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英雄はいつだって自己犠牲/Novel by 春風

英雄はいつだって自己犠牲

4,318 character(s)8 mins

今回は少し急ぎ足になってしまいました。
まあ、原作読んでる人なら行間読んでくれると信じてますよ!!
平和パートはなるべく早めに終わらせようとしてますが、シリアスパートも全部書いたら長いので必要そうなとこだけにしてます。
コピペよりも反応多めの方がいいと助言をいただけたので!!!
うれしい!
それはそうと、2話見ましたか?
こちらはまだ見てないです。
予告のスバルくんが可愛かったので楽しみです。
次の更新は来週になりそうな気がします。
気長にどうぞ待っててください。

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メンタルの回復したスバルがエミリアやラム、レムと会話を交わす。
エミリアを含んだ周辺にシャマクをかけたことによりレムに警戒されたようだが。
ベアトリスの助言により呪いの元となる人物が村にいることを悟ったスバルがラムレムと共に村へ降りる。
呪いの元となる犬へ噛まれて。

「スバル...!」
ベアトリスがガタッと立ち上がる。
死なないとわかっていても、迂闊な行動は怖いものだ。

ロズワールが屋敷を離れ、スバルは呪術師が村にいることを確信する。
ベアトリスのところで呪いにかかっていないか聞き、『本当に呪われている』とベアトリスに驚かれる。
『単に術式を見ただけじゃそれはわからないのよ。呪術に関してはベティーも見識は深くないし、知りたいことでもないかしら。ただ、十中八九、命を取られる類のものになるのよ』
動揺一つしないスバルにベアトリスは驚く。
『肝が据わっているのよ。死ぬのが恐くないのかしら?』
『は?バカじゃねぇの?死ぬの超恐ぇよ?この世で死ぬより恐いことなんてそうそうねぇよ。死んだ方がマシとか、そんな言葉はぜひ死んでから言ってもらいたいもんだね』

「スバルが言うと、シャレにならんのよ」
同時に、何回も死んだスバルにこの質問をした自分に恨めしい気持ちが湧いてくる。

ベアトリスがスバルを解呪し、スバルは呪いの正体に気づく。
『村に、行かねぇと――!』
『どこまでもどこまでも……ふざけやがって!』
呪いをかけたのを人だと思っていた。
呪いの正体が犬だったなんて、スバルは想像もしていなかった。

「...!スバルくん...」
「...スバル...」
不安そうにみながスクリーンを見つめる。
死なないにしても、彼は毎度大怪我をするからだ。

ラムレムを説得し、スバルがレムと村へ降りる。
『到着です。スバルくん、平気ですか』
『早いな、さすが……あとは、村の状況を……』
『お屋敷のお二人じゃないですか。こんな時分に……』
『ちょうどいいところに。なにかあったんですか?』
『実は、村の子どもが何人か見当たらなくてですね。暗くなる前まで遊んでいたのはわかってるんですが、そのあとが……』
スバルは焦る。
見当たらないのは犬と一緒にいた子達だろう。
スバルは森へ走り、
『俺は先に森に入る。あんたはみんなに伝えてくれ。子どもたちは森だ!』
と叫ぶ。
『どうして、そんなことが……』
『わかるんだよ。森の奥で、ひとりぼっちで鳴いてたのをみっけたって、俺は二回も聞いてたんだから――』
『森の中っていっても、範囲が広すぎます。スバルくん、心当たりが……』
『ガキ共の言葉が確かなら、こっちの方に……』
『――結界が、切れてる』

ベアトリスはロズワールの方をぎろっと睨む。
「...よくもまあこれだけの事をして双子にいい顔をできたものなのよ。厚顔無恥なのは厚化粧のおかげかしら?」
「...スバルくんの記憶を辿るなら、私が糾弾されることも想定済みだ〜ぁよ」
「開き直るんじゃないのよ。全てがお前の仕業なのだから、スバルが死ぬのは間接的に言えばお前のせいのようなものなのよ」
「...それは何ともまあ、重い罪を着せられてしまったね〜ぇ」
「...?」
レムはよく聞こえなかったのか、少し首を傾げる。
「...聞かなくていいわ、レム」
「...はい、姉様」

『ロズワール様が不在のこの機に、狙ったようにこんな問題が起きますか?これがお屋敷を狙ったものでないなんて……』
『じゃあ、どうする。現在進行形でピンチなのは間違いないガキ共を見捨てて、屋敷に戻って防御固めるか。次の日に、村人全員が死んでてもいいってんなら、それも手だろうよ』
『レム、行こう。俺たちで、どうにかしてやるしかない』
『どうしてそこまで……スバルくんに、この村がどれほど関係が……』
『... 関係ないなんてことあるかよ。俺はあいつらの顔も名前も、明日やりたいことも知ってんだ』
スバルは、根っからの善人では無い。
テレビのニュースで凄惨な事件の報道を見ても、字面の上での数字がどれほど大きくても、それが身近でないのならひと眠りしたあとにはすぐ忘れるほど薄情だ。
だが、身近な人が死ぬとわかっていて、見捨てたら生きられるとわかっていても、そう出来ないのだ。

「...スバルくん、貴方がそこまでする、必要なんて...」
スバルの優しさはよく知っている。
だから、時折それが怖くなる。
彼は、相手が誰であっても懐に入れてしまいそうで。

レムがスバルの言葉に少し押し黙り、やがて諦めたように隣を歩く。
その可愛らしい見た目にそぐわないモーニングスターを持って。
​───────​───────​─────
衰弱した子供をみつけ、スバルがレムに子供を連れて森を降りろと告げる。
ご丁寧に指切りまでして。
『俺はレムりんを信じてるよ。だから、レムりんに信じてもらえるように俺も行動したい。そのための約束を、今しよう』
『約束、しましたよ。――本当に、色々と聞かせてもらいますからね』

「レムを、信じてる...」
スバルの紡いだ言葉は酷く残酷だ。
レムがスバルを信じていないことも彼はよく知っていた。
その上で、彼は優しくレムに笑えたのだ。
彼のそれは、優しさをゆうに超えた...
ある種の、狂気とも言える。

森の奥で魔獣を見つける。
それも、意識を失った女の子の近くで。
逃げればいい、とスバルの心が嘯く。
だが、スバルはそれが出来ない。
魔獣を倒し、安堵した矢先に何体もの魔獣に囲われる。
スバルが出来るのは、女の子を守るために立ちはだかることくらいだった。

「っ...!」
スバルの痛ましい叫びに、エミリアは顔を顰める。

レムが駆けつけ、モーニングスターで魔獣を一掃する。
それで勝てればよかったのだが、多勢に無勢、勝てるわけもない。
腕の中の少女を死なせないために森を走るが、後ろのレムが傷だらけで倒れているのが目に付く。
『レム!』
そう叫ぶと、倒れたレムの体がゆっくりと起き上がる。
その額に、1本の角を光らせて。

「……鬼」
初めて見た、とどこからか声が聞こえる。
レムの記憶には薄い、正気を失ったレムの姿。

一瞬隙の生まれるレムの背中に、魔獣が飛びかかる。
『――――ッ!』
音もなく、レムを突き飛ばす。
全身を魔獣に噛み砕かれて。

「スバルくん!」
己の過ちが、己の心臓を潰すような苦痛となる。
「……手を、伸ばせば……」

『死なないで、死なないで、死なないで――!』

『うんうん、素直なのはいいことだ。それに今回は君もそれだけのことをした。それで君が倒れたとあってはあまりに浮かばれない。だからいいってことだよ』

『――あと半日もしない内に、お前は死ぬのよ』

流れるように、スバルの危機は再来する。
「…魔獣に沢山噛まれたから…!」

『思ったより動じていないかしら。もっとピーピー泣き喚くものと思ったのよ』

『呪いのリベンジか』
『ウルガルムの群れにやられたときに、ごっそり植えつけられたようなのよ』
解呪出来ないほどに絡みついて。
丁寧に呪いとそれによる死の説明をベアトリスはする。
『お前、恐くないのかしら?』
『は?』
『ベティーのこれは、お前にとっては余命宣告なのよ。そして、ベティーとにーちゃはお前を助ける手段があるのに、時間がないのを理由にそれをしない』
ベアトリスはなおもスバルに説明する。
スバルは呪いが多すぎて対象が絞れない。
パックが手伝えばエミリアに呪いがバレる。
なら、スバルがすべきことは。

『――ああ、二人ともこんなところに。悪いんだけど、レムを知らない?』

『どういうこと?バルスの呪いは解呪されたはずじゃ……』

『……あの青髪の娘を連れ戻すってことは、自分の命を諦めるってことなのよ。お前はそれが理解できているのかしら?』

「……スバル...」
エミリアはスバルの呪いについて、全く知らなかった。
流れていく映像から、スバルがレムを助けに行くまでの軌跡を知ることは出来たけど。

『言ったでしょう、風の魔法が少し使えると。風の刃で四肢の腱を切って、喉を塞いで絶息させただけよ。――長く苦しませるつもりはないもの』

『なにをやらせてもあの子の方がずっと上でも、ラムはあの子の姉様だもの。その立場だけは、絶対に揺るがない』

『バルス――!レムがいたわ!』

景色は流れ、レムと合流する。

「…本当に魔獣って沢山いるのね……私も、何かお手伝いしたかったけど」
「...スバルはスバルなりにエミリアのことを考えていたのよ。滅多なことを言うもんじゃないかしら。」

レムは正気を失い、スバルを巻き込みながら魔獣を殺す。
スバルはラムを抱えた状態でその攻撃を避ける。
『レムを鬼たらしめているのは、あの角だから……一発、強烈なのを叩き込めば……それで、戻ってくる……』
ラムが放ったその言葉。
あの状態のレムに接近できる気はしない。
『でも、きっとお前は怒るし』
『それで妹が正気に戻るならラムは怒ったりしないわ』
『ロズっちに誓って?』
『……そこを選ぶとは命知らずね。ええ、ロズワール様に誓って』

「...スバルくんは、妙なところで頭の回る子だ〜ぁよね」
「スバルは普段おちゃらけてるだけでやる時はやる男かしら。お前より余程。」
ロズワールが口を開くとベアトリスがきつい言葉で返す。
やはりこの映像を見ていることにより怒りが増しているようだ。

ラムを、思い切りレムの方へ投げる。
レムが気を取られているうちに、踏み込み走るが、恐怖に足が1歩足りなかった。
『ビビっちまったぁ!あと一歩、勇気が足りんかったぁ!!』
空振りして勢いで身が回る。
背中を向ける寸前、視界の端を貫手に構えられるレムの左手が見えた。
それが真っ直ぐ突き出されるだけで、スバルの胴体に綺麗な風穴が開通する。
またしてもレムの手で――それだけは嫌だ、と唇を噛み切った直後、足下の地面が爆発し、発生した土砂流がスバルの体を大きく吹っ飛ばしていた。
それはまさしく奇跡で、レムの頭からスバルを失念させ、スバルに勇気を与えた。
『笑え、レム。――今日の俺は、鬼より鬼がかってるぜ』
甲高い鋼を打つ音が、魔獣の森に鋭く響き渡った。
直後、着地失敗による、無様なスバルの悲鳴も伴って。

「スバル!」
「スバルくん!」
ぱあっと顔が綻ぶ。
「...全く、運のいい男だわ」
そう言うラムの顔は、ほんの少しだけ笑っていた。

Comments

  • シン
    November 9, 2024
  • 小説好き
    October 29, 2024
  • ヒロ

    最高!

    October 11, 2024
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