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スピードキューブ沼にハマるために知っておきたい10の事実

こんにちは、キルミちゃんです。
今回はタイトルの通り、スピードキューブ(ルービックキューブの速解き)にハマっていくために知っておいた方がいいことについてまとめていきます。

「こうした方がいい」ということも、「これはしない方がいい」ということも思いつく限りに書いていきますので、どうかお付き合いください!

●道具編

1. 最初から競技用キューブを使った方がいい!

キューブ初心者にありがちな勘違いとして、「キューブを買うなら公式のルービックキューブを買わなきゃ」というものがあります。
公式が出しているものならとりあえず間違いがないだろう、と思ってしまうわけですね。

ところが、このようなキューブは速く解くことを前提に作られてはいません。
純粋にパズルとして楽しむだけならこれでも良いかもしれませんが、スピードキューブという観点では全くオススメできる代物ではありません。
むしろ、このようなキューブを買ってしまうと、キューブを手首で回すといった悪い癖が付いてしまう可能性すらあります。

以下に示すのは執筆時点での平均タイム世界記録の動画ですが、この人ももちろん競技用のキューブを使っています。

「でも、競技用キューブって高いのでは?」

と思われるかもしれません。まぁ、確かに高いものは高くて1万円を超えてくることもあります。しかし、安くても良いキューブはたくさんあります!
安い方から、いくつかオススメを紹介いたします。


★QiYi M Pro V2 Flagship

1000円台でありながら、MagLevやコアマグネットといった最新モデルにも採用されている機構が入っていて十分に本格的なキューブです。
公式のルービックキューブを買うぐらいなら、こっちを買った方が幸せになれます。

★Cubing Classroom RS3M V5 MagLev BC UV-Coated

もう少しお金を出していいならこれです。UVコートまで施されているため、もはやフラッグシップモデルと区別が付きません。
何なら10秒を当たり前に切るような上級者であっても、これをメインキューブにしていることさえある、かなり本格的なキューブです。

★GAN V100 Maglev UV-Coated

お金に糸目を付けないならこれでしょう。実は、わたしのメインキューブでもあります。GANというとかなり高級なキューブを出すメーカーなのですが、最近珍しく中価格帯のキューブを発売しました。
コアマグネットの具合が素晴らしく、面が30°ぐらいズレていたら正しい位置に勝手に回ってくれるぐらいにはアシストが良好で、MagLevなので回転もスムーズです。
数々の世界記録を持つTymon Kolasińskiが大会で使ったことがある、と言えばその凄さがわかるかと思います。


以上、オススメをまとめてきましたが、すべてに共通するのは「磁石が搭載されている」ということです。つまり、面の回転が90°のところでピタっと止まってくれるのです。
これは今や競技用キューブにはなくてはならない機能となっており、もちろん公式のルービックキューブには搭載されていないものです。

「弘法筆を選ばず」という言葉はありますが、キューブ界では弘法も筆をちゃんと選んでいます。
それに、「弘法ではないからこそ、しっかりとした筆を選ぶべき」だとわたしは考えています。変なものを買って変な癖が付いてしまっては、将来にわたってスピードキューブを楽しむことはできないと思っています。

2. 潤滑剤はキューブ専用のものを使おう!

まず最初に述べておきたいのは、KURE 5-56とか下手なものを使うと、キューブ本体が溶けて取り返しの付かないことになる可能性がある! ということです。
滑りを良くするものであれば何でもいいというわけではなく、キューブにはキューブ専用の潤滑剤というものがあります。

これに関しては本当に様々な種類があって、まさに沼なポイントではあるのですが、とりあえず持っておいて損がないのはDNM-37とSilkあたりになるでしょうか。

前者は回転を軽くし、後者はキューブのカサカサ感を抑えてくれるような感じの潤滑剤となっています。

ただし、このような潤滑剤は、今の時代は必ずしも買わなくてもいいかもしれません。興味が出てきたら買う、ぐらいでもいいと思います。
というのは、最近のキューブは「箱から出してすぐに使える」というところに注力しているからです。
今の時代は、キューブ選びにおいてはサイトや動画などでのレビューが大きな要素のひとつとなっています。ですから、箱から出した状態があまり良くないままに出荷すると、結果的にあまり売れないということにメーカーが気付き始めたのです。

そういうわけで、潤滑剤は必ずしも必須ではありません。ただ、潤滑剤を使うのであれば絶対にキューブ用のものを使う、というのはくれぐれも心に留めておきましょう。

3. タイマーはキューバーのスタンダード「csTimer」を使おう!

ここからはソフトについてです。
スピードキューブはタイムを計測してはじめて成り立つ競技ですが、そこでデファクトスタンダードとして使われているのが、以下のcsTimerです。

これはWebアプリなので、スマホでも使えます。さらに、データをエクスポートする機能もあるため、PCとスマホ間でデータを同期させることなんかも出来てしまいます。

これだけでも十分便利なのですが、実はこのようなソフトはそれに留まらず、スクランブルと呼ばれるものも出してくれます。
これは、適当に混ぜるだけだと不公平が生じる可能性があるため、コンピューターにランダムな状態にする手順を生成させたものです。
最初のうちは必ずしもこのスクランブルを厳密に使う必要はないかもしれませんが、このような機能が便利だからこそ、数々のキューバーに選ばれているのです。

他にもいろんな機能がありますが、それに関しては有志が作成したユーザーズガイドを参照してみてください。

4. 手順の記憶はトレーナーアプリを使おう!

スピードキューブにおいては、手順アルゴリズムと呼ばれるものを覚える必要があります。特定のパターンに対して、「こう回せば揃う」というのをまとめたものですね。
※後で紹介しますが、初心者向けの解法であれば、覚える必要のある手順はそこまで多くありません。あくまで初心者を卒業した後の話として聞いていただければと思います。

その手順を覚えるときに、キューブを揃えながらたまたま覚えたいパターンが出てくるのを待つというのは、かなり非効率的です。
それぞれのパターンが出てくる確率は数%ぐらいしかないため、いつまでも覚えたいパターンが出てこないということがあります。

そういった問題を解決してくれるのが、トレーナーアプリです。
これは、覚えたい手順を指定すれば、その形になるようなスクランブルを出力してくれるので、大変便利です。

この種のアプリはいろいろありますが、わたしが一番使いやすいと思ったものを下記に示しておきます。

また、手順の覚え方については別途記事を書いたことがあるので、もし必要になったら是非ともご覧になってください!

●学習編

5. 解法は「M2L」がオススメ!

ここからはいよいよ、具体的な解き方を学んでいくところになります。
一般的な初心者向け解法としては、LBL法と呼ばれるものが使われていますが、ここではあえて違う解法をご紹介いたします。
それは、M2Lと呼ばれるものです。(まっしゅさんというキューバーが考案したことからMの字が付いているらしいです)

どうして定番のLBL法を使わないのか? それは、「初心者を卒業した後にも活かしやすい解法だから」という点に尽きます。

※ここはLBL法がどんな方法か知っている人向けの説明になるため、知らないという方はスルーしてください。(そしてM2Lを覚えましょう!)

LBL法ではまず完全一面を作りますが、実はこの完全一面というのは、スピードキューバー的にはあまり嬉しくない状況なのです。
一般的に使われるF2Lという解法では、クロスの後に、エッジとコーナーを同時に揃えます。そのときにコーナーだけ先に揃っていると、一度取り出して再度入れるという二度手間を取るか、あまり速くは回せない特殊な手順を使う必要が出てきてしまいます。

ですから、F2Lを学ぶときには、完全一面を揃える能力というのは、残念ながらあまり活かす機会がないのです。
その点、M2Lで使われる手順というのは、上級者でも使うような非常に実践的なもので構成されています。だからこそ、M2Lがオススメなのです。

ちなみに、紹介したCube Voyageの解説には続きがあります。
これは、M2Lから中級者向けのF2Lという解法へと自然と進めるようにうまく誘導がなされており、わたしもお世話になりました。
もちろん、初級編を覚えていない状態でご覧になる必要はありませんが、「続きの道も用意されている」という点は頭に置いておくと良いでしょう。

6. F2Lは理屈を覚えないと意味がない!

ここからは、M2Lでキューブの揃え方を一通り覚えた後の話となります。まだの方は、軽く流し読みで構いません。

キューブの手順を調べたときに、こういう表ってよく見かけませんか?

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※これはごく一部です

このF2Lの手順というのは、分類すると基本的なものだけでも41種類あるようです。

「え…… 41種類も暗記しないといけないの……?」

いいえ、そうではありません。むしろ、F2Lの手順を暗記するというのは、スピードキューブが嫌になる一番の近道である、とさえ言えます。

実際のところは、F2Lというのは大部分が理屈で理解することができるものなのです。
ちょっと実例を見てみましょうか。

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簡単なパターン

このパターンであれば、R U R'の3手で揃えることができるのがわかるでしょうか。
※動いているところを見たい方はこちらからどうぞ!

では、別のパターンについてはどうでしょうか?

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ちょっと複雑なパターン

これは、先ほどのような簡単な手順で揃えることができません。しかしながら、「簡単な手順に帰着させる」という考え方で揃えられます。
具体的に見ていくと、次のようになります。
※動いているところを見たい方はこちらからどうぞ!

まず、U'でコーナーの位置を変えます。

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U'

次に、R U R'と回して、コーナーを一旦奥に隠しながら戻すことで、エッジの位置を整えます。

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U' - R U R'

それからUを回すと……。

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U' -  R U R' - U

あれ、この形はどこかで見たことがありますね?
そう、これは最初に述べた「簡単なパターン」そのものですね!
※繰り返しになりますが、動いているところを見たい方はこちらからどうぞ!

手順表で、この揃え方がU' R U R' U R U R'と書いてあるのには、こういった意味があるのです。
このような理屈を理解しないままに、ただU' R U R' U R U R'という文字列を機械的に覚えるか、それとも理屈を理解したうえで使うか。どっちが良いかは、もう明らかですよね!

そして、このようなことはさっき述べたパターンに限らず、F2Lのほとんどすべてに通用するのです。暗記した方が早いパターンというのは、数えるほどしかありません。

手順表というのは、そのような理屈がわかっている人が使うための辞書みたいなものなのです。
言語を習得するときに、いきなり辞書を読んで勉強する人がいないように、キューブもまた、最初に理屈を理解した上で、その参考として手順表を見る、というのが正しい習得の仕方なのです。

このへんの詳しい話は、下記のサイトにも書いてありますので、ご興味がありましたらご覧ください。

7. 手順は信頼できるサイトを見よう!

「ルービックキューブ 手順 一覧」とかでググると、「令和の時代にそんな時代遅れな手順紹介する!?」と思うようなものが掲載されたりしていてビビります。
初心者の方は、どこが良いサイトなのかという判断はできなくて当たり前ですから、もしかすると、ググったサイトを参考にしてしまうと、スピードキューバー的にはあり得ないような手順を覚えるハメになってしまいます。

そこで、わたしがひとつの基準としてご紹介したいのが、CubeSkillsです。

このサイトは、Feliks Zemdegsという伝説級のキューバーが運営しているものです。彼は驚くことに、キューブの世界記録を121回更新しています。
……ちょっと理解が追いつかないレベルですよね!

そんな方が運営しているサイトなわけですから、そこに掲載されている手順がスピードキューブに向かないわけがありません。
これから手順を覚えようという人は、とりあえずはCubeSkillsを参考にすれば間違いはないと言えるでしょう。

[追記]「PLL 一覧」とかでググると、以下のようなサイトが割と上位に出てくることに気付いたので、注意喚起をしておきたいと思います。

こちらのサイトに書かれている手順は、少なくとも現代のスピードキューブにおいては全く使われないものです。「図解があってわかりやすい!」などと思わずにスルーすることをオススメいたします。
(キューバーの方向けにひとつ例を挙げると、E-permが L R B R' F R B' L' R' B L F' L' B' だと書いてあります……)

もちろん、ここの手順でも揃わないことはありません。しかし、ここに書かれている手順というのは、言ってみれば「手首の力を使わないと回せないキューブ向け」であると考えてください。
そして、ここまで読んでくださった方の手元にあるのは、きっとそのようなキューブではないと思います。ちゃんと回しやすいキューブ向けに回しやすく作られた手順を覚えていきましょう!

8. 自分が回しやすい手順を選ぼう!

先ほど述べたことにいきなり反旗を翻すようですが、覚えづらい・回しづらいと思った手順は、無理にそれを使うことはありません。
Feliks Zemdegsにとって回しやすい手順が、あなたにとって回しやすいとは限りません。違う人間なのですから、手の鍛え方や手順の捉え方などが違うのは当たり前のことです。

そんなときに、別の手順を調べるのに便利なのがSpeed Cube Database(通称:SCDB)です。

手順というのは、必ずしも「これしかない」と固定的に決まるものではなく、コンピューターによる探索などによってどんどん更新されていくものです。
ですから、「こっちの方が覚えやすい・回しやすいじゃん」と感じる手順を見つけたら、そっちに乗り換えてしまいましょう!
そういったものを手順表に書き込んだりしていって、「自分だけの手順表」を作る。それが一番やりやすい取り組み方なのではないかと思います。

●マインド編

9. 何も見ずに解けるようになったらタイムを測ろう!

スピードキューブの醍醐味は、何といっても「昨日の自分より強くなる」ことです。特に、最初のうちはやっているだけでどんどん速くなっていくことでしょう。
そういった成長を実感してモチベーションを保つためにも、解き方を覚えたらタイムを計測するようにしましょう!

そのためには、先ほど紹介したcsTimerを活用するのがいいでしょう。このサイトは、過去のタイムを記録して、自己ベストが出たりしたらアラートを出してくれたりもします。
さらには、Ao5(直近5回のタイムから最良と最悪のタイムを除いた3つの平均)とかAo12(同様)といった指標も出してくれるので、ただまぐれで縮んだタイムではないということもわかるようになっています。

10. 30秒切りは誰でもできる!

キューブを30秒で揃えられたら、一般人目線からすると「めちゃくちゃ速い」となりますよね!
となると、やはりそれぐらい速くなるのは難しいのでしょうか?

結論を言うと、「ある程度の努力は必要だが、それさえできれば、才能が全くなくても誰でも30秒を切ることはできる」というところになると思います。この記事で一番言いたいことはこれかもしれません。
基本的なF2Lが使えて、4 Look Last Layerと呼ばれる方法に必要な16手順ぐらいを覚えていれば、もう30秒切りは見えてくるのです。

そう考えると、スピードキューブというのはある意味「コスパのいい趣味」なのかもしれません。
わたしが30秒切りを達成したのは、スピードキューブを始めてから2ヶ月ぐらいだったと思います。それぐらいの期間で、一般人からしたらほとんど魔法ぐらいのレベルになれるのですから、結構安いもんだと思います。

この2ヶ月という数字も、正直なところ遅い方だと思っています。わたしにキューブの才能があるかというと、正直ない寄りだと思っています。
それでも、今では20秒を切ることも珍しくなく、すべてがうまくいけば15秒を切ることもできるぐらいのレベル感までは行けました。

さらに沼なのが、ここからもっと速くなるために努力ができるというところです。
実際、わたしは「先読み」と呼ばれる技術を絶賛練習中でして、まだ全然道半ばなのです。
何なら、ゴールは存在しないのかもしれませんね! 世界を見渡せば、6秒を当たり前に切るようなキューバーが存在したりもします。流石にそのレベルを今から目指すことはないにしても、そういう世界を少しでも垣間見てみたい。
そういうモチベーションが無限に湧いてくる。だからなんですよね!


ということで、10項目について説明をしてきました。

これらはすべて、「自分が初心者だったときに知りたかったこと」です。
世の中にはスピードキューブの情報はいろいろあるけれど、どれが正しいのかはわからず、まさに暗中模索でした。
そこで、キューブコミュニティに身を置いてきたわたしがこのような記事をまとめることで、ひとりでも多くのキューバーが正しい道を進めたとしたら、これに勝る喜びはありません。

いや、これって定型文じゃなくて、「周りにキューバーが増える」ということは、キューバーとして本当にこれに勝る喜びがないぐらいに嬉しいことなんですよ。
自分が使っているキューブとか潤滑剤とか手順とかのこだわりなどのオタク語りができる相手が増える。これって、とても得がたいことなんですよね。
だからこそ、この記事を書いたのです。

実は、知り合いの手元にたまたまキューブがあることがわかって、「もしかしたらキューバーになってくれるかもしれない」という淡い期待を持ったため、その人に向けて執筆したという面もあります。
みんなに向けた記事よりも、ひとりのために書いた記事の方が熱量が入る。そういうことってありますよね。

それでは皆さま、Happy Cubing


こちらは姉妹記事です。OLLという手順のセットを覚えきった方法を解説したものです。どちらかというと、既に沼にハマっている人向けです。

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「カレー、作りすぎて余っちゃったから……」みたいなノリで、書き散らしたなんかを決断的マルナゲしていくアカウントです。 (元はキルミーしぶや名義でなんかを書いていました)
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