積雪は孰
マジで読めば読むほどロズワールなんで許された??ってなりますね
損得の話になりますし許した方がメリットあるってわかるんですけど
スバルくんの周り人殺し多すぎて面白いです
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『改めて考えっと名乗ってなかったな。俺様はガーフィール……あァ、ただのガーフィールでいいや。最強の男だ。よろしく頼むぜ』
『ああ、俺はナツキ・スバル……え?今、なに?最強って言った?素面で?』
『おォ、言ったぜ?なんか変なとこあんのかよ』
『いや、ぶっちゃけ正面から『自分が最強だ』とか言い出す輩がいると思ってもみなかったもんだから。それにしても、ちょっとでかい看板持ち過ぎじゃないか?』
『俺様が最強にふさわしくねェってのかよ?』
『めちゃんこ強いだろうってのは認めるけど、最強かどうかって議論をしようとすると……どうしても、俺の脳内にちらつく存在がいるからな』
「スバル……!」
ラインハルトが嬉しそうに笑う。
「最強を目指すならまずラインハルトを超えなければならないからね」
「さすがにむずかしいと思うよぉ?フェリちゃん的には」
『はッ、まァいいってことよ。てめェのその間違った考えも、いずれ俺様が自分の手で最強を証明して覆してやっからよ。せいぜい今は『赤い鼻した寒がりトドノス』みたいに思っておきな』
『なにと思っておけって言われたのかわかんねぇよ……』
『なぁ、さっきは聞きそびれちまったけど、お前はロズワールの知り合い……だよな』
『俺様の名前っぐらいは聞いたことあんじゃねェか?一応って頭につけっけど、俺様はロズワールの関係者じゃぶっちぎりで最強だからよ』
『要領を得ねぇ……有力者とか、聞いてた覚えがあるけど』
『『聖域』でロズワールに聞きたいことがまた増えちまった。問題解決するために動いてるはずなのに、問題が増えてる気配しかしねぇぞ、どうなってんの?』
『ロズワールに言われたこと鵜呑みにしてやがっから、そんな呼び方してやがんだよな。知らねェってのはともかく、知らせてねェってのはクソのやるこった』
『俺も正直同意見だけど、いないとこで陰口とか性格悪いにもほどがあるからやめとこうぜ。……つか、なんか気に触ったか?』
『そろっそろ、お姫様が目覚める頃だと思うぜ。結界からけっこう離れたっからよ』
「……大丈夫、?」
ずっと重々しい雰囲気に、嫌な予感が。
『だ、大丈夫だった、スバル?私、守るなんて言ってたのに倒れちゃって……ッ』
『なァ?言った通りだったじゃねェか』
『――誰!?言っておくけど、スバルには指一本触れさせないから』
「どっちが騎士かわからんのよ」
「だって、スバルより私の方が力は強いし……」
『あれはガーフィール。エミリアたんが倒れた直後に竜車に襲い……もとい、乗り込んできた。迎えってわけじゃないだろうけど、今は『聖域』まで同行中』
『ガーフィールって……この人が?フレデリカの言ってた人?』
『なんって言われてたのか気になっけど、それは後回しにしておくとしようぜ。そら、そろっそろ村に到着しちまうっからよ』
『歓迎するぜ、エミリア様とその御一行』
『ロズワールが『聖域』だなんて気取って呼んでやがる――半端者の寄せ集めが暮らす、行き詰まりの実験場の成れの果てへ』
「半端者……」
「ぐ、ッ……!」
息が詰まる音がする。
エミリアはその音に紫紺の瞳を燻らせる。
『俺様たち住人は『強欲の魔女の墓場』って呼んでっけどな。笑える話じゃねェか、えェ、オイ』
『辛気臭い雰囲気が漂ってるな……』
『そっうなんだよ。辛気臭ェ場所だろ?言っとくが、中にいる連中はもっと辛気臭ェぜ?どいつもこいつもしけた面しやァがって、生きてんのに死んでやがっからな』
『ボロクソ言いやがるな、お前。しかし、それ聞くとますます『聖域』ってイメージから遠ざかる。それこそ……』
『強欲の魔女の墓場、ってどういう意味なの?』
『魔女――基本的に、『魔女』と名のつく存在は嫉妬の魔女のことって周知されてる。他の大罪を冠した魔女のことなんて、ほとんど知れ渡ってないもの』
『え、そうなの?でも、四百年前から有名な連中だったんじゃなかったけか?』
『エミリア様の言い分で間違いねェよ。あー、スバルでいいか。嫉妬の魔女が有名すぎて霞むとかじゃねェんだ。嫉妬の魔女に食われた他の魔女の記録は、ほっとんどどっこにも残っちゃァいねェ。けどま、例外もあるっちゃァある』
『ここがそう、だっていうこと?』
『ま、まさか魔女教徒とかって各魔女ごとにいたりとかしないよね?大罪司教のひとりぶっちめるだけでどんだけ苦労したと思ってんだ、勘弁してくれ』
『おっかない話してますけど、その心配はいりませんよ、ナツキさん』
『魔女教……なんてあまり口に出したくもありませんが、彼らが崇めるのは嫉妬の魔女だけです。他の魔女は嫉妬の魔女以上に口に出すのもはばかられるってなもんです』
『嫉妬の魔女より……?どゆこと?嫉妬の魔女より性質が悪いってこと?』
『信奉する魔女以外の名前を聞いたとき、魔女教徒がなにをやらかすのかわからなくて恐ろしいってことですよ。南のヴォラキア帝国で、都市ひとつ壊滅した騒ぎをご存知ですか?』
「ヴォラキア……」
「強欲が関係している事件の話かしら?」
『『強欲』の大罪司教がひとりで、そのなんちゃら帝国の都市を一個落としたって話だろ。英雄がいても止められなかったとかなんとか』
『そのやらかした内容が派手すぎて印象が薄いんですけど、そもそもそれを魔女教徒がやった理由っていうのがおっかないんです。その都市は閉鎖的なヴォラキアでゆいいつといっていいぐらい交易が盛んな都市だったんですが……魔女縁の出土品が出たって噂があったらしくてですね』
『魔女縁、ね』
『モノがなんだったのかは今をもって不明ですよ。ただ、そんなものでも欲しがる好事家はいくらでもいます。それが嫉妬の魔女のモノだったっていうならただの悪趣味で済んだんでしょうが……結果は、都市がひとつ滅ぶに至りました』
『以来、嫉妬の魔女以外との関わり合いは、連中を刺激するということで御法度ということに。……それでも、裏で取引きする恥知らずは後を絶ちませんけど』
『珍しく毒吐くじゃねぇか。なんか、引っかかることでもあるのかよ』
『……大したことじゃありませんよ。当時のその都市に、親類がいて巻き込まれたってだけの話です。もう十五年以上前で、子どもだった僕には関係ない話ですが』
「…嘆かわしい限りですな」
「そうですね、強欲とは私も戦った訳ではありませんが、魔女教の恐ろしさについては理解しているつもりです」
『細かいこたァ俺様も知らねェ。っけど、ここが強欲の魔女の墓場だってのはジジイババアが『聞いた端から爛れるペロミオ』ってぐらい繰り返すっから間違いねェ』
『なにが爛れてんのか興味は尽きねぇけど、お前も詳しく知ってるわけじゃないのな』
『俺様は俺様が最強ってことにしか興味ねェよ。詳しい話が聞きたきゃそれっこそロズワールの胸倉掴んで聞き出すっきゃねェだろな。今、できるかは知らねェが』
『すみません。到着した様子なんですが、これそのまま中に入っても?』
『このまんま話も通さずに中入れたら、余所者の侵入者だっつってビビり共の総攻撃で『穴だらけのマグマリンが笑う』にそっくりになっちまう。話してきてやっから少しだけ待ってろや』
『ああ、頼む。っていうか、そういえばお前って『聖域』のための見回りとかそんな感じの立場だったんだよな。俺らと遭遇したときの状況からいって』
「ロズワール」
「何か〜ぁな?ベアトリス」
「ベティーからひとつ忠告するかしら、この先流れる映像に、消えた世界線が流れたとして、そこでお前がスバルに酷いことをしたなら、誰かに殴られても文句は言うんじゃないのよ」
「その禊は終わらせたと思っていたのだけどね〜ぇ?」
「それはそれ、かしら。たとえ魔法を使わずとも、ここにいるのは血気盛んでスバルを慕っているものが大半なのよ。それだけは覚えておくかしら」
酷く冷たい瞳と声で、ベアトリスは吐き捨てた。
『――戻ったの、ガーフィール。ずいぶんと早かったようね』
『森ん中を一周する必要はなくなったからよ。ロズワールの傍を離れてるなんざ珍っしいじゃねェか。いよいよ、くたばっちまったか?』
『仮にそれが現実になったなら、この場所は今頃は自暴自棄になったラムの手で焼き払われているはずよ。そうなっていないことをロズワール様に感謝しなさい』
『はぁー、あの人が話に聞いてたお姉さんですか。なるほど。当たり前ですけど、眠ってるお嬢さんとそっくりですね』
『――ラム!』
『どこのバルスか存じ上げませんが、ずいぶんと遅い到着で失望したわ。もっと早く異変に気付いてここへくるものと……ああ、バルスには無理だったわね』
『存じ上げませんって言うならその主張で通せよ、ころころ変えんな!あと、ロズワールもそうだけどわかり難いんだよ、お前らの求めてることって。当人にはあとで文句しっかり言ってやるけどな!』
『エミリア様も、よくいらっしゃいました。ロズワール様がお待ちですので、どうぞ奥の建物へ。ガーフィールは竜車と御者を適当なところまで案内しなさい』
『扱いが悪ィなァ、オイ!やる気にさせる頼み方ってもんがあるんじゃねェかよ』
『ラムの手料理が食べたいなら励みなさい。欠片もないチャンスを自分の失言と行いで無碍にするというなら、ラムはなにも言わないけれど』
『わァった!わァったよ!掴みどころのねェ女だ、そこがいいんだが。オイ、御者野郎。地竜と竜車を端に止めっからついてこいや』
「冗談に聞こえないかしら」
「冗談ではありませんから」
『やーぁ、エミリア様にスバルくん。ずーぅいぶんと、久しぶりな再会な気がするところだーよねぇ』
『まーぁずはご無事でなーぁによりでしたよ、エミリア様。ラムから屋敷周辺に起こった問題に関しては聞いていましたかーぁらね。あなたの身になにかあっては困ると、生きた心地がしませんでしたとーぉもぅ』
『そう思うならもうちょっとマシな準備が……いや、んなことより、お前の方こそなんだよ。これ、どういうことがあったんだよ』
『ありゃーぁ、そーぉれを聞いちゃう?わーぁたしもこれでも男なんだよーぅ?こうして醜態をさらしているだけでもプライドが傷付けられているんだから、そっとしておいてほしい気持ちもわかってもらいたいものだーぁけどね』
『そんなわけにいかないでしょ。ホントにどうしたの、ロズワール。こんなにケガして……それも、あなたがなんて』
『どーぉこから話したものかーぁねぇ。まーぁ、私の負傷に関しては名誉の負傷であるとか、体面上仕方なくといった意味合いが強いとお答えしますがーぁね』
『そうやって、回りくどい言い方で逃げようとするのはやめて。私は真剣に聞いてるの。ロズワールも、真剣に答えて』
『……どーぅやらエミリア様も虫の居所がよろしくないご様子。そーぉれも、この場所では仕方のないことかもしれませんけーぇどね』
『ざわざわって、心が落ち着かないの。ここっていったいなんなの?『聖域』なんて呼び方をしてたけど、私には全然そう思えない。それならここは……』
『魔女の墓場、の方がずっと納得しやすいですかーぁね』
『待て、一度聞きたいことを整理しよう。今のままだと、話の方向がしっちゃかめっちゃか動いてまとまりゃしねぇ。結論が一個も出なくなっちまう』
『おーやぁ?しばらく見ない間にずーぅいぶんと仕切りがうまくなったじゃーぁないの。スバルくん、なーぁにか心境の変化でもあったのかーぁな?』
『そのあたりを話し出すと長々と語ることになるから、その辺はこっちの聞きたいことが終わったらまとめて自慢するよ。あ、そうだ、一個だけ』
『クルシュさんとの同盟は成ったぜ。ラムから聞いてるだろうけど、これで俺を置き去りにしたのには満足かよ』
『――満足だーぁとも。やーぁはり、君は拾いものだった』
「……」
エミリアたちが言葉をつがないまま、スクリーンだけが進む。
ざわざわとした違和感は依然と胸にあり。
『まず、アーラム村の人たちだ。ラムが無事だったからそこは大丈夫なんだろうけど、避難してきた人たちは無事なんだろうな』
『安心していーぃとも。この体たらくで信用がないかもしれないけど、わーぁたしも領主という立場だーぁからね。領民を守るために体を張るぐらいのことはさせてもらいましたとも。皆、この村の大聖堂で生活してもらっているよ』
『大聖堂、ね。そこの追及は後回しにして、そうすると次は……』
『この場所の話、聞かせて。ロズワールは『聖域』って呼んだ。でも、ガーフィールは『強欲の魔女の墓場』って呼んだ。どっちが本当なの?』
『どちらも本当ですよ、エミリア様。この場所はかつての強欲の魔女――エキドナの最後の場所であり、私にとっては聖域と呼ぶべき場所です』
「エキドナ……」
エミリアが口に出す。
ベアトリスの表情がどこか固くなる。
『強欲の、魔女……嫉妬の魔女に滅ぼされたっていう、別の魔女のことよね』
『えーぇ、そうですとも。今や世界の歴史のいずこにも、彼女の名前は残されていない。わずかに、彼女その人を知るものたちの思い出の中以外には』
『待て待て待て、今の話はおかしいだろ』
『俺の記憶が確かなら、強欲の魔女……ってのが嫉妬の魔女にやられちまったのは四百年前だろうが。この場所が四百年前の魔女の最後の場所ってのは納得してもいいとして……お前がその本人を知ってるってのは、いくらなんでも』
『わーぁたし自身が知っている、とは言ーぃやしないとも。これは代々メイザース家……ロズワールを継ぐものにのみ伝わる口伝のようなものだーぁからね』
『口伝って……それじゃ、メイザース家のずーっと古い頃の当主が、強欲の魔女と関わり合いがあったってこと?』
『――エキドナ』
『え?』
『どーぅぞ、彼女を呼ぶときは名前を。『強欲の魔女』だなんて呼び名、いかにも邪悪な雰囲気がしてよくなーぁいでしょう?長ったらしいですしね』
『えと、わかったわ。それで、そのエキドナの最後の場所がこの村で、この村を代々メイザース家が管理してきた……そういうこと?』
『えーぇ、そうなります。管理、というほど手がかかったわけではありませんがーぁね。ここはエキドナの影響が色濃く残っていますから、正式な手順を踏まずに足を踏み入れることもできやしない。エミリア様たちが入ってこれたのは……フレデリカあたりの協力があった、ということでしょう』
『ここがエキドナの墓場で、お前の管轄下ってのはわかった。その上でわからないのはここの役割と、村人含めてお前らが戻ってこない理由だな』
『こっちが言うのもおかしな話かもしれないけれど、ずーぅいぶんとあっさりと受け入れるもんだーぁね。ここが魔女の墓場で、わーぁたしはそれを内密にしていたっていうのにね』
『嫉妬の魔女ならまだしも、エキドナって魔女がなにをしたのか俺は知らないしな。ぶっちゃけ、俺以外の人たちもほとんど知らない部分なんだろ?魔女って字面だけで悪人だって考えるのは短絡的だと思うぜ。ハーフエルフって字面だけで、エミリアたんがこんな可愛いのが想像できるかよ』
「スバル……」
「本当に調子のいいやつかしら」
『見ない間にかなーぁり距離が縮まったようじゃーぁないの。王都で喧嘩別れになったときはどうなるもんかと思ったけど、うまくやったようだねーぇ』
『紆余曲折の果てにようやく手に入れたイチャラブだけどな。自慢してぇのは山々だけど、話がそれっから戻して答えてもらうぜ。この場所の役割と、戻らない理由』
『素人っぽさが抜けて頼れる感じになっちゃって、もう。さーぁて、そーぉれで私や村人が戻らない理由だけど……単純な話、戻るに戻れないからってとこかーぁな』
『戻るに戻れない?』
『今、わーぁたしたちは全員、この村の住人たちに軟禁されている状況なんだよね。あーぁ、ここに入った時点で、君たち二人もおんなじ立場なーぁんだけど、さ』
「大将……」
「スバル、……」
この先に襲いかかる苦難は、もはや目前にあった。