であることは、間違いがないところだ。

いずれにしても「人的補償」は、かなり不健康な制度だとは言えるだろう。

私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!

好評発売中!

81iaVJGAvhL._SL1500_


https://amzn.to/47hJdhC

2021年山本由伸、全登板成績【投手五冠にリーグ優勝に金メダル】

NOWAR