品質向上の鍵は「700MHz帯」と「5G SA」

 だが、NTTドコモの通信品質に対する評価は高まっていない。英OpenSignal(オープンシグナル)が公表した2026年4月のモバイル・ネットワーク・ユーザー体感レポートでは、NTTドコモが5Gのエリアカバーやダウンロード速度などで高い評価を得ている一方、総合的な通信品質を示す「一貫した品質」部門では国内携帯4社中、最下位だった。

オープンシグナルが公表した2026年4月の「モバイル・ネットワーク・ユーザー体感レポート」。NTTドコモは「一貫した品質」部門で、携帯4社中最下位だった
オープンシグナルが公表した2026年4月の「モバイル・ネットワーク・ユーザー体感レポート」。NTTドコモは「一貫した品質」部門で、携帯4社中最下位だった
(出所:オープンシグナル)

 その要因はやはり、4G周波数帯を転用した5G基地局の数が少ないことだろう。4Gから転用した周波数帯で5Gを面的にカバーできていないと、5Gに接続しても再び4Gに切り替わりやすい。

 現在の5Gは、ノンスタンドアローン(NSA)での運用が主流だ。NSAでは、4Gのネットワークに5Gの基地局を設置して高速大容量通信を実現する。5Gに接続する場合でも、4Gに一度接続する必要があり、4Gに負荷がかかりやすい。このため4Gへの切り替えが頻発すると、通信品質が大きく低下してしまう。

 なぜ、NTTドコモは4G周波数帯の転用に大きく出遅れたのか。引馬氏はその理由として、4Gの混雑が影響していると説明する。4Gが混雑していると割り当てられた周波数帯をフルに使い続ける必要があるため、5Gへの転用が進められなかったという。

 その結果、5Gの接続が安定せず、4Gへの負荷が一層増えるという悪循環が起きた可能性がある。

 現状を打破すべく、NTTドコモは新たな策を打ち出した。3Gサービスの終了で空きができた、広域をカバーしやすい「プラチナバンド」の1つである800MHz帯の一部を4Gに移行し、4Gで800MHz帯をフル活用することだ。

 引馬氏によると、2026年7月ごろには全国展開が進む見通しだという。800MHz帯をフルに活用できるようになれば、4Gの通信容量が改善する可能性が高い。

3Gの終了によって、プラチナバンドの1つである800MHz帯の一部を4Gに移行できるようになり、4Gの通信容量改善につながるという
3Gの終了によって、プラチナバンドの1つである800MHz帯の一部を4Gに移行できるようになり、4Gの通信容量改善につながるという
(出所:NTTドコモ)

 今後は、4Gに使用しているもう1つのプラチナバンドである700MHz帯の5G転用も進めるとしている。引馬氏は「都市部であれば今年度中、全国でも来年度中には他社と遜色ないレベルに追いつく」と話す。

 広域のカバーに適した700MHz帯の転用で5Gの面的なカバーが進めば、4Gへの切り替えが減少する。その結果、5Gに接続した利用者の通信品質低下を防ぐだけでなく、4Gの負荷も低減する可能性が高い。

800MHz帯のフル活用で4Gの通信容量が増えたため、今後は700MHz帯の5G転用を強化し、5Gでも安定した通信環境を実現するとしている
800MHz帯のフル活用で4Gの通信容量が増えたため、今後は700MHz帯の5G転用を強化し、5Gでも安定した通信環境を実現するとしている
(出所:NTTドコモ)

 同時にNTTドコモは、4Gに依存しないスタンドアローン(SA)運用の5Gエリアを拡大し、4Gへの負担を一層減らそうとしている。既に首都圏などでは、SA運用に対応した5Gのエリア拡大を進めているという。

 同社の執行役員ネットワーク本部ネットワーク部長の西島英記氏は、「5G開始当初の古い装置は(5G SAに)対応していないので、置き換えを進めている」と話す。現在は、対応エリアにややばらつきがあるようだ。

 だが今後は、「都市部であれば、2026年度中には人が集まる場所でおおむね5G SAを使えるようになる。2027年度上期には、5Gのエリアは基本的にSA運用になるだろう」(西島氏)。

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品質改善後も残るイメージの払拭が課題