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なぜ新章5種族は明らかに異なる生命体を同一視しているのか?彼らの自認する共通項について考察する【デュエマ】

長く続くシリーズにおいて『新章』という言葉が使われる時、そこには大抵新しい要素がセットで付いてきます。

大人気TCG『デュエル・マスターズ』も例外ではなく、新章という名目の元に今までにない種族が5つも新設されています。

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しかし、よく見ると分かるように、どの新種族も種族というカテゴリのみが共通しているだけで、実際には見た目も名前も全く異なる者同士が隣同士になっています。

これでは他クラスとの共同授業の際に『同じ出席番号だから』という理由でよく知らない他クラスの生徒といきなりペアにされ、互いに会話が弾まず気まずい雰囲気になるあの状況が発生してしまう可能性があります。

WotCがそんな生徒の気持ちが分からない教師のような事をするはずがないので、彼らには一見するだけでは分からない、何かしらの共通した意識があると見るべきでしょう。

マイノリティや精神的な多様性の尊重が叫ばれる昨今ですから、本記事では彼らが心の内に秘めている、外見に依らない自認の部分について目を向けてきたいと思います。

・ビートジョッキー

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ビートジョッキーは火文明の新種族であり、それぞれ猿人・ネズミ・戦車という三つの外見的特徴によって分かれています。

猿人とネズミはともかく、戦車は無機物であるはずなので、この時点で生命・非生命であるといった肉体性は彼らの共通点として問題外の事項である事が分かります。

という事はやはり、精神的な属性によって彼らの自認は形作られているという事になるでしょう。

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《ダチッコ・チュリス》のFTによれば、「チーム」を結成している猿人、それらをサポートするネズミ、そして強力な力を持つ事しか触れられていない戦車という分類分けがされています。

この時点で戦車という存在がその他の2つにとってただの力としてしか見られていない事が発覚した訳ですが、そうとは知らない戦車側はおそらく先輩として彼らを羨望しています。

猿と鼠、彼らに共通するのは干支の一員という事であり、きっと戦車は彼らに続く13番目の干支の座を狙っているからです。

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干支の順番が動物たちのレースによる順位で決まった事は有名ですが、そのレースの参加者の中に戦車がいなかったとはどこにも書かれていません。

つまり、戦車はレースに参加しながらも、12番目までにゴールする事ができなかったと見るのが妥当でしょう。

戦車はキャタピラや砲身を抱えていて身重そうなので、たとえ強力な力を持っていたとしても、確かにスピードを出すようなレースには向いていない気がします。

結果、干支に選ばれた猿と鼠と、選ばれなかった戦車の中で、若干の気まずさが生まれた事は想像に難くありません。
戦車は戦車なので愚直に干支になる事を目指し続けていますが、もう既にそれが叶わない事を知っている猿人とネズミは彼を遠巻きながらにその熱意を眺めています。

ビートジョッキーという同じ目標を持つクラブチームにいながらも、上のセクションに呼ばれた者と、そうでない者の中で熱量の違いが生まれるのは必然であり、激しく燃え盛る火文明の中にもそうした微妙な温度感の差があるのです。

・メタリカ

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次に、光文明の新種族であるメタリカです。
これも先程と同様、奇石・銀の民・ゴーレムと呼ばれる三つの外見的特徴によって分類されています。

干支という目に見えない共通項によって結びついたビートジョッキーと比べ、彼らには「鉱石」という物理的な繋がりが存在しているのが大きな違いでしょう。
ゴーレムは奇石の加工から生まれ、奇石はゴーレムになり、奇石を加工しゴーレムとして奉るのが銀の民である、という明確な関係性があります。

「共通の趣味」程度の曖昧な話題であれば、手探りでお互いの深度を測っていく必要がありますが、このように「同じ物質を介在させている」という分かりやすい共通項があれば、初対面での会話も弾むはずです。

「お前どこ中?」ならぬ、「お前何石出身?何の石祀ってた?将来何用のゴーレムになる予定?」といったパーソナルな情報を引き出しやすい文句がメタリカ界のコンパでは飛び交っている事でしょう。

しかし、だからといって彼らを全く同じ種族として分類してしまうのは、それはそれでいささか乱暴な言説のような気がします。

第一に、加工前の原石とそれを利用した彫刻物を同一視していいのか、という問題があります。

第二に、石から生まれた者たちだけならともかく、それらを利用するだけの銀の民までメタリカを名乗っている意味が分かりません。

この理屈で言えば、自動車産業に携わっている人は皆自分の事を「自動車」と自認している事になります。

鉄鋼の段階から、ボディや内装を作る工場ライン、果てはその車を乗る運転手まで、全員が自分の事を「自動車」だと思っています。
ほぼ刹那・F・セイエイ状態と言えます。

メタリカはおそらく文明まるごと刹那・F・セイエイ状態である為、この自認がまかり通ってしまいました。
誰か一人が「俺がメタリカだ」と言い出してしまったが故に、銀の民は全員がメタリカを名乗らなければいけないような同調圧力に飲まれてしまったのでしょう。
光文明の全体主義が完全に悪い方に出てしまっています。

このように、メタリカの自認はすぐさまコミュニティに迎合しようとし、自分の本質を見失う現代社会に警鐘を鳴らすモデルケースと言えます。

・ムートピア 

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ムートピアは水文明の新種族であり、それぞれ魚人・貝獣・戦艦都市という3分類が成されています。

「戦艦都市」なる存在が前者2つの住処である以上、名目上はムートピアと呼ばれるこの3者の中には明確な上下関係があると見なせます。
貝獣は魚人の配下であるそうですが、都市という巨大機構に比べれば、魚も貝も大した違いはありません。

「家主」などという言葉は所詮住居が物言わぬ無機物であるからこそ成立するのであり、家そのものが簡単に反旗を翻せる知性体であった場合には通用しません。
主を気取った所で巨大な建造物、それも都市の大きさに比肩する物体に逆らえるはずはないので、彼らは忸怩たる思いと共に彼らの膝元に居を借りている、というのが正しいと思います。

そうした背景を踏まえると、彼らがムートピアという種族名を共有しているのは「名義の上だけでも対等である姿勢を見せなければ」というせめてもの抵抗である可能性が高いです。

あるいは、「自分たちは同じムートピアだから、仲良くしよう」というメッセージを密かに戦艦都市側に送っている可能性も考慮する必要があります。
戦艦都市側も戦艦都市側で自分の背中の上に勝手に住居を建てられている訳ですから怒ってもいいはずですが、そうした素振りを見せる事なく彼らを背中に載せ続けている事から、このトモダチ作戦が功を奏している可能性は否定できません。

いずれにしても、外交努力によって現在の均衡状態が保たれているのは確実であり、逆に言えば「家ハラ」を繰り返された戦艦都市側がいつヒステリーを起こしてもおかしくありません。

「そっか!私が悪いんだ?」と尋ねる戦艦都市に対して、自身と同じ姓である事をチラつかせる事で対処を図ろうとするムートピアには、DV夫のポテンシャルがあると言えます。

・グランセクト

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続いてグランセクトです。
自然文明の新種族である彼らは、野菜兵器・昆虫戦士・動物兵器の三つに分類されています。

常識的に考えて、野菜は被捕食者側であり、昆虫や動物はその野菜の捕食者である為、同じ自認どころか不倶戴天の敵と呼べる存在のはずです。

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ですが、《くまくまわり》のFTを読む限り、むしろ野菜兵器側が動物側を取り込んでいる、つまり被捕食者が捕食者へと逆襲を掛けているという逆転した構造である事が分かります。

この構図、どこかで見覚えがありませんか?
そう、これは名作Z級ホラー映画『アタック・オブ・ザ・キラートマト』と同じ構図です。

生命体としては真逆であるはずのこれらが同一視されているのは、やはり生命体としての共通点故ではなく、『野菜が捕食者を逆襲する映画の登場人物である』というメタ的な視点から切り取られた要素なのでしょう。

しかし、そう考えた場合、一つ問題になる事があります。
彼らは本当に映画に出る事を了承したのでしょうか?

そもそも、《くまくまわり》も野菜兵器にミサイルをぶつけられる前は野生の動物だった事を踏まえると、エキストラですらないオーディエンスの一般人が無理やり壇上に挙げられ、面白い事をするように強要されているようなものです。
やっている事としては、迷惑系YouTuberの凸と大して変わりません。

むしろ、グランセクトという名目自体、そうした見ず知らずの他人に迷惑を掛けても『知り合いだから』で誤魔化す為の方便の可能性まであります。ムートピアと同じパターンです。
ムートピアとは違い、強者側がそれを笠にしているのがより悪質です。

《くまくまわり》が勢いよくヒマワリを投じているのも、ただヒエラルキー上位の存在に弄ばれ、望んでこんな姿になった訳ではない事に対する憤りを意味しているのでしょうね。

・マフィ・ギャング

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最後はマフィ・ギャングです。
闇文明の新種族であり、凶鬼・影の者・闇医者という三つの分類がなされています。
見事に社畜と高齢者と医者しかいません。現代日本の社会福祉に対する風刺でしょうか。

マフィ・ギャングはその名の通り、マフィア・ギャングのような組織を表す種族です。 
影の者を最上位とし、その下に凶鬼を作る闇医者、最下層に本能で動く凶鬼が存在しています。

組織に属している以上、それを真っ先に名乗らない事は社会人として良くない立ち振る舞いである事からも、一貫して彼らがマフィ・ギャングを名乗る事には妥当性があります。
名刺や身分証明に支配された世界の住人である私たちとも近しい感性を有しています。

しかし、現実の組織と照らし合わせた場合、マフィ・ギャングという組織が本当に真っ当かは一考の余地があります。

凶鬼、彼らは闇医者によって改造された後、適当に野に放たれますが、何をするかは指定されてない上に闇医者自身が作った凶鬼のナンバリングを覚えてない事が言及されています。

凶鬼側からすれば勝手に改造され、私生活のしづらそうな武器を取り付けられたのに、何をするか特に決められていない上に「あ、そういえば改造してたっけ」位の認識しかされていないという事です。

これから悪の組織の手先として頑張るか、あるいは正義の心が目覚め反旗を翻すか、そうした前途ある二択を今か今かと待ち望んでいた凶鬼からしたら、ストーリー分岐の度に分けてセーブされ、そのまま忘れられたセーブデータの中の一つ程度の扱いを受けた事に思わず泣いてしまうでしょう。
ショッカーでももう少し自前の改造人間を丁寧に取り扱うと思います。

凶鬼の扱いがこれなら、影の者と闇医者の関係も不可解です。

闇医者が凶鬼を作る為の材料は影の者が提供している事から、彼らがこの組織におけるパトロンである事は間違いありません。
しかし、少なくとも彼らは何かしらの目的を持って凶鬼を作らせているはずであり、にも関わらず杜撰な管理しか行わない闇医者にすべてを丸投げして堂々と椅子に座っていられる理由が分かりません。

「作るだけ作ってその後は興味が無い」といったタイプの無責任人間は一定数いるので闇医者がそういったタイプである事は疑う余地がないですが、上も上で組織内における製造者責任は企画・受注した影の者側にもあるという事を無視しながらふんぞり返っています。

組織における上層部が全く指示や責任を取ろうとしない体質であるからこそ、下っ端である凶鬼は何をしていいか分からず右往左往しています。
これでは当然ながら良い組織とは言えませんし、そもそも組織に対する帰属意識も芽生えないでしょう。

やはり所詮は異なる者同士、それぞれ自分たちの事しか興味がないのですから、マフィ・ギャングという種族名の統一によってかろうじて組織としての連帯感を維持しているのかもしれません。

いかがだったでしょうか。
違う者同士が一つの自認の元に集まろうとすると、必ずヒエラルキーの折衝を起こします。
コミュニティの力学の中でも、自分を見失わないでいたいものです。

以上、ジョルト・ザ・ジョクストでした。
引き金は二度引きましょう。

・元ネタ


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