第293話 男三人の休日
「おう、エイジ。映画観に行こうぜ。遠藤も誘ったから」
休日の朝起きたら、サトシからそんな連絡があった。どうやら、久しぶりに部活も休みだし、男三人で遊びたいらしい。
「だいたい、お前たちは彼女できてから付き合い悪いんだよ。たまには、俺とも遊べ」
そんなことを言っていたが、俺は知っている。事前に予定がないことをそれとなく確認していたことを。そして、俺が目だないように映画館を選んでくれたことも。
「いいよ。でも、何を見るんだ」
サトシはそこまで映画に詳しいわけじゃない。遠藤もそうだったはずだが。
「ああ、あのアメコミのヒーローものがいいかなって」
「あのシリーズか。いいけど、サトシって他のシリーズ知っているのか?」
あのシリーズは、すでに映画とドラマで何十本も作品が発表されている。単独で見ると、いまいちわからないところも結構あったりする。
「いや、おもしろそうなところをつまみ食いしているだけ。エンドゲームはちゃんと見たぞ」
「そういえば、エンドゲームでもわからないところを後から質問攻めされたな」
正直、俺もドラマ版までは全部追えてないから不安だったりもするが。
「遠藤もそれでいいってさ。親の職場の福利厚生で割引券もあるからこれ使おうぜ」
そこまで用意されていたってことは、サトシはかなり楽しみに準備をしてくれたようだな。思わずその健気なところに笑ってしまった。
※
「いや、最高だったな。よくわからないところも多かったけど、お祭り映画って感じでさ。アクションがすごかった」
サトシは興奮気味だった。
「そうだね。事前に予習しておいてよかったよ。おかげでしばらく寝不足だけど」
遠藤はテンションが上がったサトシを見て微笑ましいとばかりに口元を緩める。
「うん。今回は単独の映画として楽しめる内容だったな。映像もすごかったし」
サトシのことだから、事前にそこまで調べていたんだろうな。追及しても照れ隠ししてはぐらかすのもわかっているから、あえて聞かないけど。
「あの戦闘機と並走するところも最高だった」
遠藤はそう満足そうに言った。今回の映画は空戦シーンも多かったからな。本当に男のロマンが詰まった映画だった。
昼は各自食べてきたから、もう三時だ。どこに行こうか悩んでいると、サトシがポツリと言う。
「大人だったらさ、このあと日が落ちる前から映画の感想を肴にして酒を飲んでバカ騒ぎするんだろうな。大学生とかになったらさ、そういうのもありだよな」
「まあ、俺は一年早く酒を飲めるけどな。まあ、二人と酒を飲むのが結構楽しみだよ」
それは、俺たちの付き合いが今後もずっと続いていくことを前提にしているとすぐに分かって嬉しくなるとともに、それが楽しみになった。
「そんなこと言って。堂本さんと飲み歩く方がよくなるんじゃないか」
俺がそう茶化すると、遠藤は少しだけ顔を赤くして苦笑した。
「じゃあ、酒は飲めないけど、俺の家でコーラでも飲みながらゲームでもするか」
サトシはそう笑う。俺たちは笑ってすぐに賛成した。
そのあとで、親友は恥ずかしそうにこう言うのだった。
「実はさ、俺……好きな子できたかも?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます