サイエンス

2026.05.24 10:00

中国の研究開発費、米国を上回り世界一に トランプが解任した科学審議会が残した「屈辱的」な警告

2026年4月1日、米フロリダ州のケネディ宇宙センターからNASA主導の月周回ミッション「アルテミスII」の宇宙飛行士4人を乗せた有人宇宙船オリオンを搭載して打ち上げられる大型ロケット「スペース・ローンチ・システム(SLS)」(NASA HQ PHOTO, Public domain, via Wikimedia Commons)

2026年4月1日、米フロリダ州のケネディ宇宙センターからNASA主導の月周回ミッション「アルテミスII」の宇宙飛行士4人を乗せた有人宇宙船オリオンを搭載して打ち上げられる大型ロケット「スペース・ローンチ・システム(SLS)」(NASA HQ PHOTO, Public domain, via Wikimedia Commons)

中国はすでに研究開発費支出で米国を追い越し、世界1位となっている。これは、ドナルド・トランプ米大統領によって4月に全委員が解任された全米科学審議会(NSB)がまとめていた報告書の内容だ。

米国の科学競争力に関する隔年報告書『米国の科学・工学の現状 2026年版(The State of U.S. Science and Engineering 2026)』(通称:Indicators)によると、中国の研究開発費は2024年時点で1兆300億ドル(同年末レートで約163兆円)で、米国の1兆100億ドル(同約160兆円)を初めて上回った。

今週、全米科学アカデミー(NAS)の会員でカリフォルニア大学デービス校特別教授のウォルター・リールは、自らが筆頭者として4月に上院歳出委員会に送付した連邦科学予算削減を憂慮する書簡が「外部の専門家の証言」として上下両院の小委員会で正式に採用されたことを報告した。ノーベル賞受賞者48人、全米科学賞受賞者30人、NASと全米工学アカデミー(NAE)、全米医学アカデミー(NAM)の会員合わせて1500人以上を含む3375人が署名した書簡は、2027会計年度の連邦研究予算削減案について「一世代分の科学的人材の喪失を招く」と警告している。

下院労働・保健福祉・教育・関連機関小委員会は6月5日に米国立衛生研究所(NIH)の予算案を審議する。上院では現在、公聴会が開かれている。

増える署名、若手研究者の間に危機感広がる

リール教授らが上院に書簡を送付するのは、昨年8月に続いて2回目だ。約2000人が署名した最初の書簡は、研究機関の予算削減案が「経済、公衆衛生、国家安全保障、イノベーションに取り返しのつかない結果をもたらすだろう」と警告していた。今回、署名の数は前回比で50%以上増加し、新たに署名した賛同者のうち200人以上がアシスタント・プロフェッサー(助教)だ。政策変更の影響を真っ先に被る若手科学者たちである。

2回とも書簡に署名したジョージア工科大学の海洋生態学者でNAS会員のマーク・ヘイは、支持の広がりそのものがニュースだと語る。「これほどの意見の一致は異例だ。科学者というのは、生涯を研究に捧げている。そして、攻撃されている矛先は単に科学にとどまらない。真実という概念そのものなのだ」

次ページ > 委員解任で公表されなかった「屈辱的」な警告

翻訳・編集=荻原藤緒

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2026.05.22 11:00

引越しビジネスのパイオニアが魅了された「馬主の世界」

創業50年を迎えたアート引越センター。日本に「引越サービス業」を誕生させた寺田千代乃名誉会長は、女性起業家のパイオニアであるとともに、30年以上のキャリアを持つ馬主としても知られる

気品ある競馬場での社交や、所有馬を通して得られた経営哲学、そして馬主であることの歓びについて伺った。


ーーアート引越センターは今年で創業50周年を迎えられました。現在のお気持ちはいかがですか。 

寺田千代乃(以下、寺田):正直「早かったな」という印象です。1976年の創業時は主人を含めわずか7名でのスタートでした。今ではグループ会社を含め社員は8,400人以上と規模も大きくなりましたが、ここまで来られたのは、お客様はもちろん、従業員の力あってこそのことだと思っています。

ーー創業当時、引越しとは運送会社が土日に空いたトラックを使って副業的に行うものだったとか。どのようなきっかけで、引越しそのものがビジネスになると思いついたのでしょうか。

寺田:当時は、引越しは親戚や近所の手を借りて自分たちで行うのが普通でした。ちょうど私たちが引越サービス業を始めた頃、各家庭にピアノが普及し始め、家財道具が大型化していきました。一般の方が自分たちでピアノを運ぶのは難しいですよね。

さらに当時は団地が多く、階段は途中で折れ曲がり、荷物の角度をうまく変えながら運ぶのも一苦労。引越しのプロが求められていたのです。とはいえ、始めた当初は、引越しがこれほど一つの産業として認知されるようになるとは思いませんでしたね。

競馬場の美しさに驚いた

ーー経営者として長年のキャリアをお持ちですが、馬主としても30年以上にわたりご活躍されています。競馬との出会いを教えてください。 

寺田:私が尊敬する経営者の方が馬主をされていて、その方からお誘いを受けたのがきっかけです。それまで馬に興味があったわけでもなく、競馬場といえば、昔の映画に出てくるような「耳に赤鉛筆を差したおじさんたちが集まっている場所」というイメージがありました。

そのため最初は少し気が進まなかったのですが、私を含めて10名の経営者仲間で京都競馬場を訪れて、驚きました。コースの美しさも含め、自分が抱いていたイメージとは全く違う。まさに「目から鱗」でした。レースも非常にエキサイティングで。

ーーその時お声をかけてくださった経営者とは、どなただったのでしょうか。

寺田:ホソカワミクロンの細川益男さんです。マチカネタンホイザ、マチカネフクキタルといった「マチカネ」が付く馬の馬主として有名でした。細川さんは、「日本の競馬界をもっと欧米に近づけたい、きちんとした人たちが集う気品ある場所にしたい」という夢をお持ちでした。

ちなみに現在、男性の馬主が競馬場でネクタイを着用しているのは、細川さんの提案がきっかけだそうです。特に「欧米の競馬の雰囲気、社交の場としての競馬場を日本にも実現したい」という細川さんの思いは、今も受け継がれています。

細川さんは競馬を知らない10人の経営者を集めて競馬場を案内くださり、「試しにまず、1頭お持ちになっては?」と。私を含め、そのうち、なんと5人が馬主になりました。細川さんの熱意に強く訴えかけられ、私も協力したいと思ったのです。

ーー実際に馬主になられて、どのような歓びがありましたか。

寺田:なんといっても自分の馬がレースで走る姿を見ることが一番の歓びです。私が初めて馬を持った当時は仕事が忙しく、なかなかレースを観に行けませんでした。ところが、ある所有馬のデビュー戦が札幌競馬場だった時に、遠いから最初行くつもりはなかったのですが、思い立って観に行きました。頑張る愛馬を、その場で応援したくなりましてね。そうしたら、その子が見事優勝。我が子の活躍を目にした歓びは、今でも忘れられません。

その子の名前はミスパンテール。のちに重賞(賞金の高い重要なレース)を4つも勝ってくれて、今はアメリカのケンタッキーでお母さんとして血を繋いでくれています。

アート引越センター 寺田千代乃名誉会長
アート引越センター 寺田千代乃名誉会長

「目が合った」仔馬が大活躍

ーー血統が繋がることも競馬のロマンの一つですが、馬主として欲しい馬を選ぶ際、どのような点を大切にされていますか。 

寺田:血統だけでなく、縁や直感も大切にしています。ある時、調教師さんに誘われて北海道の日高にある牧場へ馬を見に行った際、目当ての仔馬ではない別の仔馬と目が合いました。

それがとっても可愛くて、私は「この子がいいです」と即決しました。あまりの決断の早さに周りは驚いていましたが、実はその子が、後に初めての重賞勝ちをプレゼントしてくれたディアチャンスという馬だったのです。

ーーその後、競馬に関わる全ての人が目標とする大レース、日本ダービーに所有馬を出走させるまでになりました。

寺田:私の所有馬でダービーに出走したリオンリオンという馬がいました。信頼する調教師さんが「どうしてもこれが欲しい」と惚れ込むほどの馬で、セリでも人気があって、どんどん値段が上がっていく。さすがに調教師さんも「もう、買うのはやめておきましょう」と止めてくださったのですが、この子も私と目が合ったのです。ですから、どうしても欲しくて頑張りました(笑)。

リオンリオンは引退後、種牡馬になりました。通常、大きなレースをいくつも優勝していなければ血を残していけないのが競馬の世界なのですが、私は「リオンリオンの子を自分で持ちたい」と強く思ったのです。そしてリオンリオンの子どもを所有しました。「夢を子に託す」ことは、競馬のロマンですね。

ちなみに今、私の所有馬にはマテンロウレオ、マテンロウゲイルといった「マテンロウ」の冠を名前につけています。これは会社をニューヨークに進出させたときに見た摩天楼が忘れられなくて。馬名に思いを託すのも、馬主の歓びのひとつですね。

競走馬セリ市「セレクトセール」にて(寺田千代乃氏提供)
競走馬セリ市「セレクトセール」にて(寺田千代乃氏提供)

競馬と経営 意外な共通点

ーーところで「競馬」と「経営」、このふたつの世界に共通点はありますか。 

寺田:どちらも「一人ではできないチームプレイ」だという点です。競馬でいえば、牧場から始まり、持ち主が決まり、預け先である厩舎が決まり、ジョッキーが乗る。連携プレーなのです。会社経営も全く同じです。

なかでも私が最も大事にしているのは「信頼関係」と「ムード」。アート引越センターには全国各地に支店がありますが、コンスタントに成績が良い支店は、訪問してみるととにかくムードが良いのです。

ですから、顧客満足度はもちろんのこと、従業員満足度が大切。従業員の満足があってこそ、お客様に良いサービスができるのです。これは厩舎を訪れた時にも感じるものです。人間がつくる良いムードは、馬にもそのまま伝わります。

ーーその良いムードをつくるためには、何が必要なのでしょうか。 

寺田:やはり信頼関係です。ただし、任せっきりにするのは、ほったらかしと同じ。任せながらも見守ることが大切です。

私は今でも、調教師さんや牧場の方と頻繁にお話しするようにしています。会社でも、数字はデータを見ればすぐに分かりますが、あえて支店に足を運ぶ意味は「今どうなの?」と声をかけ、現場の空気やスタッフの顔を見に行くことにあります。そのように、私は「信頼」と「ムード」の両輪を大切にしています。

それから私はいつも「運は、しっかりと準備をしているところにやって来る」と言っています。準備がなければ、運やチャンスが目の前に来ても気づきません。運が向いてきた時にしっかりつかめるよう、常に備えをしておくことが大切なのです。

ーー数々の新しい事業に挑戦されてきましたが、その「決断力」の源は何でしょうか。 

寺田:あまり計算しすぎないことです。今は情報が多すぎるため、失敗を恐れて二の足を踏んでしまいがちです。そうではなく、自分が本当に「やろう」と思ったらまずはやってみる。そして、見込みがないと思ったら退く勇気を持つこと。一度走らせたものを止めて元に戻すのは大変ですが、その決断力が経営には必要です。

ーー経営者としてのこれからの目標をお聞かせください。

寺田:引越しが基幹事業ではありますが、今後は児童福祉事業にもさらに力を入れていきたいと考えています。保育だけでなく、発達障害のお子様や医療的ケアが必要なお子様の教室なども展開し、グループ全体で社会貢献をしていきたいです。これは単なるボランティアではなく、一つの事業としてしっかり自立させながら、世の中のお役に立っていく。従業員が「うちの会社は社会のためにこんな活動をしているのだ」と誇りを持てるような企業であり続けたいと思っています。

ーー馬主としてのこれからの「夢」は何でしょうか。

寺田:馬主になって30年が過ぎましたが、ここまで来たらやはり最高峰のGⅠレースを制覇したい。昔、細川さんが「30年目にして初めてGⅠを獲った」と仰っていた時は「大変なのだな」というくらいに聞いていたのですが、今ならその重みがわかります。夢を叶えたら、盛大にお祝いがしたいですね。

ーー最後に、馬主の世界に興味を持たれる方々へ向けてメッセージをお願いします。

寺田:競馬を通じて得られる学びや人との繋がりは、ご自身の経営哲学や人生観にも、必ず良い影響を与えてくれるはずです。馬主の世界では、年齢や性別を問わず、様々な方が集まり、関係性を築くことで、新たな視点や気づきが生まれています。

「1頭だけでも馬を持ってみようかな」という方が、もっと増えてほしいですね。馬の世界に少しでも興味を持ち、馬主になりたいと感じておられるなら、まずは実際に挑戦してみていただきたいです。

 (聞き手:寺本章子)

インタビューの動画版はこちら

寺田千代乃(てらだ・ちよの)◎アート引越センター名誉会長。兵庫県出身。1976年、夫・寺田寿男氏と共にアート引越センターを創業。日本に「引越サービス業」を確立させた。2002年、女性として初めて関西経済同友会の代表幹事に就任。
1994年、馬主登録。2007年、所有馬ディアチャンスがマーメイドステークス(GⅢ)を制し、初重賞制覇。
2026年4月30日現在、JRA通算161勝(うち重賞11勝)

promoted by 日本中央競馬会/text by Tomoya Tanimura/ photograph by Tamami Tsukui

サイエンス

2026.04.28 07:00

トランプ政権、全米科学委員会の全委員を解任 米国の科学の未来はどうなる?

全米科学財団(NSF)の助成金で米ニューメキシコ州ソコロに建設された電波望遠鏡VLA(カール・ジャンスキー超大型干渉電波望遠鏡群)の可動式アンテナ(Joe McNally/Getty Images)

全米科学財団(NSF)の助成金で米ニューメキシコ州ソコロに建設された電波望遠鏡VLA(カール・ジャンスキー超大型干渉電波望遠鏡群)の可動式アンテナ(Joe McNally/Getty Images)

米ホワイトハウスは2026年4月24日、全米科学財団(NSF)の監督機関である全米科学委員会(National Science Board:NSB)の委員24人全員を解任した。米国の基礎研究や学術研究活動を支援する中心的な連邦政府機関であるNSFのウェブサイトによると、NSBの次回会合は5月5日に予定されている。

研究者や学術関係者でもなければ、NSFやNSBという組織の名称に馴染みはないだろう。1950年の国立科学財団法(National Science Foundation Act of 1950)により設立されたNSFは、理事長と委員会(NSB)の二頭体制で運営されている。両者は共同で、年間約90億ドル(約1兆4300億円)に上る連邦政府の研究資金を配分するNSFの戦略的方向性を定め、予算案を承認し、新たな研究プログラムを認可している。

NSBを構成する24人の委員は、科学、工学、教育、公共政策の各分野での卓越した実績に基づいて推薦され、産業界や学術機関から選出される。任期は6年間で、各委員の任期は重ならないよう設定されている。これにより、科学研究の優先順位が委員の選出タイミングに左右されず、科学の進歩という長期的な視点に立って決定できるよう工夫されているのだ。国立科学財団法では、委員を「確立された実績のある卓越した功績のみを根拠として」選出することを定めている。

筆者は今、この最後の一文を繰り返し思い返している。

米国の科学的優位性は、あたかも才能や資金の産物であるかのように語られることが多い。しかし、実際にはそれは制度の結晶であり、戦後世代が意図的に築き上げた、委員会、定款、任期、査読、そして法律で保障された独立性といった、華やかさとは無縁の仕組みの賜物である。

この構造は、フランクリン・ルーズベルト政権で科学顧問を務めたバネバー・ブッシュ博士が1945年にまとめた報告書『Science, the Endless Frontier(科学、果てなきフロンティア)』に端を発する。この報告書では、連邦政府の科学研究に必要なのは、政治的圧力から隔離されたガバナンスと単一の予算サイクルを超えた支援の安定性だと論じていた。

次ページ > 問題は、次に誰が委員を務めるのかではない

翻訳・編集=荻原藤緒

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北米

2026.01.20 09:41

AIが加速する科学的発見──だが米国は「奇跡の機械」を破壊しようとしている

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AI(人工知能)を科学研究に活用している専門家たちの話を聞くと、大規模言語モデル(LLM)の能力が科学的発見においていかに有用であるかが理解できる。

なぜか。科学は観察可能な実験と堅牢なデータセット、つまり理論を支える知識の集積に基づいている。より優れたデータセット、より深い洞察、そして極めて強力なパターン認識能力を持つことで、科学研究の本質が根本的に強化されるのだ。

現代の進歩におけるAIの役割を認める多くの論文の1つである、科学誌Natureに掲載された論文の著者による説明を考えてみよう。

「AI(人工知能)は、科学的発見に統合されつつあり、研究を補強し加速させている。科学者が仮説を生成し、実験を設計し、大規模なデータセットを収集・解釈し、従来の科学的手法だけでは不可能だったかもしれない洞察を得ることを支援している。……生成AI手法は、画像や配列を含む多様なデータモダリティを分析することで、低分子医薬品やタンパク質などの設計を創出できる」

上記の引用は、より優れた、あるいはより強力な科学に貢献する具体的な能力の一部をカバーしている。

しかし、世界中で科学を強化しているこれらすべてのAIの「成果」に加えて、米国では科学に関する追加的な感情がある。それは、AI時代においては、科学を持たなければならないということだ。

ビル・ナイ氏が立ち上がる

昨年の「科学のために立ち上がろう(Stand Up for Science)」イベントで、著名な科学者ビル・ナイ氏(「サイエンス・ガイ」として知られる)が、米国議会議事堂近くの群衆に短い演説を行った。私は彼と長時間の自転車ライドに行き、その間ずっと話をする栄誉に浴したが、彼がいかに特別な人物であるかをすぐに理解した。

「科学のプロセスは、私たちが苦労して獲得した科学的知識体系とともに、世界の数十億人を養い世話をし、偉大な都市を建設し、病気を治療し、グローバルな輸送・通信システムを創造し、さらには星々の中での私たちの位置を知ることを可能にした」とナイ氏は過去について語った。

そして、現代の米国人への訴えがあった。

「科学は米国の物語の一部だ」とナイ氏は述べた。「米国が世界をリードするためには、科学を抑圧してはならない……科学は国益にかなうものだ。科学を検閲することは国益にかなわない。私は反対側にいる人々に、隊列を組み、リーダーとなり、この科学への抑圧を支持するよう促す。建国の父たちは、科学と工学を推進することで、市民が自由に研究し革新することができ、それが経済を刺激するという考えを受け入れた。世界の舞台で競争し、私たちを安全に保ち、最終的には私たち全員の生活を改善する。すべての市民、すべての市民、私たち一人ひとりが、自分自身と家族のためにより良い未来を望んでいる。共に、私たちは科学のために立ち上がることができるし、立ち上がらなければならない。世界を変えよう」

では、なぜこのように科学を擁護するのか。なぜ科学が攻撃されているのか。そして、データ駆動型の科学と医学が大きな可能性を持つ時代に、私たちが直面する具体的な脅威とは何か。

ヌバー・アフェヤン氏の年次書簡

新年を迎えるにあたり、Flagship Pioneering創業者兼CEOのヌバー・アフェヤン氏の年次書簡がある。私は昨年、彼の書簡を取り上げた。それは「ポリインテリジェンス」について語り、AIの統合について、多くの人々が今まさに語っているシンギュラリティの概念に近づく方法で論じていたと私は考えた。私はまた、MITでの彼の卒業式スピーチも取り上げたが、そこでも同様のことが語られていた。

今年、アフェヤン氏の書簡は異なるテーマを持っている。

「私たちはバイオテクノロジーの完全な可能性を実現し、奇跡を起こすことにかつてないほど近づいている一方で、その可能性を投げ捨てることにもかつてないほど近づいている」とアフェヤン氏は書き、科学の価値についての議論の舞台を設定し、チャールズ・ディケンズの言葉を引用した。「それは最良の時代であり、最悪の時代でもあった」。「私たちは奇跡の機械に大ハンマーを振り下ろす危険にさらされている」

この色彩豊かな比喩はさておき、アフェヤン氏は、今日の米国で科学がどのように扱われているかについての最大の懸念のいくつかを説明し続けた。

「良い点(The Good)」というタイトルの下で、彼が進歩をどのように特徴づけているかの一部を以下に示す。

「2025年の一連の人工的な奇跡は、科学が──機能することを許されたとき──世界中の数百万人、いや数十億人の健康と長寿をどのように革命化できるかを示している。医学と生物学全体にわたって、私たちは医学の体内での到達範囲を拡大し、治療困難な状態を治療可能にし、複合的な科学的奇跡が私たち一人ひとりの生活をより健康に、より安全に、より長くするユートピア的な未来の一端を提供する画期的な進歩を目にした」

そして、課題がある。

「米国が科学への支援から後退しているのを見るのは憂慮すべきことだ」とアフェヤン氏は書き、2025年に米国政府が基礎研究への重要な資金を削減し、数千の研究プロジェクトをキャンセルし、科学助成金を削減したことを指摘した。「米国立衛生研究所(NIH)と米国立科学財団(NSF)の予算をそれぞれ40%と56%削減することを提案した」と彼は書いた。「新進気鋭の研究者のための数百のフェローシップを廃止した。そして、米国が世界中から最高の科学者を引き付け、彼らの研究から恩恵を受ける能力を著しく制限する新しいビザ政策を導入した」

これは、社会全体に極めて否定的な影響を与える可能性があると彼は主張した。

「科学予算の大幅削減は悲惨だ」と彼は書いた。「さらに悲惨なのは、学術的科学事業の拒絶、70年以上にわたる米国政府とのパートナーシップの断絶、そして科学的手法への軽蔑の高まりだ。これは将来の画期的な進歩を脅かすだけでなく、致命的な病気──私たちが歴史に追いやったと思っていた病気──に対する長年確立された安全で効果的な治療の時計を逆戻りさせる」

アフェヤン氏が明らかにしたように、確立された科学の弱体化から生じる、より具体的で即座の結果の1つがある。それは、ワクチン接種の減少と医療研究の科学的応用における関連する欠陥により、はしかが病気として再出現していることだ。

検証せよ、しかし信頼せよ

ある種の「反科学」的な考え方を引用して、アフェヤン氏は次のように述べた。

「懐疑主義は科学的手法の重要な部分だ。アプローチと結果についての議論は、科学がどのように機能するかの中心だ。しかし、私たちが目にしているのは、科学的手法そのものに対する全面的で腐食性の疑念に変質した懐疑主義だ。それだけではない。最も声高な声の一部は、厳密な実験からの膨大なデータを無視して、自分たちの意見を代替的な科学的事実として提示している」

実際、連邦政府の中でこれが機能しているのを見ることができる。アフェヤン氏はこの問いを分析に持ち込んだ。

「啓蒙時代以来初めて、これは科学的手法が科学における意見の相違を組織し解決するための実行可能な方法であるかどうかという問題を提起する。私たちは証拠を見るのか。それとも、個人的な意見や信念、あるいは『インフルエンサー』が言ったこと、あるいは都合の良いこと、あるいは政治的または財政的に都合の良いことに基づいて結論に達するのか」

最終的に私たちが何をするかが、すべての違いを生むと彼は示唆した。これは記録ではないので、彼が書いたことを短縮する必要があるが、より短く直接的な訴えの1つを以下に示す。

「私たちは人工的な奇跡をもっと奨励したいのか、それとも人工的な大惨事のリスクを冒したいのか」

地政学と文脈

書簡の追加セグメントで、アフェヤン氏は、グローバルな競争相手である中国が科学的進歩に関して行っている仕事の一部を提示し、米国が追いつくことができるかどうかを疑問視している。彼の評価の一部を詳細に以下に示す。

「わずか過去10年間で、中国は大規模な研究開発を通じた科学的手法への支出を400倍に増やした。国内のバイオテクノロジー企業が、米国の競合他社の何分の一かの時間とコストで革新を進めることを可能にする規制の枠組みと研究インフラを構築した。2015年から2018年の間に、中国の医薬品規制当局の労働力は4倍になり、2万件の新薬申請の滞留がわずか2年で解消された(比較すると、米食品医薬品局(FDA)は毎年数百件の新薬申請しか審査していない)。中国のSTEM博士号取得者数は、2000年の1万人未満から2022年には5万人以上に急増した。そして中国は、次世代の科学的発見を支えるAIモデルを訓練するための高品質で自由にアクセス可能なデータセットを編纂した」

ある意味で、数字が物語っていると思う。

グローバル競争が接戦である時代に、アフェヤン氏は、わずかな失敗でさえかなり悪い転落につながる可能性があることを示唆しているようだ。そしてそれは私には理にかなっている。私たちには、21世紀に科学的手法の核心に疑念を注入したり、混乱したりする時間や余裕はない──非科学と非理性の非常に現実的な「暗黒時代」と戯れるリスクを冒して。

精神的な側面

アフェヤン氏は、この広範囲にわたる批判において、人間性の精神的な側面も無視していない。

「聖書は信仰を『望まれるものの実体、見えないものの証拠』と表現している」と彼は書いた。「そしてこれは、私にとって、精神の問題だけではない。それはまた、科学者が実験を提案する動機を説明している。何かが可能かもしれない、解決可能かもしれない、証明可能かもしれないという事実だ。最初に、すべての新しい仮説は信仰の飛躍だ。すべての実験は、未知の形についての推測から始まる──可能性の領域への飛躍だ」

米国については、こう述べている。

「米国は、私が住んだり訪れたりした他のどこよりも、前方にあるかもしれないものへの信仰に根ざしている」とアフェヤン氏は続けた。「より良い未来への信仰、より完璧な連合への信仰、発明し革新する人間の能力への信仰、民主主義の理想の力への信仰、移民の再生的可能性への信仰、真実の探求への信仰、科学への信仰」

これらすべては、私に非常に強く共鳴した。科学がまさに超強化されているときに科学を拒絶するなら、それは、批判的推論スキルを持つ多くの人々が理由があってかなり厳しく精査するであろう、危険な二分法を設定する。

おそらく私たちは2026年に新たなコミットメントをすることができるだろう──あるいはできないかもしれない。

forbes.com 原文

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