抵抗の拠点から 平和運動、労働運動、市民擁立の政治家、メディア…を監視 「国家情報局」創設の危険な本質

参院本会議で国家情報会議設置法案に関して答弁する高市早苗首相=国会内で2026年5月8日午前10時11分、平田明浩撮影
参院本会議で国家情報会議設置法案に関して答弁する高市早苗首相=国会内で2026年5月8日午前10時11分、平田明浩撮影

治安機関の極秘文書を公開する!

 国家情報局設置を目指して走る高市早苗政権。それは統治の強化に向けた政権の意志であると同時に、そもそも「監視と弾圧」を旨とする日本の治安・情報機関の本性の反映でもある。長年の取材からそのことを知り尽くす青木理氏が、自ら入手した極秘資料をもとに緊急警告する。(ジャーナリスト・青木理/サンデー毎日5月31日号掲載)

 これから紹介するのは、いわば“古文書”である。だが、残念ながらその中身はまったく古びておらず、いままさに国会で審議中の重要法案―国家情報局などを創設する法案の危うい本質を見事に浮かびあがらせる。

 いまから四半世紀以上前、1990年代半ばから後半にかけて通信社の社会部記者だった私は、警視庁公安部を筆頭とする治安機関の取材に這(は)い回った。その過程では各治安機関の内部文書も大量に入手し、一部は所属通信社で報道し、今国会の審議でもその報道内容をもとに野党議員が政府を追及したことは本誌前号で記した。だから私の手元に残されている大量の文書群を再度ひもとき、現下法案に通じる問題点を指摘しておかねばならない。

公安調査庁の「生き残り策」とは何か?

 まずは法務省の外局に位置する公安調査庁が1998年に作成した文書―〈情報提報(ママ)と活用の在り方について〉と題する極秘文書である。国家情報局が創設されればその活動の一翼を担うことにもなる公安庁の文書は、表紙に〈取扱注意〉の刻印が複数押され、次のようなことが堂々と明記されている。

〈議員の最大関心事は、選挙及び地元情報であることは明らかである。そこで、共産党など当庁得意分野に焦点を当てた地元選挙情勢を作成し、説明に赴くことが議員との関係を深めるのに効果的と考えられる〉

 この一文が孕(はら)む問題の重大性は再述するまでもなかろう。治安機関であり政府機関でもある公安庁が選挙情勢に関する情報などを収集し、特定議員に提供するなどという所業を許せば、政府機関としての中立性や公正性から完全逸脱し、まさに当該政治家や政党の“私兵”に堕す。果ては民主主義の根幹たる選挙の公平性まで毀損(きそん)しかねない。

 だから国家情報会議設置法案を審議している衆院の内閣委で野党議員は、かつての私の報道を引きつつ政府に迫った。「いまもこんなことをやっているのか」と。これに対し、公安庁の総務部長は開き直った。「どういった情報を収集するか、どういった情報をどういった方に提供するかは、当庁の業務に影響するのでお答えを差し控える」…

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