鶏むね肉でも、牛の赤身でもない… 食べると細胞の"老化予防"に効果的、スーパーで買える「肉の部位」の名前
■「日本食」ならポリアミンを摂りやすい 先ほどの「ポリアミンの多い食材」のリストをもう一度見てみましょう。何か特徴に気づかれるでしょうか。 大豆や納豆に加え、味噌やしょう油といった日本の食卓に欠かせない大豆発酵食品が多く含まれています。味噌汁の具となるキノコ類や、煮物の主役となるカボチャなども高ポリアミン食材です。つまり、日本食はポリアミンを自然にとりやすい食事だといえるのです。 「ふだんはパンと牛乳」「ステーキが大好き」という方も、ときどき和食を取り入れてみてはいかがでしょうか。日本は長寿国として知られており、その背景として日本食の影響が大きいと考えられています。 私は、日本食でポリアミンを無理なく摂取できることがその一因ではないかと考えています。もしそうだとすれば、とても興味深く、食べ慣れた食事でいいということは、私たちにとって心強いことだと思います。 なお、日本食と同じように健康的な食事として知られる「地中海式食事」も、豆類や魚介類が多く、加工食品や赤身肉が比較的少ないという特徴を持っています。前出の早田邦康さんの報告(※2)によれば、地中海式食事をとる人はポリアミンの摂取量が多く、それが健康長寿に関係している可能性が示されています。 ■「1日どこかで1品」でいい 食事でとったポリアミンは小腸でほぼ吸収され、全身の細胞で利用されます。体内で消費されるため、食事から日常的に取り入れることが望ましいと考えられます。 とはいえ、高ポリアミン食を完璧に続けようとすると、負担に感じてしまい、かえって続きにくくなることがあります。3食すべてを高ポリアミン食にする必要はないのです。 おすすめなのは、1日のどこかで、1品だけでも高ポリアミンの食材を取り入れるという方法です。 たとえば、 ・朝食でオレンジを1個食べる ・昼食のレストランでブロッコリー入りのサラダを選ぶ ・夕食に豆料理のお惣菜を1品加える ・焼肉に行ったらレバーをひと皿頼んでみる これくらいの気軽さで十分です。 「1日どこかで1品」という目標ならば、無理なく続けられそうだと思いませんか。それこそが、「ポリケア習慣」を長く続けるためのコツなのです。 (参考文献) (※1)食品のポリアミン含量 Nishimura K et al., Decrease in polyamines with aging and their ingestion from food and drink. Journal of Biochemistry 139: 81–90, 2006 (※2)地中海式食事をとる人はポリアミンの摂取量が多い Binh PNT et al., Mediterranean diet and polyamine intake: possible contribution of increased polyamine intake to inhibition of age-associated disease. Nutrition and Dietary Supplements 3: 1–7, 2011 ---------- 松藤 千弥(まつふじ・せんや) 東京慈恵会医科大学学長、医学博士 1958年、東京都生まれ。1983年、東京慈恵会医科大学医学部卒業。同大学附属病院内科研修医、同大学大学院を経て、1989年、同大学栄養学教室助手。1992~1995年、米国ユタ大学人類遺伝学研究所留学。2001年、東京慈恵会医科大学生化学講座第2教授。2007年、同分子生物学講座担当教授。2013年より学長。また2018~2024年、日本ポリアミン学会会長を務める。専門分野は遺伝子発現調節およびポリアミンに関する生化学・分子生物学である。 ----------
東京慈恵会医科大学学長、医学博士 松藤 千弥