シンガポールを理解する鍵 ー綿密な都市計画により作られる「ハートランド」とは
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エリア内で生活が完結できるよう開発された「ハートランド」
シンガポールは政府が国土の90%を所有しています[1] 。そして、1965年の建国以来続く安定した長期政権もあり、将来を見据えたビジョンに基づいた都市計画がなされています。
独立以前のシンガポールは、プランテーションや養豚場などで働き、下水設備のないトタンの家などに住む労働者が多く、住環境は良好とは言えませんでした。
国民に衛生的な住居を供給することを考えた政府は、1950年代ごろ、都心部に出ずとも住民が便利に生活できるよう、公団住宅(HDBフラット)、医療施設、学校、商業施設、スポーツ施設などを備えた衛星都市のような居住エリアを郊外に作ることを計画します。それらは「ハートランド」と呼ばれ、政府の綿密な計画により、国内各所に次々作られました[2] 。
・ 主なハートランド
・ 政府によるハートランド開発計画概要
国民の財産HDBの価値を守るための施策
政府機関が開発・管理する分譲型の公団住宅HDBフラット(詳細はこちら)は、国民の財産ですので、政府は不動産価値が下がらないように心がけています。
2007年に政府は「Remaking Our Heartland (ROH)」構想を発表し、単なるHDBの老朽化対策にとどまらず、地域コミュニティの再活性化や生活の質の向上を目的とした包括的な再開発政策を進めています。
ROHでは、「住みたくなる街づくり」を重視し、住宅の外装改修や公共空間の整備に加え、商業施設の刷新、交通アクセスの改善、緑地や広場の整備などを行っています。
また、2010年代後半からは、古いHDBが目立つようになったハートランドにデザイン性の高い新しいHDBを建設し、都市景観の向上を図る取り組みも進められています。
加えて、シンガポール政府は住宅のライフサイクル全体を見据え、以下のような複数の制度を組み合わせ、施行しています。
Selective En bloc Redevelopment Scheme(SERS):ポテンシャルの高い立地の物件を対象に、老朽化したHDBの住民を近隣の新築住宅へ移転させて土地を再開発。
Home Improvement Programme(HIP):主に築30年を迎えた住宅を対象に、老朽化した箇所の修繕や設備をアップグレード。
Enhancement for Active Seniors(EASE):高齢化社会に対応するため、HIPの一環として、段差解消や手すりの設置など、高齢者が安心して室内移動できるよう提供される住宅改修補助。
ハートランドこぼれ話
ローカルのシンガポール人と話していて面白いのが、世代によって住んでいる場所に傾向があること。これは政府のハートランド計画によるものだと考えることができます。年齢層が高い人は結婚当時に開発が進められていたエリアに、若い独身の人は親の世代が新婚だった当時に開発された地区に住んでいる人が多いのです。
例として、若い既婚のシンガポール人はセンカン地区に、シンガポール人と結婚している50代くらいの日本人はブキバトに住んでいることが多い印象です。
[2] https://www.roots.gov.sg/stories-landing/stories/queenstown-the-queen-of-housing-estates/story
※ トップ画像はOur LIVINGSPACE Gallery展示より。


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