「本当の×印はどれ?」「“次へ”ボタン偽装」…ITジャーナリストも引っかかる“UI悪用広告” 不快でも乱発の背景に識者「何でもいいから数字を追求」
リスクあるのになぜ?…背景にネット広告特有のロジック
不快な広告を出せば、広告主にとってはマイナスであるはずだ。なぜこのようなリスクを負いつつも、そこまでクリックさせたがるのだろうか。EVeMのチーフインパクトオフィサー・滝川麻衣子氏は、その背景にはインターネット広告特有のロジックが関係していると述べる。 「中長期的には、利用者がメディアに対する不信感を抱いたり、広告を出している会社やサイトに対して『もうそこにはなるべく行かないようにしよう』という気持ちになる。ただ、インターネット広告には特有のロジックがある。インターネット広告は、クリック率(CTR)やコンバージョンレート(CVR)など、ユーザーの行動が数字で可視化できてしまう。そのため、とにかくその数字を追求するというところに最適化してしまう」(滝川麻衣子氏、以下同) 「ポイントなのは、クリックした人の気持ちまでは数値化されていないことだ。騙されてクリックして『ムカつく』と思っているのか、本当に興味があってクリックしたのか、どちらも同じ『1クリック』になってしまう。そうなると、短期的に成果を出さなければならない資本主義社会においては、何でもいいから数字を上げるということが目的化してしまう」
「UI悪用広告」の背景にメディア側の苦しい“懐事情”?
滝川氏は、こうした「UI悪用広告」が排除できない理由として、メディア側の苦しい“懐事情”を次のように明かす。 「メディアや広告を載せなければ運営できないサイトとしては、本当は質の良い広告を扱いたい。しかし、中身までコントロールできる高額な広告がバンバン売れるかと言えば、メディアの力が下がっている中でそんなことはない。そうなると、アンコントローラブルであっても、短期的に収益化できるバナー広告を入れざるを得ない台所事情がある。『うちは良質な広告しか載せません』とは言えない立場になっているのが現状だ」 「UI悪用広告」が拡散しつつある現在の状況を受け、ジャーナリストの西田宗千佳氏は今後のウェブ全体について危機感を示す。 「ウェブは一般的に広告で成り立っている。広告自体は問題ではなく有用なものだが、『間違えたクリック自体を誘導する』広告は広告価値を持っていない。もはやウェブの記事を読みたくなくなってしまい、ウェブに大量の記事や有用な情報が掲載されるという仕組みを危うくする」(西田宗千佳氏) (『わたしとニュース』より)
ABEMA TIMES編集部