会話

「沖縄の修学旅行死傷事件については安全管理面で処分・対策すべきであって教育の政治性に踏み込むのは悪手ではないか」…と私も最初の報道を見て思いました。が、文科省の報告書第一報全文を読んで考えが変わりました。これはひどすぎます。学校の偏頗な政治思想と教育方針こそが生徒の安全を脅かしたのだということがわかる内容になっており、教育基本法違反と評したことは妥当に思えます。 ・修学旅行初日の時点で「法令違反になる場所に入る抗議活動である」ことが明言されていること ・同様の抗議活動の説明は2019年以降複数回行われていること ・その抗議活動の現場を見ることが研修旅行の主たる目的であることが教員側から明言されていること ・2015年以降の研修旅行のしおりには「ヘリ基地反対協議会による座り込み共闘のお願い」が書かれていること ・学校はボート船長らに謝礼を払って乗船を依頼しつつも安全性について全く検証された形跡がない上に生徒に対しても安全指導がなかったこと ・過去の研修旅行後には参加生徒から危険性や不安についての報告が上がっていたにもかかわらずこれらの声は全く顧みられず、教育•安全関連の諸法令が校長・教職員会議・担任のすべての過程でまったく参照・議論されていないこと ・学校側は「抗議船であることを知っていたのは一部の教員のみ」などと釈明しているものの、過去の経緯に照らして学校の教育活動として実施されたことは明らかであること などが20ページに渡って記載されており、今後も調査を続けるとしています。 事件が起こった後もなお虚偽の報告を続ける学校側には呆れるしかありませんが、この一連の安全軽視が学校側の政治思想とは無関係であると評することは無理があります。仮に今回の事故が、右派活動家による尖閣諸島の視察コースであって、その目的が「中国からの領海・領空侵犯の現場を見て平和について考えること」と学校側から明言されていて、安全性についてはまったく議論せず、右派活動家に報酬を渡して違法なボートに生徒を乗せた挙句に生徒が死傷した事故だったらどうでしょうか。「学校側の問題は安全性評価のみであって教育思想は関係ない」と評せたでしょうか。そんなわけないですね。その一方的な思想が生徒の安全性を軽視してでも強行する方向に導かせたと考えざるを得ません。今回も同様に、生徒の安全性確保が重要であるからこそ、根本的な原因となった教育方針そのものを指摘するのは至極順当な流れです。 歴史上の実例を持ってくるなら、第二次大戦中の特攻隊の問題は単に隊員の命の軽視だけに分離されて評されることがないのと同じです。リベラルな方々こそ、特攻隊のような戦時中の命の軽視は政治思想が原因だったと評しているわけで、「政治思想が過激化すると命の軽視につながる」点については党派性によらず合意しているはずなのです。まさに私たちが歴史教育・平和教育で学んだことではないでしょうか。 一部の人は「文化祭で生徒が政治的なパフォーマンスをやっている学校には何も言わないのか」などと文科省を批判しているようですが、仮にそういったパフォーマンスが生徒の命まで脅かすまで過激化していれば当然今回のような介入があって然るべきでしょう。政府による介入が一切あり得ないなら法の意味がありません。上記の例然り、もしも尖閣諸島に違法戦で特攻するような団体に学校が報酬を渡して生徒を修学旅行で連れて行くようなことがあれば当然取り締まるべきです。 なお、文科省の報告書では沖縄での歴史教育の意義を否定していません。「我が国においても沖縄戦などで戦禍を被ったことに着目させ、平和で民主的な国際社会の実現に努めることの重要性を自覚させるようにする」ことが学習指導要領の一部であることを記載しつつ、「沖縄における平和学習についても、教育基本法、学習指導要領、関係法令、学校の政治的活動についての通達、校外学習の安全確保の通達等を踏まえて適切に行われることが必要」と結ばれています。至極当然のことであり、たとえば「ひめゆりの塔」に生徒を見学させる学校が委縮すべきような内容ではないでしょう。違法船で違法地域に生徒を乗せる修学旅行が異常すぎただけです。 ほとんどの親は学校に教育を望んでいるのであって、政治的教化望んでいないばかりか、子が安全に帰宅することは党派性によらず最低限の要請とみなしています。「人の命を軽視する組織はその根底の思想に問題がある」という、私たちが歴史から学んだことが活かされるべき事例と言えます。 個人的に子の進路選択のために中高の見学を重ねている時期でもあるため、他人事ではなく「子を安心して預けられる学校を選びたい」と一層思わせる事件でした。今後の経過も見守ります。 (画像は文科省報告書から一部抜粋)
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引用
藤代 裕之(Hiroyuki Fujishiro)
@fujisiro
文部科学省の学校法人同志社に対する調査結果の報告書を見た。高校側の説明に対し、文科省が過去の事項を列挙して「それは違うのでは」とする内容で、安全管理や教育内容などいずれも法人や高校のガバナンス欠如や対応の不適切さが際立つものだった。ここまでひどいとは…という印象。
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