巨人・阿部慎之助監督の暴行事件、児相・警察の迅速対応も「長女」に批判の声…児童虐待の専門家に聞く
●18歳以上でも児相が動くことも
──長女は18歳ですが、児童相談所は対応できるのでしょうか。 児童相談所は原則として18歳未満の子どもを対象にしています。そのため、18歳以上の場合は、児相が積極的に介入しないことも多いです。 ただし、公務員には、犯罪を知覚した場合に警察に通報をすることが求められます。また、今回のような未成年のきょうだいが同居している場合には、その子への心理的虐待の可能性も含め、家族全体への支援や調整が必要になることもあると思います。
●「子どもに関する相談窓口を一元化すべき」
──長女はAIの助言を受けて、警察ではなく児童相談所に相談したそうです。この行動をどう思いますか。 本来、子どもの安全に関する通報・通告窓口が、一元化されていないこと自体が大きな問題です。 今回のように刑事事件化する可能性があるケースでは、結果的には、警察への通報のほうが迅速かつ強い対応につながります。ただし、子どもにとって、いきなり警察に連絡することは心理的ハードルが高い。 その点、児童相談所は子どもからのSOSに慣れており、比較的アクセスしやすい存在です。今回は、児相が迅速に対応したことで、深刻化を防ぐことにつながったと思います。 今後は、子どもに関する相談窓口をよりわかりやすく、一元化していく必要があるでしょう。
●「児童相談所や警察は適切に対応した」
──SNSでは、「過去にも児相相談歴があったのでは」といった憶測もみられました。 今回報じられている行為態様であれば、たとえ過去の相談歴がなかったとしても、公務員として警察に通報するのは通常です。むしろ、それが児童相談所に期待される役割でもあります。 ──今回のケースをどう受け止めていますか。 海外でも、自分の子どもへの暴力は、第三者に対する暴力よりも軽く受け止められがちな傾向があります。その中で、児童相談所や警察が、家庭内の暴力であっても第三者に対する暴力と同等に対応したことは、素晴らしかったと思います。 一方で、SNSでは「対応が過剰だ」といった反応や、長女に対する批判もあったと聞いています。 しかし、日本でも、親から子どもへの暴力を「家庭内のこと」と矮小化せず、きちんと第三者に対する暴力と同じように受け止める視点が求められています。 また、公的に家庭をサポートする資源が十分ではありません。家庭内の問題も、社会全体でサポートする体制が整備されることが望まれます。 【取材協力弁護士】 飛田 桂(ひだ・けい)弁護士 特例NPO法人子ども支援センターつなっぐ代表理事であり、司法面接者でもある。神奈川県弁護士会に所属し、児童相談所の非常勤弁護士、いじめ第三者委員会を歴任するなど、子どもに関する法律関係を専門とする。 事務所名:飛田桂法律事務所 事務所URL:https://www.hida-law.jp/
弁護士ドットコムニュース編集部