【時代を映す制服 学校編】 (下) 《茨城・時代を映す制服 学校編》(下) 伝統 団結力を生む誇り 安全や暑さに対応も
「生徒から制服を気に入っているという声をよく耳にする」。茨城県立水戸商高の岡野敏昌校長はこう語る。
主に男子生徒はスタンダードな詰め襟の学ラン、女子生徒にはブルー系のダブルのブレザーを採用。いずれも長年愛用されている「伝統の制服」だ。
ブレザーは、1964年の導入当初からデザインベースは変わらぬまま。学ランを含め、制服を見直す大きな動きは見られなかったといい、岡野校長は「生徒の愛着度の高さの裏返しではないか」と推察する。
制服は運動のユニホームと同じように「帰属意識を強くするツールの一つ」とし、「水戸商の生徒としての誇りや自覚、団結力に一役買っているのでは」と分析。学校にとっても「象徴、イメージ」としての広告塔になり得るという。
県立水戸三高も「伝統のセーラー服」を採用し続けている。白と紺を基調に、セーラーカラーと呼ばれる逆三角形型の大きな襟が特徴。約100年前の開校当初から変わらない、県内でも「印象的な制服の一つ」として認知されている。
「親も三高出身で同じ制服を着ていたと、うれしそうに話す生徒もいるようだ」と野田浩太郎副校長。親子だけでなく、祖母も含めた3世代で同校のセーラー服を着用した例もあるという。世代を超えたエピソードに触れることができるのも「伝統ある制服の醍醐味(だいごみ)の一つ」(野田副校長)。
近年はブレザー・スラックスタイプの制服も導入し、選択の幅が広がった。伝統のセーラー服との「新旧融合のハイブリッド型」という新たな制服の歴史が紡がれつつある。
▽部分的改良
制服を変える理由は、学校によって異なる。近年は個性や多様性を反映した「フルモデルチェンジ」をする例が見られるが、デザイン性はそのままで部分的に見直す「マイナーチェンジ」を行うケースもある。
県立水戸工高では十数年前、下校中の生徒の自転車事故が立て続けに発生。いずれも夕方から夜間にかけた時間帯の事故だった。
事態を重く見た同校は、安全対策を狙いに制服の一部を改良した。視認性を高めるため、校章やボタンに反射材を使用。夜間でも認識しやすいようスラックスやスカートにも光る素材で刺しゅうラインを入れた。
変更後、大きな事故はなくなったといい、同校は「制服が事故防止の観点から重要な役割を果たしている」と評価する。
▽機能性重視
暑さ対策や機能性を重視する動きも見られる。県内の学校制服を取り扱う京成百貨店(同県水戸市)によると、夏服の主流がワイシャツからポロシャツに変わりつつあるという。同店は「ポロシャツは汗を素早く吸収して乾燥させる吸汗速乾性に優れ、肌がひんやりと感じる接触冷感タイプも好まれる」と説明する。
暑い時期が長くなったため、年間を通して着用できるオールシーズン型の制服が増え、同店は「夏服冬服の区別がなくなりつつあるのも特徴の一つ」とトレンドを読む。家庭で洗えるウォッシャブルタイプの採用も進んでいる。
公立中では、詰め襟の学ランやセーラータイプからブレザーを導入する学校が増える傾向が見られる。通気性やストレッチ素材など機能性を重視したり、価格を抑える狙いで制服を見直す例もあるという。
ブレザー化、機能性重視、ジェンダーレス…。同店は「ここ20年で制服のトレンドがガラリと変わった。学校制服は時代性を反映している」としている。