日頃(ひじょう) 苦しみ後滿懷(開)
ep.9+10でございます。
巨木が宙に浮く。
轟音を立てながら倒れる。
いや先刻倒したんだっけ?「おi!おkro!」
誰だ?五月蠅いな。なんかいまスゲェ眠ぃんだけど。
ていうか担がれてる?まずここどこだっけ?オレ...何し...て...
......
.........
ついさっきまであんなに青々と...いやあの色で「青々と」はおかしい気もするが...生えていた葉をすべて切り落とされ完全に剥げてしまった世界樹。どうやら再生能力はないようで再び葉が生えてくる予兆はない。
「まあ、もちろんこの程度で終わるわけもないからねぇ……」
鏡夜センパイが、随分と気楽そうに呟く。
ついさっき死にかけたオレとは大違いで、息一つ上げず落ち着いた佇まい。
ここまで実力の差を感じると結構気落ちするものだ。
「足手まといってやつぅ...」
「んなことないよ。でも役に立ちたいってんなら...」
センパイが発言と同時に飛ばしたノイズでの攻撃を皮切りに、世界樹が動き出す。怒りか痛みか、巨体を左右に揺らし体をひねっている。ばねみたいに幹が伸び縮みする。そのたびにダンジョンが揺れた。床のヒビが、さっきより明らかに広がってる。
「俺のこと、ちゃあんと守ってみせなよ?」
...そーだよなぁ。この人はそういう人だよなぁ。
勝手に自分と比べられてネガティブ出されるの嫌いな人だもんなぁ。
んでふてくされると攻撃も防御もしない。全部他人まかせ。
「ホントーに...メンドーな人ですねぇ...(笑)」
次の瞬間、世界樹はその巨木を宙に放り投げ根の側をこちらに向け、ぐるりと回転。そのまま根を高速で伸ばす。
オレも同時に『高速思考』のスイッチを入れ、処理速度を上げる。
(右端から細いやつも含め...大体100本以上?細いやつなら簡単に切れるだろうが、大半がぶっとい根っこ。おそらくオレと先輩がいる地点に到達するまでに3秒もかからない。普段の『加速』制限内だと切れないだろうな...。)
「体にガタ出るしあんま使いたくないんだけどなぁ...」
......
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「鍛冶人」内の権能「加速」
あらゆる動作を倍速で加速し過度な使用は身体に負荷をかける。
彼が現在負荷なく使用できる倍速上限は「6倍」
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......
制限時間は1.2秒...ってとこかな...
『全部他人まかせ』...でも全部を任されるのはオレだけだからね。
期待には答えないと♪
「制限加除。『13倍速』」
手始めにオレ達に目の前まで伸びてきた根20本ほどを一撃で切り落とす。0.3秒。球形に広がったダンジョンの床、壁、天井を伝いこちらに向かってくるそれらを叩ききり、切り落とし、ねじ切る。ここまでに0.5秒。
1秒でもオーバーすれば後の戦いに支障をきたす。最適解を求め続けろ。
(次右上その次真下次後方次...)
視界に移るのは巨大な5本とある程度の太さのもの13本がまとまった根。場所はこのボス部屋の中央。
いける!
根の上部に跳び、双剣を振りかぶる。双剣に『精錬』の権能をかけ巨大な根に叩きつける。後は押し切るだけ!
「ってあれぇ...?」
ここまででちょうど1.2秒。
...びくともしない。まず木を切ってるというより鉄とか金属物を切ろうとしているような感触が手に伝わってくる。
「これってぇ...」
きれいに切り落としてきた根もすっかり再生。すでに狙いをオレに定めて高速で伸びてきている。
(しくったぁ.「よぉくやった!」
背後から声が響く。
「百点満点だ、赫弥!」
次の瞬間、隣に屈んだセンパイの姿。オレが切ろうとした根に触れている。
「界断記 Ⅳ番 東雲」
世界樹がノイズで覆われたように見えたのもつかの間、塵になるまで切り刻まれた世界樹は一気に崩れ去った。
「...よくここまでつなげた。さっきも言ったが上出来だ!」
.........
......
完全に塵となるまで切り刻まれた世界樹は崩れ、オレ達が立っている巨大な根もサラサラと崩れていく。オレは体を大して動かせず、上手く着地できないまま地面にしりもちをついてしまった。身体は完全に動かないなってことはないが、頭からつま先までの神経に薄い膜を張られているような感覚に包まれる。やっぱちょっと無理したかな...と考えていると
「いやぁ、なかなかいい動きしてたぞ!少し言うなら、あの速度をもう何秒か維持できればいいんだがな。」
と鏡夜センパイが励ましてくれた。
「出来たら苦労してませんって...まあ、精進します。」
限界値の二倍、約0.5秒オーバー。たったそれだけの時間で体が思うように動かすことができなくなる。こんなんじゃすこーし格上の敵に対峙しただけで、簡単に死にかねない。死にたくなんてないし、せめて死ぬならもっとまともな理由で死にたい。老衰とか。
...ハハッ、高望みかな。
「何ニヤついてるんだい?」
「別に、将来設計ですよ。」
「気ィ早いなぁ。」
軽口を叩き合いながらも、オレはなんとか腕に力を入れて立ち上がろうとする。
.........
......
もともと幹だったものの残りかす。私をここまで追い詰めた二名。一人は長髪。もう一人は...
「縺ソ縺、縺代◆繝溘ヤ繧ア繧ソ隕九▽縺代◆Ме сійӧс аддзи...」
「ミツケタ」
.........
......
「ミツケタ」
「「ッ!?」」
粉々になった世界樹の中から声が聞こえる。...ん?声?
今の今まで声、言語を発する魔物なんて観測されてなかったはずだ...
しかも、今回オレたちが戦ったのはただの世界樹。それこそしゃべるはずもない。
琥珀色の宝玉が回転し爬虫類の瞳のような模様をこちらに向ける。
「全くまだやるってのかい?何度でも切り刻んでやけど?」
「センパイ待ってください!コイツ何か違います!」
違う? 何が違う?
口に出してみたものの自分でもわからなくなる。ちょっと喋った程度でなぜオレはこの世界樹をここまで警戒している?
何がオレを警戒させてる?
直後、オレ達の耳にウン百人もが一斉に喋っているような音が聞こえる。
「隕ウ貂ャ螳御コ??∵コ?縺。繧満ちる満ちていく、ああ閼域遠縺、、脈打つ縺翫≧が目覚める!刻が裂ける!対が!在るここに在る巡る、巡繧雁ササ繧!險弱▽蜉が在る壊すか?捧げるか?欲しい要る荳也阜が歪む軋む!崩れる止まらない止まることはない縺翫≧へ全てを縺翫≧へ来たれ来たれ逃がすことはない捕らえる刻む潰す壊す謌代iが見ているながく?みじかく?みているずっとずっとようやくこのときであるやっとだやっとだ縺翫≧が縺翫≧が謌代iがくらがりから」
明らかに聞こえない声もある。だが最後の声だけは聞こえた。
「おいでになる」
その瞬間、ダンジョンの壁が裂ける。
裂け目から見える針山地獄の名に等しい山々。赤紫に染まった空と決して呼べない空。んであれは...城?
ボス部屋の空気が一気によどむ。塵が宙を舞う。そして目の前に黒い点。いや槍?筒?いやそれt
「赫弥!避けろ!」
「え?」
一瞬、右目に激痛が走る。足元が揺れる。視界が歪む。
そして頭の中に情報が流れ込んでくる。何の?誰の?どこの...?
.........
......
歪鏡夜は混乱していた。
確実に刻んだはずの核が復活したこと。これは想定内。今までも何度か復活しるボスにはあってきた。だが問題はここからだった。
裂ける壁、先に広がる知るわけもない世界、そして
その中に居た異質な何か。
だがそれを感知した瞬間、赫弥の顔面に攻撃が直撃。見た目には損傷はなかったが、右目から血でもない漆黒の液体を流して気絶している。
そして今、彼はそんな混乱した思考のまとめもままならない状態で崩れるダンジョンの中を赫弥を担いで走り回っていた。
(いやいやいやボス倒してからダンジョンが崩れ始めるまでの時間は約20分!こんな直後に崩れ始めたらつぶされて死んじまうよ!んでいつまで寝てんだコンニャロォォ!)
「おい!起きろ!」
いくら声をかけても起きるそぶりもない。
「チィッ!生きて帰ったら奢ってもらうかんなぁあああ!」
.........
......
「縺翫≧が...おいでになる...縺翫≧が...我らの...」
「王が...」
まだまだ描(書)きたりねぇ!
でもいいペースですよォ!
☆言い忘れておりましたが
ESN大賞10 ネトコン14 ファンタジー部門総合
に応募いたしました! とりあえず願っていてください!