light
The Works "優しい人に許されただけ" includes tags such as "Re:ゼロから始める異世界生活", "リゼロ" and more.
優しい人に許されただけ/Novel by 春風

優しい人に許されただけ

2,787 character(s)5 mins

スバルくんは自分を殺した相手に散髪頼めるので意外と神経図太いですよね。
彼は「殺してきたとしても少しでも善意を見せられたら助けなきゃいけない!」くらいのぶっ飛び思考持ってそうですよね。
リゼロで1番イカれてるのはスバルくんのような気がします。
大罪司教よりも。

1
white
horizontal

スバルが、発狂している。
ラムとレムの顔を見て、それが増す。

「...スバルくん...」
もうレムには、泣く気力すらなかった。
レムの顔を見てスバルは怯えた。
それは、当たり前のこと。
スバルは優しくて、自分の傷より人の傷を見れる人だから、それをひた隠しにしてきただけ。
「...レムを、許さないでください...」

『エミリアたん、聞いて欲しいことがある』
死に戻りを打ち明けようと、スバルが口を開く。
ず、と黒い手のひらがスバルの心臓を掴み、口に出すことを許さない。

「...スバル、もしかして」
エミリアは、今まで不自然に押し黙ったり苦しみ出すスバルを思い出す。
そして、彼にかけた言葉を。
「...言えない、から?」

『面が辛気臭くなっただけじゃなく、ずいぶんと濃くなっているのよ』
スバルは死に戻る度に魔女の匂いが濃くなる。
それは、レムに殺意を抱かれることと同義で。

「...違う、スバルくんが死んでみんなを助けようとしてるなんて、そんなこと知らなかったから...!...魔女の匂いが...」
全て言い訳にしかならない。
それでも、それを言わなければレムは壊れる。
レムは分かってしまうのだ。
魔女の匂いが濃いスバルを、自分なら殺してしまうことに。

ベアトリスにスバルは明後日の朝まで護って欲しいと頼む。
『気持ち悪い。自傷癖まであるなんて、救いようのない変態かしら』

「...この、頃から...。...ベティーはなんて怠惰なのかしら」
スバルは優しいただの少年だ。
自分の死に耐えられるわけじゃない。
ただ、自分の死より人の生を選んだだけ。

『――汝の願いを聞き届ける。ベアトリスの名において、契約はここに結ばれる』

ベアトリスは絶望する。
この契約をベアトリスは知らない。
つまり、
「...スバル、お前は、あと何回死んでしまうのよ...?」

スバルはご飯を食べず、窶れていく。
『毒が入っているんじゃないだろうか。』
そんな心の声が聞こえる。

「...スバルくん、ごめんなさい...レムは、取り返しのつかない過ちを...」
レムが呆然と呟く。
ラムも少し顔を顰め、目を背ける。
「...身内を疑うのは、辛いことだな」
ユリウスが言う。
他人に殺されるより余程辛いと、思う。

『優しくするのにも、親しく振舞うのにも、そのままでない裏がある。』

スバルの心の声が、レムを追い詰める。
「ちが、うんです。そんなつもり、ぁ」
スバルはレムの行いに怯え、人間不信になっている。
それなのにスバルは、どうしてレムに笑えるんだろう。

スバルが悪夢を見る。
痛みが、苦しみが消えてくれない。
それが、ふと消える。
手を繋がれているぬくもりに。

「...スバルくん、レムは、あなたの隣にいていいんですか?」
悪夢にレムの姿が映った。
それは、スバルがレムを恐怖の対象としてみている何よりの証拠だ。
もしかしたら今もそうなのか、と嫌な疑問がレムを襲う。
「...ごめんなさい、ごめんなさい...!」

そこから流れる映像は、絶望としか呼べなかった。
スバルが生き延び、レムが死に、スバルは死に戻りのペナルティで話せない。
それによって怪しまれ、追い詰められる。
そして、逃げる。
『仕方、ねぇじゃねぇかよ……!俺になにが……俺だって!』
その叫びは悲痛な声だった。

「...スバル、ずっと、そうだったの?話せなくて...だから...」
エミリアはスバルの哀しみに胸を痛める。
「...何ともまあ、厄介な運命を背負ったものだ〜ぁね」
ロズワールは嗤う。
「...レムのせいですね、レムが、不必要にスバルくんを追い詰めたから...」
がくん、と膝から力が抜け落ちる。
スバルの泣き声が、「お前のせいだ」と、レムを怨んでいるようなきがして。

『死ねば……』
『ああ、そうだよな。死んじまえば、変わる』

「...ダメですよナツキさん、その道だけは」
「...スバル殿、貴方は、ただの子供なのです。そんな痛みを背負えるほど、子供の背中は広くは無い。」
スバルの弱さを、そこから転じる強さを知っている。
だからこそ危ないのだ。
スバルは人のために首を掻き切る危うさを秘めている。
それは、自殺志願者よりも余程...。

羽根ペンを喉元に突き立て、スバルは恐れに震える。
死への恐れにスバルは怒り、自己嫌悪に唇を噛み切る。

「...当たり前だよネ。英雄だなんだって持ち上げられても、中身はただの子供だもん。死ぬのが怖いとか、殺してきたやつが怖いとか、そんなの当たり前なんだよ」
大人だろうと怖いけど、と言外に付け加える。

魔獣にスバルは襲われる。
どこまで行ってもスバルは嫌われ者だ。
スバルの悲痛な叫び声が、死にたくないと思う気持ちが、スクリーンを飛び越えてくる。

「...スバル!お願いだから、もっと自分を大切にして!...あなたがいなきゃ、私は笑って明日を生きられないの!」
「スバル!死にたくないって、そう思うことは当然なのよ!」
いつもスバルのかっこいいところを見てきた。
幾度の死に、数え切れない死体を足蹴にして辿り着いた最速の最善。
その下にある死体を、エミリアたちは知ってしまった。
「...お願い、スバル...」

『――ようやく、気がついたのよ』
ベアトリスがスバルの元へいる。
契約はまだ終わっていないと、子供のような屁理屈を並べて。
ベアトリスはスバルに逃げろと言った。
だが、スバルはそれを受け入れない。
泣き声を聞いたから。
スバルの悪い癖が出ている。

「...スバル、お前はまた死ぬつもりなのよ。自分を殺した人間のために。」

ラムが追いつき、風魔法を繰り出す。
スバルは気づく。
あの時スバルを殺したのは、ラムだった。

『あなたに、ラムと、レムの、なにがわかるって言うの!?』
『なにもわからねぇよ、知ろうとしなかったからな。肝心な部分はなんにも知らないまんまだ。だけどなお前らだって、知らないだろうが』
『なにを......』
『俺が!お前らを!――大好きだってことをだよ!』
叫び、スバルは崖の方へ走る。
『待って――!』

「ダメ!!スバル!!」
「...死なないで!!!」

『...俺にしかできないことだ!』
崖を飛び、宙へ舞う。
『絶対に殺してやる』
その言葉への答えは。
『絶対に、助けてやる』
崖の上から身投げして、スバルは命を投げ出す。
それも、死への秒読み時間を持ったまま。

「...!スバル...」
「...大馬鹿者かしら、お前は...殺意に、そんな真っ直ぐな善意を返すなんて...」
「...スバルくん、レムは...」
哀しみに、怒りに心を病ます暇はなく、ナツキ・スバルはリスタートする。

Comments

  • 雨のち晴れ猫

    この時のラムの心境を知りたい

    May 2nd
  • シャナ

    ヤバい読んでたら口元がずっとニヤけるヤバいこれ

    October 27, 2025
  • 純愛しか勝たん

    涙と興奮が止まらなくてペテルギウス顔負けの醜い顔してる

    August 13, 2025
Potentially sensitive contents will not be featured in the list.
© pixiv
Popular illust tags
Popular novel tags