去年、東大理系女子になってしまった
初めまして。免許合宿での空き時間に耐えかねて常々やってみたいと思っていた文章を書くということに手を出します。衒楽器と申します。
今日2月26日は国公立大学二次試験の二日目、昨年私の受験が終わった日です。今年の問題はどうだったのだろう、と思わないこともないですが、入試数学はトラウマ的な記憶で調べようという気すら起きません。毎年のごとく調べて今年は難化だ易化だなんていう人がいますが生粋の受験強者なのでしょうね。個人の感想でいえば二度と見たくありません。
「東大生なのに/東大に合格しているのに受験がトラウマ?」と思われる方もあるかもしれませんね。私は現役合格な上滑り止めもすべて合格していますが、受験も(何なら入学式も)良い思い出とはいい難いものがあります。実際に東大生として生きざるを得なかったこの一年間について、稚拙ですが備忘録的に書いていこうと思います。
受験当日の記憶
さて、もう今年の入試は終わってしまいましたから今年の受験生には間に合いませんでしたが、入試当日のことを書いていきますので来年以降の受験生の役に立つ部分もあるかもしれません。
初日、国語と数学だったと思います。何度も模試を受けていたのはたった一年前だというのに科目すら自信をもてませんね。相当忘れたい記憶なのでしょうか。理系の受験会場は本郷キャンパス、確か工学部あたりで受けたと思います。模試で薄々気が付いていましたが、女子、少ないです。女子枠に軽率に反対する人がいますが、受験者数を増やす取り組みは何かしら必要と言わざるを得ません。男子の合格率が高いわけでは全くないと思います。女子、少なすぎです。だからでしょうか、行きでNHKにインタビューへの解答を求められましたが、受験前の受験生に話しかけに行くメンタル、尊敬します。後々触れようと思いますが、東大生も負けず劣らないメンタルを持っている場合が多いので意外と捕まえられるのでしょうね。私は全力で拒否、見送ってくれた父を盾にしました。それから、鉄緑会ののぼりがたっていて講師陣が生徒へ激励を飛ばしていました。嫌な文化だ、と部外者の私には威圧にしか見えないものでした。
会場について隣の席の男の子は見たことのある制服、渋々(渋谷教育学園渋谷)だったと思います。超進学校にビビりつつ、最初は国語、得意科目だったので落ち着いて解けたと思います。鏡像段階の話で、私としては使い古されたトピックだなと思ったので期待外れでした。最後の二分ぐらいで急に現代文の解答がクリティカルではなかったのでは?と不安になり、半泣きで解答用紙を提出しました。後の得点開示では56/80でしたのでかなり高得点だったと思います。2025年度の国語は易化だったと思いますが。
昼休み、騒がしいな、というのが第一印象です。それもそのはずで、東大受験生のボリューム層は開成や麻布、日比谷などの受験生が三桁を超える進学校と、鉄緑会の生徒です。教室に数人は友人が紛れているわけですね。対して私は高校から理科二類の受験者は一人だったので知り合いがいるわけもありません。国語なので答え合わせの言葉が飛び交うようなことは大々的にはなかったものの、非常に居心地が悪かったのを覚えています。男子トイレが長蛇の列、女子トイレがスカスカな様子も異様に映りました。もし、似た境遇で東大受験をしようという方がいれば持ち物欄に「ノイズキャンセリングのイヤホン」を書き足しておいてください。メンタルを確実に守ってくれるはずです。
続く数学が大問題、というのも超苦手科目だからです。夏の冠模試では12/120を叩き出しているのでどうしようもありません。第一問、絶対にとける難易度なことだけはわかりました。つまり、解けなかったわけですが。最後に曲線の面積か何かを求める問題だったと思いますが、必死で求めた式の因数分解ができない。この式、違うかもしれない。この問題は落としたら終わりだ。とりあえず次へ次へと書けることは書き、第六問まで見た後に戻ってきたんだと思いますが、やっぱりできない。こんなに時間をかけていいのか?でも他もできないのに。やばい。第二問が出来そうな見た目をしていたのもよくなかったのだと思います。
苦手すぎる教科と得意すぎる教科は易化にも難化にも気が付けないものですが、難化していたようですね。易化した(みんな解けているのでは)と思った私の感触は何だったのか。実際は37/120、逆にどこで37点ももらったのか、いまだに謎に終わるテストでした。
英語についてはこれといって記憶がないので書きませんが二日目の得意科目の理科で化学が過去問と大きく傾向を変えてきた衝撃が忘れられません。あそこでペースを崩された人も多かったのではないでしょうか。
帰路について
テストの終了と同時に教室を出ると、門のあたりはすし詰め状態で息すらしづらかったのを覚えています。地方の子たちは保護者の出迎えも多く、そしてまた男子のグループを何個も見かけることになります。
初日の帰りに「俺5完かな」(数学の大問を一問完答するごとに、「完」といいます。理系数学は大問六つ構成です。)なんて声が聞こえて震えたのを覚えていますが、これ以上ここにいては明日に響くと思ったのが先か、こころの逃避行動が先か、東大の横の通りから二本奥の住宅地を一人でとぼとぼと帰りました。その日のことはもう考えず、ただ馴染みのない土地で一人歩くという寂しさだけでした。(逆に言えば二本も奥に入れば人がいないので落ち着いて帰れます。ご参考までに。)
二日目の帰りでは解放感もあり東大の横を通りましたが、謎の医学部用の塾がフランスだかイタリアだかのチョコレートを配っていて戦慄しました。東大は踏み台でしかないのか、という世界の広さに気が付くとともに、受験ビジネスはどこまでも浸透するのだなとある種の感動を覚えました。学費値上げ反対のデモと、何かの宗教と、共産主義者までそろっているあの通りはなかなか壮観でしたね。受験生の邪魔になるので控えてほしいとは思いますが、ご興味があれば眺めに行ってみるのもいいものかもしれません。
受験も学歴もグロテスクだ
ここまで、なんだ、ただの受験記録かと思われた方が大半でしょう。ただこの二日間にこの後私が東京大学に入学して直面することになる現実が集約されていたのでした。
家庭環境、文化資本、ジェンダーギャップ、受験ビジネス、メディアの在り方、高学歴獲得のための進学校への中学受験、東大生の精神
日本という国の最高学府たる東京大学。そこで何を感じたのか。学生生活を一年経て感じたことを、文章として文字に起こす練習もかねて書いていこうと思います。読んでくださる方がいるなら、最高の動機付けになりますので是非ご一読くださると幸いです。
自己紹介
自己体験に根差して書くことが多いかと思いますので、最小限の情報だけをまとめておきます。
東京大学理科二類、2025年度入学
好きな言葉はどうせやるなら前向きに。恩師の受け売りです。
出身:東京 都立校卒業
性別:女


中身の詰まった充実感の濃い文章ですね 楽しみにしています
すごい! 強者の文章!! ご本人は努力の結果で(実際そうだと思います)、生まれながらの才能とか環境とかのおかげだけではないと思ってらっしゃるでしょうが(実際それだけではなく努力の結果だと思います)、 言葉の端々から賢さと精神力の強さが垣間見えます! かっこいいです、強くて賢い女…