本渡楓のキュアット解決!
放送中のアニメ「名探偵プリキュア!」(ABCテレビ・テレビ朝日系、日曜朝8時30分)のキャストが月に1度、思いを語る連載「キュアット解決!」。
今月は、名探偵をめざす少女・小林みくる、そしてキュアミスティックを演じる本渡楓さんです。まずは、「名探偵コナン」と共演した第18話(5月31日放送)の裏話から、語っていただきました。
相棒のキュアアンサーは、アニメ「名探偵コナン」にも登場します。登場回の放送は読売テレビ・日本テレビ系で、6月6日午後6時から(一部地域を除く)。
◇
台本に初めて「警部」
「名探偵コナン」とのコラボを知ったのは、アフレコをする数週間前でした。キャストの一部に、プロデューサーの荒牧壮也さんから「実は……」とお話をいただいて、とても驚きました。
キュアアンサー役の千賀光莉さんのほうが、驚いていましたね。「キャー!」じゃなくて、「うわああ! うっそー!」という感じでしたね。
私は、びっくりすると冷静になりがちで「おお……」と、1回のみ込みました。そこからじわじわと徐々に驚きをかみしめていきました。
「名探偵プリキュア!」と「名探偵コナン」とで、まず放送局が違いますよね。その垣根を越えることは想像もつかないぐらい、とても難しいことなのではないかと思います。
そこを同じ「名探偵」ということで、色々な方のご協力や愛、努力があって、このコラボが実現したのだと思います。「歴史的」と言っても良いぐらい、すごいことだと思って収録に臨みました。
「名探偵コナン」からは、江戸川コナン役の高山みなみさん、毛利蘭役の岡村明美さん、毛利小五郎役の小山力也さんがいらしてくださって、ご一緒に収録をすることができました。特別な空間でしたね。
「名探偵コナン」のことはもちろん、高山さんたちのお声も存じている。その世界と「名探偵プリキュア!」の世界とがどのように融合するのだろうと、収録までワクワクを募らせていました。
「名探偵プリキュア!」の台本で「警部」という言葉を初めて目にしたんです。そんなところからも「名探偵コナン」を感じました。そういえばこの世界では、名探偵プリキュアたちがたまたま事件を先に解決していたから、警察官の姿を見なかっただけで、この世界にも警察はいるんですよね。
コナンと新一、一瞬でバチン
「名探偵プリキュア!」の収録スタジオには、マイクが4本立っています。キャストが多ければ、入れかわり立ちかわり、マイクの前に立って、お芝居をする必要があるんです。
これを「マイクワーク」と言うのですが、「名探偵プリキュア!」の現場は、お話の流れもあって、いつもはそこまで激しいマイクワークは起きないんです。
でもこのエピソードの収録では、いつもよりも人数が多い中での収録のため、結構激しく入れかわる必要がありました。
ただそこは、歴戦のレジェンドの皆様なので、「私たちと第1話から一緒にやってきたんだろうか」と思うぐらい、安心感のあるスムーズなマイクワークで、やはりすごい方々だ……と感じました。
それに皆さん、「緊張します」と言う千賀さんに、「ここはあなたたちのホームよ」と仰っていた。きっと「大丈夫だよ」「一緒に楽しくやっていこうよ」という思いを伝えてくださったのかなと。
お芝居のことで言えば、江戸川コナン君には、「ねえねえお姉さん!」と無邪気な小学生として話すところと、高校生探偵・工藤新一としてクールに「待てよ……」というモノローグで語る部分が共存していますよね。
あの部分は、どのように収録するんだろうと楽しみにしていました。時間を分けて録(と)っていらっしゃるのかと想像もしましたが、そのままの流れでスーッと演じていらして、とても感動しました。その場で「コナン君」と「新一」が一瞬でバチンと変わっていて「うわあ、高山さんかっこいいな!」と。
そもそも蘭姉ちゃん、小五郎さん、コナン君の声がそばで聞こえてくるのも、なんだか不思議な感覚でした。「自分はいまテレビを見ている……わけじゃないんだな」という気持ちになりました。
「これ知ってる!」と思ったのが、コナン君の時計形麻酔銃が、あんなちゃんに当たってしまった場面。「眠りの小五郎」ならぬ「眠りのあんな」による推理が始まって、あの場面は千賀さんがうらやましかったですね。
千賀さんなりのかみ砕き方で「眠りの小五郎」を踏襲するべく、色々と準備をしてきたのだと感じました。
私も「眠りの小林」、やりたかった。いいな……と思いました。
◇
みくるちゃんと重なる……
探偵オタクである、みくるちゃんは、「眠りの小五郎」も知っていましたね。まさか会えると思っていなかった憧れの人に会えて、一緒に事件解決に向けて頑張れた。彼女にとっては、「名探偵として頑張っていくぞ」という気持ちが強くなった回だったと思います。
「名探偵プリキュア!」の最初の方では、みくるちゃんは「憧れの名探偵プリキュアになる。なれた」という喜びが強くて、前のめりになりすぎて空回りする部分もありました。
ここ最近は、相棒のあんなちゃんや、妖精のポチタンたちとの関係性が築けてきて、相手を思いやれる冷静さや、協力して謎を解こうとする姿勢が育っているように感じます。
テレビアニメとして取りあげられる一瞬一瞬以外にも、彼女の生活があって、私たちが見られない色々な場面の中で、みくるちゃんなりに思考をしているのではないかと思います。
憧れで走り続けるみくるちゃんは、過去の自分と重なって、すごく気持ちが分かります。目の前のことで精いっぱいで、でもそれがすごく楽しくて、一方で何かを見落としてしまう。声優のお仕事を始めたばかりの頃の私と同じなんです。
二刀流、憧れるのをやめましょう?
ずっと前から、アニメーションと同じくらい、海外作品の吹き替えのお仕事もやれる声優は、かっこいいと思って憧れています。
新人の頃に子ども向けアニメの現場でご一緒した先輩で、ページのめくり方から教えてくださった方も、「外画」(海外作品)で素晴らしいお芝居をされています。そういう方と、アニメなどの現場でご一緒すると、本当に言葉では語りきれないほど素敵なお芝居をされていて、自分自身とても感銘を受けます。
いつか私もそうなりたい、というのが今の目標です。
アニメのアフレコは、元の音声というものが無い中でお芝居をするので、自分の想像と直感で演じることができます。お芝居の中に時には遊びを入れてみたりすることもできます。
それに対して「外画」の吹き替えでは、元々の役者さんがお芝居をした生の音が入った状態で収録します。BGMや物音も入っていて、臨場感はすごくありますが、元のお芝居からあまりに離れてもいけません。
元のお芝居に寄り添いつつ、そして人間らしさも大切にする必要があると感じます。
例えば怒っている場面であっても、「怒っている」という感情にまかせたお芝居をして、「ちょっとやりすぎかもしれません」とご指摘をいただいたことがありました。
役者さんの表情を見てみると、確かに動きが強いけれど、顔はそこまで厳しい表情ではない。では少し抑えたトーンでやってみよう……とお芝居をコントロールする必要がありました。
完成された作品が目の前にあってお芝居をする分、吹き替えはアニメとはまた違った技術が求められるような気がしました。
声優のお仕事を始めた頃から「アニメも吹き替えもどちらもやりたいです」と、言葉だけは発信していました。
ありがたいことに、私はアニメーションのお仕事にご縁をいただくことが多くて。デビューから約10年が経って、ふと「待て待て。そろそろ吹き替えもやってみたいぞ?」と思ったんです。その思いを所属事務所のマネージャーさんに「覚えていますか? 実はめちゃくちゃ吹き替えやりたいんです」とお話をして、私の声優としてのキャリアプランを真剣に相談しました。
そこからここ1年ほど、色々な方のお力をお借りして自分の思いもより強く発信するようにして、吹き替えの機会をいただけるようになりました。まだまだ勉強中です。
「名探偵プリキュア!」はもちろん、アニメーションのお仕事から刺激は得ています。この約10年やってきたお仕事と役柄を積み重ねて、「本渡楓と言えばこう」といったイメージも、ある程度できてきたようには思います。
とてもありがたいですし、大事にしたいとも思います。
でも、このまま変わらずにいくのも、自分自身に飽きてしまうような気がしたんです。「楽しい」という気持ちを大切に生きてきたのに「楽しい」が無くなってしまったら、続けられない。
ここで立ち止まってしまったら、成長はない。だから、アニメと吹き替えの「二刀流」という憧れを、今は絶対叶(かな)えたいと思っています。
私にとって「憧れ」は、夢というより、現実にするための目標だと考えています。
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