【前編】「視覚でひらめく」人々の驚きの思考法と、新たな才能の世界

2023/08/04

2つの思考タイプの異なる世界

 視覚思考者の立場から、言語思考タイプの特徴がどのように見えているのか、両者の違いはどこにあるのかあげてみよう。

 言葉による思考は、つながりがあって一つにまとまっている。おもに言語思考をする人は物事を順序立てて理解する。だから学校では成績がいい。学校での勉強はたいてい連続していて体系化されている。

 言語思考タイプは一般的な概念を理解するのが得意で、時間の感覚に優れているが、方向感覚は必ずしもいいとは言えない。子どもならプリントをきちんと整理してバインダーにはさみ、おとなならコンピューターのデスクトップにフォルダーを項目ごとにきれいに並べる。問題に対して講じる対策を明確にして、解決や決定にたどり着く。声に出さずに自分の心に語りかけ、自分の世界を構築する。メールをさっと書き、そつなくプレゼンをこなす。小さいときからよくしゃべる。

 そもそも、口の達者な人は会話を仕切る傾向があり、やたらと几帳面で、社交的だ。言葉を巧みに使いこなす能力が必要な華やかな職業に就き、出世するのもうなずける。教師、弁護士、著述家、政治家、企業の管理職などだ。たぶん、みなさんもこういう人を知っているだろう。のようにコメントして番組は終わる。

 私たちは、おしゃべり文化の中で暮らしている。言語思考者は宗教やメディア、出版、教育で世論を支配している。放送の電波やインターネットは言葉であふれ、宗教指導者や評論家、政治家はその大部分を占領し、ニュース解説者は「番組の顔」と呼ばれる。主流の文化は口の達者な人に有利で、言葉がものを言う世界なのだ。

 一方、私のような視覚思考タイプは頭の中でイメージを見るから、高速で連想する。一般に地図や絵画、迷路が好きで、道案内がまったく不要なこともよくある。一度しか行ったことのない場所を簡単に見つける人もいる。頭の中のGPSが目印を記録しているのだ。

 視覚思考タイプは子どものころに話しはじめるのが遅く、学校や従来の教え方では苦労する傾向がある。代数が苦手なのは、あまりにも抽象的で、視覚化できる具体的なものがないからだ。そのかわり、建設や組み立てのような実際の作業に直接関係する計算が得意だ。私は、機械の装置が動く仕組みを簡単に理解し、新しい装置を考え出すのが楽しい。問題を解決するのが好きで、しばしば人づきあいが苦手に見えるらしい。