税金が共産党に流れていく…「機関紙なのに新聞扱い」元党員が明かす"しんぶん赤旗"の知られざる特権構造
※本稿は、松崎いたる『日本共産党 悪魔の事件簿』(Hanada新書)の一部を再編集したものです。
■政務活動費で購入される“しんぶん赤旗”
共産党東京都議団の令和6年度の政活費の収支報告と領収書を見ると、当時は19人の議員がいて、総額1億1400万円が支給され、うち92%、1億487万5250円が実際に支出されている。
支出額のうち16万5237円が『赤旗』等の購読費として、「しんぶん赤旗都庁出張所」に支払われている。
『赤旗』日刊紙の購読は共産党員が取り組むべき「四つの大切」の一つとされており、党員の義務にも等しい。にもかかわらず、議員になると、税金で『赤旗』を購入しているのである。もちろん、議員たちは自宅では自費で『赤旗』を購読している。政活費で購入するのは、共産党への税金還流そのものが目的になっているといえるだろう。
政活費での『赤旗』購入は、各地の地方議会でも行われている。SNSで「日本共産党が政党助成金を受けとるような政党になったら、私は日本共産党をやめます」と宣言しているやまね智史京都市議ですら、『赤旗』日刊紙と日曜版、党京都府委員会が発行する『京都民報』の3紙を政活費で購入している。「政党助成金は悪だが、政活費は無条件に善」という税金に対する共産党の歪ゆがんだ考えが透けて見えるようだ。
■宣伝カーの使用は“議会活動”か
共産党は政党助成金を受け取っていない分、もらった政活費はがめつく使う。
2007年4月12日、東京・品川区の3人の住民が、日本共産党品川区議団の政務調査費(現政務活動費)について「目的外支出」があったとして、4625万円余の返還をもとめる住民監査請求書を提出した。
同区議団は翌日に発表した声明で、「この請求は、『目的外支出』があったこと自体を何ひとつあきらかにできない、お粗末きわまりないもの」と監査を請求した住民らを口汚く罵っている。
同区議団の支出でとくに問題にされたのは、共産党所有の宣伝カーを区議らが街頭宣伝等に使用した際に、共産党に使用料を支払っていたことである。
政務活動費は政務調査費と呼ばれていた当時であっても、使途は議会活動に限定されており、政党の政治活動や選挙活動には使うことは許されていない。監査を請求した住民らは、宣伝カーによる街宣は政治活動であり、目的外支出にあたると指摘したのである。
これに対し、共産党区議団は「私たちは、宣伝カーの使用は、区議会での活動を住民のみなさんにお知らせする活動に使用しており、それ以外の使用は行わないように厳密に管理、運行してきました」などと弁明する一方、「『政治活動に使用した』というのなら、具体的な証拠を示してもらいたい」などと開き直ってもいる。
■監査の結果、目的外支出が認定
そもそも議会活動の報告と政治活動としての街宣をどう区別するのか、共産党に訊いてみたいものである。「日本共産党」と大書された看板をつけた宣伝カーで演説すれば、聞く側は「共産党の政治活動だ」と認識するだろう。
じっさい、区議らが訴える内容は区議会報告の範囲にとどまらず、国政での政権批判や「軍拡反対」「改憲反対」なども含まれている。区議らは政府批判の演説の末尾に「……と区議会でも訴えています」などと付け加えれば、政治活動ではなく区議会報告になる、と考えているようだ。しかし、そんな詭弁は世間に通用するものではない。
結局、監査の結果、目的外支出が認定され、共産党区議団は費用を返還することになった。じつは、政調費から宣伝カーの使用料を共産党地区委員会に支払うことは全国の党組織で行われていたが、品川区議団のこの一件以後、共産党本部から「宣伝カーの使用に政調費はつかわないこと」が各地方議員団に通達された。
■しんぶん赤旗の“5つの優遇”
こうした政活費を利用した税金還流で共産党と『赤旗』は支えられているわけだが、『赤旗』自体の問題についても述べておきたい。
それは『赤旗』が政党機関紙としての側面と、報道目的の新聞という側面の両面をもち、両方の有利な点を活用していることである。
『赤旗』は政党機関紙なので、①特定商取引法の適用除外となっており、一般紙では禁止されている繰返しの訪問販売ができる②政党活動として法人税法の適用除外を受けており、事業収益が無税(一般紙は課税)となっている。また、③個人情報保護法の適用除外にもなっている。
さらに、一般紙同様の新聞という側面もあるので、④郵送料が安くなる第三種郵便として認められ、⑤消費税は軽減税率となっているなどの優遇を受けている。
これらの優遇があってこそ、『赤旗』はなんとか持ちこたえているともいえるが、税金を免除されている『赤旗』が「脱税疑惑」の追及をするなど、なんとも滑稽なことである。
■個人情報をめぐるトラブルも
③の個人情報保護法の適用除外になっていることから、具体的なトラブルになったこともある。
2022年10月21日、ローカル紙『神奈川新聞』が「横浜の集会参加者4人の個人情報 共産党関係者が不正流用」と報じた。
記事によると、「横浜市内の小学校の統廃合を考える集会に参加した保護者や地域住民の個人情報を、共産党の関係者が不正流用していた」という。
会場で新型コロナウイルス感染者が出た場合に連絡が取れるよう、参加者全員に氏名、電話番号、住所を記載してもらっていたが、その4人の個人情報を、集会の主催者メンバーでもある日本共産党員が書き写し、別の党員がこのメモを元に四人の自宅を訪問、集会の記事を掲載した党機関紙『しんぶん赤旗』を手渡したという。
主催団体は当該党員を退会させたうえ、個人情報保護法に抵触する可能性があるとして関係者に謝罪している。集会に参加し、訪問を受けた男性は「(不正流用され)保護者の間で『怖い』という声が上がっており、今後、会合から足が遠のくことを心配している。党のコンプライアンスの問題で調査と再発防止策を求めたい」と話しているが、この不正についての日本共産党神奈川県委員会からのコメントは発表されていない。
重大なことは、この事件は個人の過ちによって起きた偶発事ではないということだ。事件の要因は共産党が『赤旗』の読者や党への支持者を拡大するために、「つながり名簿」「マイ名簿」と称して全党をあげて国民の個人情報を収集する取組みをしていることにある。
■36年前に勃発した『赤旗』vs.『週刊朝日』
共産党は、維新の藤田共同代表が赤旗記者の名刺をネット公開したことを非難し、謝罪を要求している。この件にも、私は「お前が言うか!」という感想しかない。
共産党こそ、気に入らないマスコミを攻撃するために、記者の氏名と所属部署を赤旗紙面に掲載し、公開したことがあるのだ。
少し古い話になるが、1990年7月15日に文京区・椿山荘で開催された共産党創立記念招待会でのことだ。当時、「老害」を指摘され、引退時期が注目されていた宮本顕治議長のコメントを取ろうと、『週刊朝日』の記者が会場に『朝日新聞』社員を名乗り入場した。
これに共産党は記者の氏名を書いたうえ、「肩書詐称取材」「きわめて悪質な詐称行為」「取材モラルが根本的に問われる」などと非難し、朝日新聞東京本社出版局長に抗議をしたのだ(『赤旗』1990年7月19日付)。
『赤旗』はその後、記者の名前入りの漫画まで掲載して、長期間、「マスコミの退廃」を糾弾するキャンペーンを続けた。しかし、抗議先が朝日新聞であることに示されているように、『週刊朝日』記者は朝日新聞社員であることは事実である。
私は当時、共産党発行の写真誌の記者だったが、「バカな抗議をするなぁ」とあきれたものだ。私自身、共産党の名前を隠して取材した経験がたくさんあったからだ。
『週刊朝日』側は共産党からの抗議に対し、「何とも見当違い『赤旗』の『週刊朝日』攻撃」という記事(90年8月24日号)で反論したが、もっともなことである。
いま、共産党は維新の会に対して、記者の名刺公開が「報道への威圧」「犬笛」などと非難をエスカレートさせているが、そうした記者の氏名公開によるマスコミへの威圧は、共産党のほうがずっと前からやってきた手法なのである。
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松崎 いたる(まつざき・いたる)
元日本共産党区議団幹事長
1964年東京生まれ。民青を経て日本共産党本部に勤務後、板橋区議を4期16年務め、区議団幹事長を務めた後、除籍される。著書に『日本共産党 暗黒の百年史』(飛鳥新社)がある。
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(元日本共産党区議団幹事長 松崎 いたる)