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同時多発的な災厄/Novel by 春風

同時多発的な災厄

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フォロワー200人超えてますね!?
ありがとう!ごめんね!
Web準拠(+好きなアニオリ描写追加)でやってるのでアニメ派、書籍派の方とは少しだけ違うかもしれません!
ごめんね、ありがとう!

シリウスの口癖気持ち悪いけど癖になる…

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『レム……!レム、目ぇ開けろ……!』
『これは、駄目だろ……頼む、レム……お前が、いなくちゃ……』
『……スバ、ル……く』
『レム――!?』
『よか……ああ、俺だ。わかるか、スバルだ。レム、体は……』
『スバルくん……無事で、よかった……』
『魔獣……は、どうなって……』
『……落ちた。やっつけた。うまくいったよ。全部うまくいったんだ!俺も、ケガもなんにもなくて……全部、お前のおかげ……』
『そ……ですか。じゃあ、ロズワール様や、エミリア様……も、きっと大丈夫……』
『うまくやる。俺に任せろ。だからレム、今はなにも言わなくていいから休んで……いや、目……閉じないで……ああ、クソ、どうすりゃ……』
『痛い、ですよ。スバルくん……』
『ごめん。悪ぃ。でも、こうしてないと、お前がどっかに……』
『どこにも行ったり、しませんよ。……レムは、スバルくんの、傍に……』
『レム……?レム!頼む、レム……目、開けて……』
『なんだか、すごく眠くて……ごめんなさい。……少しだけ眠って、目が覚めたらまた……すぐに、スバルくんのために……』
『そんなのどうだっていいんだ!なにもしなくていい。ただ傍にいてくれたらそれでいいから……だから、頼むよ、レム……』
『わがまま、言って……いい、ですか?』
『……!言えよ、なんでも言え。なんだって聞くし、やってやるから……ッ』
『好きって、言ってほしい……です』
『好きだ』
『大好きだ。決まってるだろ……お前がいなきゃ、やっていけない』
『ああ……嬉し……』
『待てよ……』
『愛しています、スバルくん』
『ふざけんな、俺の傍にいろ。俺にまた、後悔だけ残していくのか!』
『笑って話す未来に、お前がいなくちゃ……俺は嫌だよ』
『その未来、レムも隣にいていいですか?』
『……当たり前だろ。他のどこにもいかせやしねぇ』
『お前は俺のものだ。誰にも、渡さねぇ』
『――言質、頂きました』
『へ?』
『スバルくんの隣はレムの予約済みです。……撤回は、できませんよ?』

「…いや、フェリちゃんたちは何見せられてるのこれ」
「スバルって、結構誰にでも好きって言っちゃうんだから」
「スバルくんは罪な人です」
「この後、スバルが怠惰をユリウスと倒して、それから…」
「?エミリア様?」
「…あっ、ううん!なんでもないの!」
「…エミリア、あとでべティーには話してみるといいのよ」
「別にレムが信用出来ないから話さなかったわけじゃないのよ?ベアトリス」
「…ただ、ちょっと違和感があって…」
「気にするほどではないくらいの、かしら?」
「そう、そうなの!だから、大丈夫よ」
「…そう、かしら。気になることがあればなんでも話すのよ、エミリア。エミリアを守ることはひいてはスバルを守ることに繋がるのよ」
「その理屈はちょっと分からないけど、分かった。ありがとう、ベアトリス」

『無事か、ナツキ・スバル』
『どうにかこうにか、な。クルシュさんも無事そうでなによりだ』
『私はな。だが、討伐隊の方の損耗は決して少なくない。白鯨を討ってなお、消えたものたちは戻らないのだから』
『白鯨の屍を運び出さなくてはならない。作戦の犠牲になったフリューゲルの大樹に対しても、なにかしらの処置は必要だ。戦いのあとにこそ、気が休まらない』
『運び出すって……あのでかい死体を?』
『できない、では話にならない。四百年、世界の空を泳ぎ続けた脅威だ。その屍という確かな証拠があってこそ、人心は真の安堵を得る。最悪、頭部だけとなる可能性もあるがな』
『あれ、ひょっとしてけっこうまずい後押ししてねぇ?』
『ずいぶんと暗い顔をするものだな。――白鯨を落とした英雄の顔には見えん』
『エミリアたんに開口一番裏切り者って罵られ……え、今なんて言った?』
『白鯨を落とした英雄、だ。――卿の功績を、そのまま当家の手柄の全てにするほど恥知らずではありたくない』
『此度の協力、感謝に堪えない。卿がいなければ白鯨の討伐はならず、私の道は半ばで潰えていたことだろう』
『い、いや……やめてくれって。俺、そんな大したことしてねぇし……』

「大したことですよスバルくん!!」
「スバルは褒められるのがすごーく苦手だから、照れてるだけなのよね」
「スバル殿の功績は他の誰も成し遂げないものです。胸を張って頂きたい。」
「ナツキさんはちょっと卑屈ですからね…」
「でも、そこが好きだと思っているのよ?」
「なんでちょっと食い気味なんですか怖いんですけど」

『白鯨の出現の時と場所を言い当て、討伐隊だけでは足りぬ戦力を整えるのに奔走し、士気が折れかけた騎士たちの覚悟を奮い立たせ、自らの身が危うくなる起死回生の献策をし、その上で見事にそれをやり遂げてみせた』
『我ながら頭おかしいとしか思えない活躍してんな……』
『獅子奮迅、では言葉が違うな。しかし、この戦いにおける立役者は間違いなく卿だ。卿の行いが軽んじられるのであれば、私は私の名誉に誓ってそれを正すだろう』
『ずいぶんと、評価が改善されたみたいでなによりだよ』
『謙遜することはない。そして、私の数日前までの見立てが大いに間違っていたところは認めざるをえまい。卿は、得難き幸いを運んできた。本来ならばその功績、当家に迎え入れて相応に報いたいところではあるが』
『忠誠とも忠義とも違うけど、俺の信頼はもう預けるべきところに預けてある。お前はいい奴だし、王様になってもきっとうまくやってけると本気で思うけど……』
『――俺は、エミリアを王にするよ。誰のためでもなく、俺がそれをしたいんだ』
『……わかっていたことではあるが、それなりに堪えるものだな』
『良いだろう。卿の功績には別の形で報いる。クルシュ・カルステンの名に誓い、その約束は果たされよう』
『思えばこれほど気持ちよく、誘いかけを断られるのは初めての経験だな。悩む素振りすら見せられないとは、いっそ清々しい敗北感だ』
『……お前は、すげぇ奴だと思うぜ。俺だってふらふらひとりなら間違いなく、その手を支えにしようって思うだろうさ』
『同盟の件は、よろしく頼まぁ。最終的にどんな状態になって敵対することになっても、それまではきっと仲良くやっていこうぜ』
『ナツキ・スバル。ひとつ、考えを正そう』
『雌雄を決する機会がきたとしても、私は卿に対して友好的であろう』
『いずれ必ず来たる決別の日にあっても、今日の日の卿への恩義を私は忘れまい。故に敵対するときがきたとて、私は卿に最後まで敬意を払い、友好的である』
『俺の心の一番目と二番目が埋まってなかったら、かなり危ないとこだった』
『ふ。女として、卿をどうこうというところまでは考えていない。いくらか琴線に触れる場面がないではなかったが、私自身の意思とは無関係にそれなりに高値なのでな』
『できるなら私はこのまま、負傷者と白鯨の屍を王都へ運びたいところだ。が、卿にはまだなにか使命が残っているようだな』
『……やっぱ、加護持ちにはわかるか』
『男児のその目を見ればようと知れる。加護の力など必要あるまい』
『卿も無傷ではないはずだ。それを押して、やらなければならないことか』
『重傷でもやらなきゃならねぇことだな。それをやってのけるための、ある意味じゃこの鯨狩りだ。言っちゃ悪いけどな』
『ほう、この白鯨討伐がついでか』
『当家との同盟も、それを考慮してのものだろう。なれば、求められている役割も思い当たらないでもない。……手が、必要か』
『必要だ。けど……正直、ここまでキツイとは思ってなかったから』
『こんだけケガ人が出てんのに、無茶は言えねぇ。クルシュさんにだって感情じゃなくて、当主としての意見があるだろ。この上で、手ぇ貸してくれとは……』
『ならばこの老躯、使い潰されるがよろしいでしょう』

「登場の仕方ッがカッコよすぎんだろォ!」
「いやほんと近くで叫ぶのやめてくださいよ!耳壊れるんですけど!」
「そんな簡単に人の耳は壊れないわよ」
「他人事だと思って!!」
「うるさい奴らかしら」
「スバルが活躍するのが嬉しいのよきっと」

『クルシュ様、お貸しいただいたものをお返しいたします。ならびに、此度の件、心より感謝を申し上げます。我が身の悲願が叶いましたのも、クルシュ様のご協力があればこそ。――ありがとう、ございます』
『私の目的と卿の悲願、互いに利害が一致しただけのことだ。――その剣は、今しばらくは卿が持っているがいい。このあと、丸腰では役に立つまい』
『は。ありがたく』
『ナツキ・スバル殿。此度の白鯨討伐、成りましたのは貴殿の協力あらばこそ。この身が今日この日まで、生きてきた意味を全うすること叶いましたのは、貴殿あってのことです。感謝を。感謝を。――私の全てにかけ、感謝を申し上げる』
『やれたのは、ヴィルヘルムさん自身の力ですよ。あの白鯨を倒そうって考えて、調べて、鍛えて、諦めないで戦って……』
『奥さんをすっげぇ愛してたから、白鯨を倒すまでいけた。その手伝いが少しでもできたってんなら、なによりです。こう言っていいのかわかんないッスけど……おめでとうございます。あと――お疲れ様でした』
『――感謝を』
『クルシュ様より、許可はいただきました。この身、スバル殿に預けましょう。存分に、目的のためにお役立てください』
『いやでも、マジで?』
『負傷者は搬送可能か。ならばフェリス、今はここまででいい。お前はこのあと、ナツキ・スバルに従い、同盟としての役割を果たせ』
『了解しました。フェリちゃんはこのままスバルきゅんに同行します。道すがら、ヴィル爺の治療もしなきゃですし』
『手間をかけますな』
『その分、ヴィル爺には剣を振ってもらわなきゃだしお相子じゃにゃい?』
『そんにゃわけで、大丈夫そうな討伐隊の残りの半数……二十人ちょっとかにゃ。それを連れてスバルきゅんに協力するネ。よろしくー』
『よろしくーって軽いな!いいのかよ!』
『なにが?』
『なにがって……色々だよ。お前、俺の判断とか信用できんのかよ』
『スバルきゅんを信じるんじゃなくて、スバルきゅんを信じようと思ったクルシュ様の判断を疑ってにゃいの。そこ、間違っちゃやーだかんネ?』
『あ、言い忘れてたけど、レムちゃんはお留守番……っていうか、クルシュ様と一緒に王都に戻らなきゃだから、わかってネ』
『レムなら、レムなら大丈夫です。スバルくんがこれからまだ危ないところに行くっていうのに、レムがいなくてどうして……』
『そんにゃこと言っても、体、動かないでしょ?ほとんどひとりで白鯨を迎え撃って、おまけに最上級の魔法まで何度も使って……レムちゃんのお体は今、限りなく消耗してスカスカ状態にゃの。治癒術師として、これ以上の無理をさせることはできませーん。おわかりかにゃ?』
『危ね。――おい、頼むからフェリスの言う通り、あんまし無茶すんなよ』
『スバルくんが困っているとき、誰よりも先に手を差し伸べるのはレムでありたい。スバルくんが道に迷っているとき、背中を押してあげる存在でいたい。スバルくんがなにかに挑むとき、隣にいて震えを止めてあげたい。それだけがレムの、それだけがレムの望みなんです。ですから……』
『それなら心配なんか、いらねぇよ』
『え?』
『手はいつだって繋いだままだし、背中なら何度も押してもらった。震えるのだって、お前を思うだけでどうとでもなる。――俺はお前にもう、ずっと救われてる』
『大丈夫だ、レム。全部丸ごと、俺がどうにかしてきてやる。俺はお前の英雄だ。その一歩を踏むと、そう決めたんだ。だから、なにも心配いらない』
『鯨狩りもやってのけた。お前の英雄は超、鬼がかってんだろうが』
『――はい。レムの英雄は、世界一です』

「…そっか、こういう経緯で村に来てたんだ…」
「心配はいらないと思うけど、不安かしら…」

ミミやリカードと合流し、地竜にのるスバルが顔をしかめる。
『――なんで、てめぇが』
『援軍に対して、ずいぶんな物言いをするものだな。相変わらず、君は』
『思ったより元気そうでなによりだ。――体の調子はどうだろうか』
皮肉混じりの言葉にスバルは眉を顰める。
『ああ、まあ、かすり傷だったし?唾つけときゃ治ったみたいな感じ?そっちの方こそ、援軍とか名乗るわりには出番が遅いんじゃねぇの?なに、素人相手にマジになっちゃったせいで、お偉いさんに提出する始末書書くのに忙しかった?』
『その話ではなく、魔獣討伐の名誉の負傷の話をしたかったんだが……そちらの傷も復調したようでなによりだ。もともと、見た目ほど派手な傷ではなかったはずなのでね。同情を買うのが得意な君は、大げさに痛がって転げ回っていたものだが』
『旧交を温めるのも良いでしょうが、今はそれどころではないのではありませんかな、お二人とも』

「もう!スバルったらそんな言い方しちゃダメでしょ!」
「なんて嫌な言い方かしら!べティーのスバルに…!」
「落ち着いてくださいベアトリス様。やるならバレないようにしましょう」
「目の前で不穏な会話をしないでください大精霊様…」

『礼を、言わなければなるまいね』
『――あ?』
『此度の白鯨討伐、本来ならば騎士団が負わなければならない重責だった。各国が長年にわたって放置してきた災厄に終止符を打ったことに、感謝を――』
『あくまで、白鯨の討伐はカルステン公爵の主導――クルシュ様のお手柄にゃんだから、そこは誤解しないでよネ。討ったのはヴィル爺、これも』
『わかっているとも。彼自身に白鯨を討つ力がないことなど、彼と直接に剣を交えた――ユリウスから聞き及んでいるからね』
『彼の存在が魔獣の討伐に大きな役割を果たしたことは間違いない。フェリス、それは君も正しく認めるところじゃないのかい?』
『にゃっ。それはぁ……そう、にゃんだけどぉ』
『君のおかげで、もう人々は霧に怯える日々を忘れることができる。――アナスタシア様も、大いに喜ばれることだろう』
『前半だけなら素直に受け取ったのに、後半も加わると素直にイエスしづれぇな』
『そして、我が友の長年の後悔も……節目を迎えることができる』

「ユリウス…」
「ユーリ、だよ。ラインハルト」
「…そうだったね」

『それでけっきょく、お前はなにがしたいんだよ。なにしに、きたんだ』
『――本当に、やってのけたのだね』
『ああ?』
『理解しているか問い質すが、アナスタシア様との契約関係にある『鉄の牙』は、白鯨討伐の間だけクルシュ様に……いや、君に貸し出されている』
『白鯨の討伐が成った時点で、我々の協力する理由はすでにない。お役御免というわけだ。――なのに今、君はなにをしようとしているのかな』
『引き上げるか援軍続行か、選べってのかよ、この場で』
『高値で売り付けるように、とご指示を受けているのでね。それとも、我々の力は必要ない場面かな?』
『霧……白鯨……街道と期限と、終わり……魔女』
『白鯨討伐はまだ、終わってない……ってのは、どうだ?』
『――面白い、発言だね』
『霧を生む魔獣である白鯨は、魔女教の手先だって可能性がある。それらしいことを言ってた奴がいたのを、俺は知ってるんだ』
『白鯨を暴食って、訳知り顔の奴が言った。それが事実だってんなら、アレが魔女教の手のひとつだってんなら……あいつが出たのは俺の行き先に関係あるはずだ』
『上等かましてくれた魔女教に落とし前をつけさせなきゃならねぇ。今回分と、四百年分まとめてだ。それをしてやっと、白鯨の討伐完了だろうが』
『雇い主が報酬ぶら下げて命令した仕事だぜ、途中で投げ出すなよ、傭兵。それとも、違約金払って手を引くかよ』
『――まずまず、及第点ということにしておこうか』
『へ?』
『もう少しこちらで聞こえがよくなるようにさせてもらいはするが、概ねは君の主張で通すとしよう。アナスタシア様の顔も、潰さずに済む』
『ちょ、ちょっと待て!』
『なにかな。傭兵団は協力を継続する。見返りはすでにアナスタシア様から支払われている通りだ。なんの問題もないだろう?』
『あっさり……っていうか、なんだよ、その物分かりの良さは!お前は……』
『俺が……悪い。クソ、悪かった。ああ、チクショウ。こんなこと言いたいわけじゃないんだよ。俺だってあのとき、俺の方が……』
何とか理性的な言い方をしようとスバルが顔を顰める。

「謝れてえらいですスバルくん!」
「いい子なのよスバル!」
「そう、スバルもついつい嫌な言い方しちゃうだけでわざとじゃないの!だから謝るのはすごーく大事。だからスバルはすごーくえらいわ!」

『俺が、悪かった。ごめん、謝……謝ります』
『こちらこそ、非礼を詫びよう。あのときの行いと発言の全てを撤回することはないが、それでも君を侮ったことだけは、心から』
『悪かった。けど』
『うん』
『俺はお前が大っ嫌いだ。――悪いと思ってるし、今きてくれたことには感謝もしてるけど、俺はお前が嫌いだ。本当に、心の底から、ものすごい、嫌い、だ!』
『それでいい。私も君と、友人になれるような気はなかなかしないのだから』

「スバルらしいのよ」
「スバルくんと友達になるには好感度稼ぎが足りませんね。また頑張ってください」
「評論家!?」

『あー、正直、こんな風に仕切ったりとかするの得意じゃないんで、そうやって真剣な目で見つめられると照れるというか……』
『とりあえず、まとめよう。あー、これから俺たちが向かうのはメイザース領……ってか、ロズワールの屋敷だ。そこにおそらく、いや確定的に魔女教が顔を出す』
『スバル。君は白鯨と魔女教の関係に、どうして気付いた?』
『忌々しいことに、魔女教徒に出くわした経験があってな。無事には済まなかった上に嫌な思い出満載だが……口滑らした奴がいた』
『そうか。……騎士団の推測は間違っていなかったわけだ』
『知ってたのか?』
『騎士団の方でも、それらしい話は出てはいた。もっとも、扱いとしては流言飛語の類……笑い話の次元であったけれどね』
『とりあえず、話を信じてもらえる下地があったってのは俺にはラッキーな話だ。ともあれ、魔女教の奴が言ったことを信じる……ってのもかなり信憑性薄く感じるが、白鯨があいつらと関係あるのは確かだと思う。もともと、魔獣ってのは魔女が作った生き物なんだろ?』
『そう言われているね。魔獣の存在や発生は得体が知れない。普通の生物のように繁殖している場合もあれば、白鯨のようにふいに湧くものもある。もっとも、白鯨のような例外は黒蛇と大兎ぐらいのものだがね』
『なんか聞き逃せない単語が飛び出した気がするけど、恐いから先進めていい?』

「大兎…聞きたくない単語かしら」
「…そうね、あれはもう、ほんとに…」
「エミリア様、大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫…」
頭痛を抑えるかのように頭を抱えるエミリアをレムが心配する。

『魔女教の狙いはエミリアで、奴らは屋敷どころか近くの村ごと焼き払う気だ。だからあの野郎どもを、どうにか追っ払わなきゃならねぇ』
『屋敷と村の連中を守れれば、今はそれでいい。魔女教を追い払うか、ぶっ飛ばすか、ぶっ潰すか、ぶち殺すか、ねじ切って引き潰して焼き払って粉々に……』
『わ、わかった。君の彼らへの怒りの程は十分にわかったから』
『――は!しまった。いや、違うぜ。別に怒りと憎悪をみなぎらせて戦いを覚悟してるわけじゃねぇ。エミリアたんに近づいたのもそれが理由だなんて邪推だ!』
『誰もそんにゃこと言ってにゃいけど!?』
『あれだけ自分犠牲覚悟の作戦で白鯨落としておいて、今さら誰がそんにゃ邪推するの?スバルきゅんてば、案外人間不信にゃとこあるよネ』
『人間不信もクソも……』

「人間不信…そうよね、あんな目に遭ったら普通はそうなっちゃうもの…」
「人間不信にしては、救いたい範囲が広すぎる気がするかしら」
「それがスバルくんの凄いところですよね」
「何がなんでもナツキさんの褒めタイムに繋げてくるなこの人…」

『魔女教が動く、という点に関してはもはや疑う余地はないだろう。彼らの活動からして、エミリア様が王選に名乗り出た時点でそれは予想されていた』
『ちょっと聞きたいんだけど、そのエミリアたんが名前出すと魔女教が動くだろうなって納得はどっからきてんの?けっこう、みんな受け入れてっから不思議なんだけど……魔女教の奴らって、実態が不明な部分が多いって話だし』
『魔女教が動くのを知ってるかと思えば、そういうこと言ったりしちゃうの?』
『時間もないんだ。ちゃきちゃきいこう。で、そこんとこどうなのよ』
『知らん側がそう仕切るのもおかしな話やと思うけど……あんな、魔女教が後生大事に信奉しとるんが嫉妬の魔女サテラや。これは、知っとるわな』
『一応、な。正直、そこも触りだけなんだけど、絵本で読んだ程度』
『実物見た奴なんぞほとんど残っとらんのやから当たり前やろ。ワイかて聞きかじりやがな。まぁ、魔女教徒がそのサテラを信仰しとるんがわかってたらえーわ。で、そのサテラっちゅー魔女がハーフエルフやったのは?』
『それも、まあ』
『エミリアたんの、その見た目の特徴が魔女とそっくりだってんだろ?でも、それはあの子を責める理由にはならねぇぜ。お門違いの逆恨みだ』
『大抵の奴はそうは思わん。サテラがしたんはそれだけのことや。で、魔女教の話に戻るわけやが……単純な話、あいつらはハーフエルフの存在が邪魔やねん』
『は?』
『なんでだ?普通に考えて……あんな奴らの普通な考えなんてトレースするだけですげぇ嫌だけど、普通に考えりゃ信奉する魔女と同じハーフエルフを迫害しようだとかそんな考え方には……』
『信奉し、これ以上ない存在だとそう思うからこそ、同じようで違う存在が許せないんでしょう。似ているのに違う、紛い物。――その存在が』

「…そうね」
エミリアの雪のような手を、ベアトリスが握る。
「!…ふふ、心配しなくても大丈夫よ、ベアトリス。私にはもう頼りになる騎士様がいるもの。もう、怖くなんかないわ」
「…そう、強くなったのよ」
「ベアトリスもね。スバルのおかげで」

『魔女教の大罪司教ってのは有名なのか?』
『そういう連中がおる、っちゅーことぐらいわな。昔、それこそ嫉妬の魔女が大暴れする前は、サテラ以外にも魔女がおったって話や』
『傲慢。憤怒。怠惰。強欲。暴食。色欲。――大罪の名を冠した六人の魔女、ですな。いずれも嫉妬の名を受けたサテラにより、その身を呑まれたという話ですが』
『魔女教の幹部、といっていいのかはわからないが、その立場にあるものたちは失われた魔女たちに代わり、その大罪の名を与っていると聞いている。嫉妬は、彼らの信奉するサテラの象徴だ。つまり、それ以外の六つ――六人の大罪司教が』
『『暴食』だったはずの白鯨は、俺らで落とした。別の大罪司教も、これから向かうメイザース領で面出すはずだ。魔女教、一気に傾けるチャンスだな』
『活動の兆しも見えないという意味では、騎士団も長く辛酸を味わわされてきた相手だ。私だけでなく、多くの騎士がそうだろう。機会が得られるのは、ありがたい』
『最悪、今の半数でやらなきゃならなかった作戦だけど、ユリウスが合流したおかげで人数的な不安は消えた。いけると思うぜ』
『ひとつだけ訂正したいのだが、私の名前はユーリだよ。確かにユークリウス家の長子とは親しくしているが、そこは気をつけてもらいたい』
『その設定公的な場面以外じゃ邪魔なだけだろ!そもそも別人を装う気が本気であるなら近衛騎士の格好とかしてくるんじゃねぇ!作り込みが浅いんだよ!!』
『それじゃ、これから猿でもできる魔女教狩りの簡単説明――始めるぜ』

「ユリウスって変なところでこだわりが強いのね?」
「…いや、あれはユーリです」
「まだ言ってるのよ…」

『魔女教の中でも特に有名なのは『怠惰』と『強欲』の二人だろうね』
『大罪司教の名前は知れているけれど、実際に彼らの活動資料で名前が上がるのはその二つだ。頻度は怠惰の方が多いが、被害の大きさは強欲の方が上だね』
『碌なもんじゃなさそうだけど……どれぐらい知れ渡ってんだ?』
『大罪司教『怠惰』は、魔女教が活動する場面での参戦率が非常に高い。およそ、魔女教が各地でもたらす被害の半分以上に『怠惰』の名前が関与している』
『一番槍を務めることに、並々ならぬ執着心があるのだと推測されている。『怠惰』を名乗るわりにはずいぶんと、勤勉な働き者であるのだね。――その活力の向かう先が異端の所業でなければ、といったところではあるが』
『でも、そんだけ頻繁に顔出してきてやがるのに、詳細わからねぇのかよ。騎士団で追い詰めたりとか、そういうことってなかったのか』
『基本的に、魔女教の活動は兆しすら感じ取ることはできない。起きた被害の現場にあって初めて、それが魔女教の行いだったと知れる、そういう輩の集まりだ。居合わせて命を繋ぐことすら、簡単な話じゃない』
『ちなみに怠惰トークが盛り上がったけど、もう片方の有名な『強欲』ってのは?』
『強欲は怠惰と違って、それほど報告例があるわけではない。なのだが、名前が残った事件の被害が大きすぎた』
『王国の南にあるヴォラキア帝国。その堅固さから城塞都市と呼ばれたガークラという都市を、攻め落としたんだよ。――たったひとりで』
『兵は常に精強たれ――その精神が国土に息づき、あの国は一兵卒ですら修羅のひとりです。そんな兵たちが守る城塞都市を、『強欲』を名乗る大罪司教はひとりで攻め落とした。ヴォラキアの英雄、『八つ腕のクルガン』すらも打ち倒して』
『クルガンとは幾度か剣を交えた関係でして。――あれは良い使い手でした。八つある腕の六本まで切り落とし、代わりに腹を串刺しにされた。互いに瀕死で痛み分けとして、決着はつかず終いになりましたな』
『さらっと壮絶な昔話が出た――!』

「強欲…あの人、そんなに有名だったんだ…」
「思い出さなくていいのよエミリア、エミリアの脳のりそーすはスバルの分に割いてあげるべきかしら」
「ふふ、そうね」
ベアトリスの不器用なフォローにエミリアは笑う。
スバルの死に様を見て心を痛めているエミリアを気にかけているのだろうか。
それとも、なにか気になることでもあったのか。

『怠惰に強欲。おまけにあと四つ……いや、暴食抜いて三つか。前途多難だ』
『――すでに先を見据えておられるのですな』
『嫌々だけどさぁ、可能性はだいぶ高いような気がして』
『必然的に、次の大罪なんとやらとぶつかる局面もくるだろうよ。……腹の立つ逆恨み展開だけど、ひとり倒したらダチ連れて違うのがくるのは不良漫画のお約束パターンだしなぁ』
『もうすでに、強欲の話聞いてぽんぽん痛いけどな。助けてくれ』
『まだきていない先の話で、そこまで消沈されると言葉にしづらいね。――スバル、今は目の前のことに集中すべきだ』
『わぁーってるよ。怠惰が目前で、ちょっぴりナーバスになってるだけだ』
『絶対にくるってわかってるのは俺だけで、そのタイミングも俺らが護衛に入ったらずれちまう。そうなったらもう、未来はわからない』
『なら、俺の知ってる未来に沿った形でうまくやる方法はひとつ――先制攻撃で一気に持っていく、のみ!』

「きゃーっ、スバル、かっこいいかしら!」
「スバルくん全員殺しましょう!」
「思わぬ形で好戦的かしら!?」

冷たい森の中で、スバルは走る。
黒いフードを被った魔女教徒に遭遇して。
『――お出迎え、ご苦労さん』
『そのあたり、聞いても答えてくれねぇんだろうな、魔女教徒』
『詳しい話はお前らの頭に聞くからいいとして……とりあえず、失せてろ』
『よくはわからねぇけど、序列的には俺が上なんだろ?頼むぜ』
『これでどっか別の国まで引っ込んで、二度と顔を見せるなって命令まで聞いてくれるなら楽ちんなんだけどな』
『――お待ちして、おりましたデス。寵愛の信徒よ』
『私は魔女教、大罪司教『怠惰』担当。ペテルギウス・ロマネコンティ……デス!』
『歓迎いたしマスよ、魔女に愛されし愛し子! 素晴らしい。素晴らしい。素晴らしぃぃぃぃぃぃぃっ!その身にまとう愛のなんと深きことか!その身を包む愛のなんと高きことか! その身を抱く愛のなんと熱きことか!この場において!アナタのような、ような、うなうなうなうなななな!寵愛の信徒が新たに顔を見せるとは!なんと、いと素晴らしきことか!』

「…気色悪い」
「聞いていて心地いいものでは無いのよ」
「スバルくんを、貴様のような下劣な存在と同等に扱うな…!」
「嫌な声」
みなが散り散りに、ペテルギウスへの不快感を露わにする。
「…スバル、大丈夫…よね?」

『大歓迎してもらって恐縮だよ。イマイチ、実感に欠けるとこなんだが』
『無理もないことデス!ワタシも始まりは突然だったのデス。誰しも、ある日を境に自分が『愛されている』ことに気付く。そして、一度気付いてしまえばもうその愛を手放すことなどできはしない。――愛こそ、全てなのデスから!』
『愛に!与えられた愛に対し!ワタシは、我々は、勤勉をもって応えなくてはならないのデス!故に試練、試練を与える。試練をぶつける。この世界、この時代、この日々に、この時間に、この一瞬に、この刹那に、ワタシが魔女の寵愛を受けたことに意味を見出すために、愛に愛に愛に愛に愛に愛に愛に愛に愛に愛にににににににににににぃいぃぃ!!』
『怠惰じゃ、いけねぇんだな。愛に誠実に報いるために、勤勉でなきゃ』
『その、通り――デス!!』
『あー、えっと、俺はこの場でそちらに合流……でいいのかな。なんか手続きとか、印鑑とか押さなきゃいけない書類とかある?実印ないから拇印でいい?』
『この場でワタシの傘下に加わるには、アナタの身に与えられた寵愛は色濃く出過ぎている気がしマスがぁ……これだけ芳醇な魔女の香りはワタシにすら与えられていないのデス。『色欲』や『憤怒』あたりならばさぞや羨むでしょうが……ひょっとして、アナタは『傲慢』ではありませんデスかね!?』
『傲慢……?』
『大罪司教の六つの席の内、『傲慢』のみがいまだ空席なのデスよ!相応しきものが現れるまで、大罪は揃うことがなかったのデスが……魔女因子はすでに次代の傲慢の下へ至っているはずなのデス。――アナタ、『福音』は受け取っていマスかね?』

「傲慢…」
「…大丈夫よね、スバル。」
その冠は、誤った世界を歩んだ彼の…

『『福音』の提示を。寵愛の、証を――』
『ワタシの福音に、アナタの記述はないのデス。さて、アナタはいったい、何故にこの場に現れ、訪れ、どういった意味合いをワタシにもたらすのデスか』
『その本のタイトルが『福音』だっつーんなら、アレだ。ちょっと色々とあって、その本は今は手元になくてさ』
『色々、デスか?』
『ああ。――鍋敷きに使って汚れたから、ばっちくて捨てた』
魔鉱石を、上へ。
ミミとティビーが、風圧を纏い来る。
『甘いの、デス!甘い甘い甘い甘いまいまいまいまいまいまいまいいいいいいいいいい!!デス!!』
『生き埋め上等だ。――てめぇらの行いを詫びて苦しめ』
『なんたる……なんたる、事を……ッ!!』
『ワタシの指先を……こうも、無残に、無慈悲に、無秩序に、無作為に、無造作に、無意味に、殺害して殺して滅殺してせしめるとは……ああ、ああ、ああ!脳が!脳が!脳がぁ……震える、えるるるるるるるるぅ』
『『怠惰』であれ――』
『あ?』
『なん、だ?』
ミミとティビーが崩れ落ちる。
『――てめぇ、コラァ!シカトこいてんじゃねぇぞ!お前の相手は俺だ!』
『……あぁ、そう、デス、ね』
『やはり、効き目がないのデスね』
『はぁ?』
『いいデス。いいのデス。――それで、良いのデス!デスデスデスデスデスデスデスデスデスデェェェェッゥゥゥゥッス!!』
『良いデス。わかったのデス!やりましょう、やるとするデス。ワタシとアナタと、どちらが寵愛に、愛に、魔女の情熱を受け入れるに相応しいか、競い合うとしましょう!ああ、愛に、愛に、愛にぃぃぃぃぃ!!』
『……盛り上がってるとこ悪いんだけどよ』
『なんデスかね!?今!まさに!ワタシは!自らの命運を賭け、試練に挑まんとするところで――』
『お前の相手は、他に任せてある』
木々の隙間を縫って飛びかかり、袈裟切りに落ちる刃がペテルギウスの右肩から侵入――左脇から飛び出し、その体を老剣士の斬撃が斜めに両断していた。

「?スバルにだけ技がきかない…?」
「嫉妬の魔女がスバルの心臓に寄生しているなら、ありえない話ではないのよ」
「寄生…とはまた少し違う気もしますが…」
「何にせよ、ナツキさんがこの局面を突破できるならそれで…」
「…これは、」
ヴィルヘルムのみが、瞳に陰を。

『その様子なら、どうやら無事にそちらも片付いたようだね』
『君の合図が空に上がった時点で、折悪く四名ほど外に出ていたところでね。仕方なく、潜伏場所の破壊と信者の始末を同時にやらざるを得なかった。この場にいたのが私でよかった、というべきだろう。フェリスでは少々、面倒になったはずだ』
『それで、大罪司教は?』
『ヴィルヘルムさんが首をはねて、リカードが胴体は叩き潰した。そのあと、小猫の姉が悪ふざけで死体も粉々に吹っ飛ばしたから確実だよ』
『ふむ、安心したよ。ヴィルヘルム様がそう仰るなら間違いないだろう。少なくとも、この場における魔女教の指揮官は打破できたようだね』
『お前、俺の答えを信用してなかっただろ!? 俺だって遊びじゃねぇんだからちゃんと目を皿のようにして確認したわ!むしろ二回も三回も見たわ!』
『すまない、謝罪しよう。と、謝ったところで切り替えていこう』
『お前が切り替えるんじゃねぇよ。そういうとこが嫌いなんだ!』

「猫みたいに騒ぐスバルくん可愛い…」
「まあ、スバルならやれると思っていたかしら!」
「不安そうな顔してたのに…」
「何か言ったかしらオットー」
「何も言ってないんで武力行使しようとするのやめてください」

『リカードの姿が見えないが、彼は?』
『あの似非コボルトならフェリスのお出迎えだよ。とりあえず森の中で戦闘の気配は現状ないってヴィルヘルムさんが言うもんだから、手分けして迎えに行った方が早いと思ってよ』
『ま、そうならないためにフェリスのとこには実力者を集めてもらったしな。これでいくらあいつが回復特化型で攻撃方面はてんでダメでもどうにか……』
『わざわざ気遣ってくれちゃってア・リ・ガ・ト♪』
ふ、と耳に息をかけられて手足がピンと伸びる。

「スバルくんっ…!!スバルくんが…!」
「そんなに顔青くすることないのよ…?」
「スバルくんの純潔が…!」
「そんな仰々しい話だったかしら!?」

『ホントに誰得だよ、これ。やめろ、マジやめろ。振りじゃねぇぞ、次にやったらその可愛い横っ面に必殺パンチぶち込むからな。ビッグバンインパクトするから』
『もう照れちゃって、きゃーわいいんだから。心配しなくても、スバルきゅんのフェリちゃんはちゃーんと戻ってきてあげたからネ』
『全員、無事に合流……失敗したとことか、ないよな?』
『ここを含めて、戦闘が二ヶ所で発生したようだけれど、問題はなしだ。さすがはヴィルヘルム様の旗下で鍛えられた方々だ。地力が違う』
『魔女教の大半は壊滅ってとこだが……問題は、あと二つのアジトが見つかってないことだ。頭は潰したから、楽観的に考えれば手を引くと思うけど……』
『相手は魔女教や。普通に考えるんわ、やめといた方がえーやろな』
『森を探って、残りの魔女教も狩り出そう。皆殺しにしようって乱暴な話じゃないけど……少なくとも、捕まえてみる価値はあると思う』
『自決される可能性が高いとは思うがね。……これまでもずっとそうだった』
『殺さずに済むのなら、そうするのがいいに決まっている。捕縛を最優先に、残りの教徒を捜索するのは賛成だ。だが、ロズワール様に事の次第を伝えにいってもいい頃合いであるとも思うが、どうだろうか?』
『……ああ、そっか。そうだよな』
『俺、屋敷に戻っても、いいのか……』
『こうしよう。ロズワール様の屋敷に向かうものと、このまま森の中の魔女教を捜索する二つの組に分かれる。屋敷へは使者として、なにより関係者としてスバルが向かうべきだろう。道中、魔女教に襲われないとも限らない。ヴィルヘルム様と、数名が護衛につけば十分。残りは私やリカードを筆頭に森の探索、どうだい?』
『それでいこう。ユリウスの手筈通り、みんな頼む』
『わかりました』
『私はユリウスではなく、流れの傭兵のユーリだ。そこだけ間違わないように』
『もう今さらその設定誰も覚えてねぇよ!!』

「屋敷に…あれ?」
「この、流れは」
エミリアとラムが違和感に気づく。
「スバル…これ、違う…?」
エミリアの記憶と齟齬が生まれる。
それはつまり。
「スバル…また、死んじゃうの?」

Comments

  • Apollo

    なんか春風先生のコメントの「ごめんね、ありがとう」がちょっと憤怒してる感じがある、

    Apr 14th
  • レイラ
    January 10, 2025
  • ピース

    ビッグバンインパクトwww

    December 14, 2024
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