本日衆議院議員会館であった「ヘイトスピーチ解消法から10年」院内集会、基調講演での安田浩一さんの蕨在住のクルド人女子大生の話がとても印象的だった。
彼女が都内の大学に通う為に蕨駅を利用する際、バスを降りてから駅に着くまで2分かかるのだが、その2分間を彼女は「2分間の勝負」と呼んでいて、とにかくその間に何も目にすることなく、何も耳にすることなく済めばいいと願って歩いているのだそうだ。もちろんその何かとは蕨駅前で繰り広げられるヘイトスピーチや排外街宣だったりするわけだが、運悪くその「勝負」に負けてしまった時には「下を向いて歩く」、「イヤフォンで耳を塞いで大好きなあいみょんの曲を聴く」といったことでやり過ごすそうだ。しかし、そうしていても目や耳に入ってくるものというのはある訳で、その中でもいちばんショックだったのは、ヘイター達が吐いた言葉ではなく、通りがかりの「普通の日本人の若者」が街宣を聞いて漏らした感想を聞いた時だそうだ。その若者達はその会話の中で「やっぱりクルド人なんかいない方がいいよね」と言っていたそうだが、何故彼女がそれにショックを受けたかと言うと、あからさまなヘイターが発する言葉はまだ「下を向く」「耳を塞ぐ」ことで避けられるが、彼女が送る日本人との大学生活や友人関係の中で「やっぱりクルド人なんかいない方がいいよね」と思っている人がいるかもしれないという疑心暗鬼を自身が抱いてしまうからだということだった。
一部の排外主義者共が差別扇動街宣をし、それに無責任に同調する一般市民が出てくる事を許してしまった時、彼女たちがマイノリティであるが故に、彼女たち自身の交友関係にまで疑心暗鬼に陥るような責苦を負わせている事を、マジョリティ側である我々がはっきりと自覚せねばならない。