"副首都法案"巡り与党が再び対立 「都構想とは別物」自民で異論、維新は3度目の住民投票目指す
高市早苗政権が今国会での成立を目指す「副首都」法案を巡り、自民党と日本維新の会の間で再びバトルが起きている。3月末、両党が合意した法案骨子のある文言が引き金。維新は看板政策「大阪都構想」実現のため、3度目の住民投票を目指す構えを見せて動きを活発化させる。対する自民は「副首都と大阪都構想は別物だ」と、以前からの異論が再燃する事態だ。 ■「副首都」法案の主な内容【画像】 11回に及ぶ両党の実務者協議を経てまとまった骨子では維新が求める副首都に加え、自民が推す「首都中枢機能代替地域」設置も決めた。双方歩み寄った形で法案提出まで手続きを進めるはずだった。
新たな火種は、骨子の付則に盛り込まれた「大都市地域特別区設置法(大都市法)改正」。骨子合意の翌日、維新の吉村洋文代表(大阪府知事)は付則を根拠に高らかに宣言した。「大阪市を廃止する特別区設置と、大阪『都』への変更を同時に問う住民投票を大阪府全域で行うことができることになった」 意味するところは何か-。大阪市民を対象にした都構想を問う住民投票は過去2度否決されており、維新関係者は「これまで通りの枠組みでやっても都構想は実現できない」とみる。住民投票の対象を、大阪市廃止に抵抗が少ないとみられる府民に広げ、賛同を得る思惑が見え隠れする。両党の関係者によると、付則は維新の要求で入ったという。吉村氏は来春の統一地方選に合わせて住民投票を実施する意向も示す。 ◇ 維新側の動きに神経をとがらせる自民は、関西選出議員を中心に反発を強める。5月27日に、大阪市議会が設置を決めた都構想の制度設計をする法定協議会(法定協)に対し、自民市議団は不参加を表明。「職務放棄だ」と、吉村氏から市議団が非難され、火に油を注ぐ。
2日後、党本部では内閣第1部会などの合同会議で副首都法案の法案審査が始まった。関西地盤の議員から「大阪都構想のための法案になった」「連立相手に足元を見られて譲り過ぎだ」と批判が相次いだ。松川るい府連会長は「大阪市のことを大阪府民が決めるのは住民自治を定める憲法92条違反に当たる恐れがある」と強調した。 合同会議を仕切る議員は「このまま法案を出しても国会でもめる」と、修正に含みを持たせる。別の自民幹部も「副首都と大阪都構想を切り離せばいい」と、維新の譲歩を暗に求める。
一歩も引かない維新中堅は「(骨子合意で)もう結論が出ている。自民にはこらえてもらわな」と折れる気配を見せない。 維新側と法案内容を練ってきた自民の実務者は1日、党本部で対応を話し合ったが、次の合同会議の日程さえ決まらなかった。自民と同じタイミングで法案審査を始めた維新は着々と議論を進め、強い反対意見も出ていないという。 大阪だけでなく、福岡なども指定に意欲を示している副首都構想。国会会期末まで2カ月を切る中、政権幹部は維新への“配慮”を見せつつ、静観する。「今の内容のまま法案を国会に出してもらうしかない」
西日本新聞社