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【Fate】美容院での会話なんて【5次槍弓】/Novel by 紫月@ついった在住

【Fate】美容院での会話なんて【5次槍弓】

5,367 character(s)10 mins

美容師槍と社会人弓のお話。タイトル浮かばなかった。そして思いのほか長くなった。あと、凄く半端に終わってるのは、此処までしか浮かんでないから。これ以上はないです、此処までしか浮かんでないので此処で終わり。他の人にオチー!!って言ったら返事なくて、んじゃここまででいっか!と開き直って書きました。タイトルも浮かばなかったので、これはあれ、ネタ分かる人がいたら私と友達になれる。ちなみに余談。私4月から社会人になって忙しくてなかなかアップできなくて困ってる!!そのせいかもうどうやって書いてたのか忘れた…へたくそスンマセン… 槍弓ください…あ、明日SCC一般で行って来ます!!

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美容師槍と社会人弓のパロ

だいたい年齢は20代半ば?細かい設定は考えてない。



エミヤは特に金がないわけではないが自分のことに対して使うという感覚が、どこか欠乏している自覚はあった。特に趣味という趣味もなく、それに使われることはなかった。
勿論料理という趣味はありはしたが、それも実家住まいになってくると、自分のために使っている、という感覚からは少しばかり離れてくる。
一般的に考えるより、器具や素材にはこだわりはするが、食材などはむしろいくら安く良いものが買えるなど、主婦的な感覚が上回っているため、更に金を使うことへの感覚がマヒしてくる。
殊に必ずしも必要のない物となってくると、それだけあれば、いくらの器具を買った方がまし、などという思考に直結してしまうのだから手に負えない。服装などは、500円のシャツなど、やはりセール品を愛用してしまう。
周りはそんなエミヤに対して、口を酸っぱくしてもっと身みなりにこだわれ、などと言っては来るのだが、いざ店に行くと値札を見て帰ってきてしまうのは、そんな生活をしているからに他ならないだろう。
そのため、髪を切るのも、わざわざ店に行ったり、ということはなかった。最初は普通のはさみを使っていたが、それにも怒られてしまったため、せめてもと梳きバサミを購入し、それを使って前髪は自分で切っている。
うしろは他人にやってもらうため、それなりに整うが、前髪は自分でもできると思い、更に頭に撫でつけ、あげてしまえば、不揃いも目立たないので、自分でするようになってからは常に前髪をあげるという髪型を変えることもなかった。
周りからはとやかく言われたが、自分の容姿もさして整っていると思っていないエミヤは今更髪をどうしようが服装をどうしようが何も変わることはないとずっと聞き流してきた。そして、そんなエミヤに、周りはいうだけ無駄と諦め、とやかくいうことはなくなった。
更に社会人になってからは、外に行くのはスーツで済むため余計に服装にこだわらなくなったのだが、それも必要性を考えると問題ないとすら思っているのだから、周りは悪化したと頭を痛めているのは、本人だけが知らないことである。



そんな生活を送ることに慣れきってしまった頃。エミヤはある出会いを果たした。



「なぁ、アンタさ、オレのカットモデルになってくれない?」
「特に偏見などはないが、誘い文句としては酷い気がするが?」
「へ?誘い文句?えー…、あっ!?オレにそんな趣味はねぇぞ!!てかナンパじゃねぇ!!ん?ある意味ナンパか?」

仕事が休みの日に、テレビで紹介されていた調理器具欲しさに1人で少し遠出をしたときのことだった。対してこぎれいな格好もせず、人の多い場所を歩いていた時だった。
蒼い髪をした男が不意に声をかけてきた。少しばかりチャラついているような印象を受けるような男ではあったためか、声を掛けられたという時点でエミヤは即座にナンパ扱いしてしまう。
男が男に、という時点で何かがおかしいとは思わないが、自分に、ということにはそれなりに疑問を感じ、無視するのではなく言葉を発してしまったのは、それなりに動揺しているということだろう。
ただ男は言われた言葉に目を瞬かせ、意味を理解した途端焦りを見せ始めた。だが、すぐに何処か納得したように考えだした男に、もう用はないかとエミヤは歩き出そうとする。

「あぁ!ちょっと待てよそこの兄さん!」
「なんだ、偏見はないが誘いには乗らんぞ?」
「そうじゃなくて!カットモデルって、意味分かってる?」
「ん?宗教か何かの勧誘か?ならなおさら間に合っているが?」
「ちげぇ!!」

自分の思考にひたっていた男も、急に歩き出したエミヤを引き留めようと、走って回り込んできた。行く手を遮るかのようなその行動にエミヤは小さく肩を竦めてしまう。
それどころか男の言葉は聞いたこともないもので、小さく首を傾げた。だが、それに男は全力で否定の言葉を叫んでくるのだから、周りは何事かと此方に視線を向けてくる。
あまり目立つことが好きではないエミヤからすると、その視線は避けたいものであり、思わず己の口元に手が行ってしまう。あぁ、面倒くさいのに捕まったなと。

「だから、カットモデル!オレは美容師してんの。それで、アンタの髪質が気に入ったから切らせてほしいだけ」
「見ただけで気に入るとは、酔狂だな」
「美容師には褒め言葉だな。別に金取ろうってわけじゃねぇよ。切った料金はモデル料ってことで。時間は取らすかもだけど、悪い話じゃねぇだろ?な、切らせてくれね?」

顔の前で手を合わせて本気で懇願してくる男に、エミヤは困惑しか浮かばない。ただでさえ騒いでいて人の視線が痛い。その上で、断ったら土下座でもしてきそうな男に、目立ちたくない気持ちが激しくせり上がってくる。
それに、時間を取られるのは面倒だとは思うが、常々美容院に行けと周りに言われまくり、あの金額を出したくないだけというだけで行っていなかった経緯を考えると、確かに悪い話ではない。
自分できるのもそれなりに手間であるし、周りは髪を切ることを頼めば嫌そうな顔しかしない。そろそろ切りたいと思っていたこともあり、思わず言葉に詰まる。

「今時間あれば、ちょっと試しだけでも…」
「……試し、だけなら…」
「ほんとか!ありがとな!こっちだ、オレの店」

窺うように視線を向けられ、様々な要因も相まって、エミヤは思わず頷いてしまった。
そこで男は顔をあげると、有無を言わさずエミヤの手を取り勝手に歩きだしてしまった。こうなってしまえば断ることなどできないなと、何処か達観しながら、エミヤは男に連れられるままに歩きだしてしまったのだった。




「エミヤさ、全部自分でやってたろ、特に前髪」
「分かるのか」
「そりゃこんだけ不揃いならな」

前髪を撫でつけムースで固めていたために、着くなりシャンプーを施され、ドライヤーで乾かされ、家でしかしない髪を下ろした状態で鏡の前に座らされた。
連れてこられたのは、先ほどクーと名乗ったエミヤに声をかけてきた男が経営するという美容院。今日は定休日で、ぶらぶらしていたところ、たまたまエミヤを見かけ、勢いのままに声をかけてきたというのだから驚いた。
本気で見ただけでエミヤの髪を気に入り、此処で逃す手はないと思ったらしい。あまりの計画のなさにどうして受け入れてしまったのだろうかと後悔する半面、連れてこられた店は、人がいないことを除いても、落ち着いた雰囲気を醸し出していた。
気取り過ぎてもおらず、エミヤでも敷居が高いということもなく、親しまれるような、そんな雰囲気。全てクー自身が手掛けたものだというのだから、人はみかけによらないと思わずにはいられない。
ただ、シャンプーをする手や、今エミヤの髪に触れる手には優しさすら感じ、何処か繊細な部分を持っているのだろうと思わされてしまう。

「ま、今回は簡単に毛先だけ揃えさせてもらうわ」
「ああ、変に弄られない方が助かる」
「だろうな。お前髪に対しては無頓着だろ。手入れとかしてないし、シャンプーくらいしか普段しねぇんじゃねぇの?」
「何故分かる…」
「仕事柄だ」

手を動かしながらも、口も動く。クーはそういった男であった。ただ、その会話に不快感は感じないどころか、髪を切る手も嫌だとは思えなかった。
髪だけでなく、そもそも人との接触をさして好んでいないエミヤからすれば、こうしてそれなりの時間触れられていないというのに、嫌だと思わないことに、終わる時まで気が付かなかった。



「ま、こんなもんか」
「ほう…」

ただ切っただけだというのに、どことなく素人目にもプロの手が入ったということが分かるくらいの仕上がりになっているのだから、不思議なものである。

「どうよ、オレの腕」
「悪くは…、ない」
「じゃあ、オレのカットモデルやってくれる?って言ってもそんなしょっちゅうじゃなくていい。二か月くらいの周期で良いからよ」
「それくらいで、良いのなら…」
「ほんとか!んじゃよろしく頼むぜ!!」

気が付いた時には、クーからの申し出を受け入れてしまっていた。それどころか携帯の番号まで、数時間前に出会ったばかりにあるにもかかわらず、そこまで気を許してしまったのは、ひとえにクーの人柄であろう。
髪を切る間も話しかけられ続けていたが、わずらわしい会話でもなく、人の私情に突っ込み過ぎず、自分のこともそれなりに証しながら、一定の距離には踏み込まない。
その距離感が、エミヤには心地よかったのかもしれない。


それからというもの、カットモデルを頼むこと以外にもメールがたまに送られてくるが、着信拒否するほどのものではない。少しばかりわずらわしく思うこともあるが、そういう時にはすぐに会話を終わらせたりと、空気も読める。
また、カットモデルの後、食事を共にすることも、ままあった。クーがモデル料でおごるからと誘われれば、断る理由がなくなってしまったのだ。
それ以外にも、クーに髪を切ってもらうようになって以来、あれほどうるさかった周りが、それなりに言葉をかけてくることが減ったのも、カットモデルを断る機会を失った原因でもあるだろう。
本当のことを言えば、そこそこで何かと理由をつけて止めようと当初は考えていた。だが、気が付いてみれば、断る理由すら失くしてしまっていた。





そういった関係が続いて、そろそろ1年がたつだろうかという頃合いだっただろうか。
直接会って話した数など、20にも満たないが、エミヤにとってクーは気を許せる友人、くらいに思っていた頃。
その日もその日で、カットをしている最中のことだった。

「な、お前って付き合ってるやつとかいねぇの?」
「なんだ急に」
「いや、そういう話聞かねぇから気になって」
「聞かれたことがないから答えなかっただけだ」

基本的にクーがエミヤにモデルを頼むのは店の定休日だ。自分の研究のためにカットモデルを頼んでいるため、それを仕事に食い込ませるわけにはいかないというのがクーの流儀らしい。
理由が分かれば好感すら覚える仕事に対する熱意に、エミヤはノーということなく、定休日に切ってもらっていた。
そんな、人の居ない店内で、男が二人きりで話している。髪を切っているからこそ不自然ではないその光景は、今やもう慣れきったものになってしまっていた。
今もクーは手を止めることなく言葉を駆けてくる。そんなクーを鏡越しに見ながら、エミヤは溜め息と共に肩を竦めた。

「いないな。残念ながら、浮いた話は一つもない」
「付き合ったことは?」
「学生の頃に、2,3人?だが、いつも面白みがないとふられる」
「ははっ、らしいな。んじゃ、ここ数年フリー?」
「そうだな」
「今は好きな奴もいない感じ?」
「まぁな。それがどうかしたか?」

髪に触れる手の感触が気持ち良く、エミヤは自然と目を閉じていた。
それをすると眠気に襲われるのは分かっていたが、何故かこの時だけは目を閉じてしまっていた。そのため、不意に首に巻かれた髪よけを外されたことに、思考が付いて行かなかった。


「クー?え…?」


はさみを置く音が聞こえたと思った途端、後ろから抱き締められる。

まだ首にはタオルを巻いたままだ。そのタオルに鼻先を埋めているため、鏡越しにもクーの顔をエミヤは見ることはできなかった。
ただ、抱き締める手は、確かにクーのもので、ただ困惑だけが浮かんでくる。

「な、エミヤ…オレと付きあわね?」
「は…?クー…、冗談は…!」
「冗談じゃねぇ!冗談で、男に告白なんざするかよ…」

顔をあげたクーの赤い目が、鏡を通してエミヤを射抜く。目が反らせない、真剣な眼差しに、エミヤは言葉を失った。
それと同時に、あぁ、この男は本気だと、本能的に思い知らされた。


「また、考えておいてくれ…」


不意に抱き締める手を離され、首のタオルを外されたかと思うと、椅子が回された。
カットが終わった、ととらえてもいいのだろうか。困惑しながらエミヤはクーを見たが、俯いているため、その表情をうかがい知ることは出来なかった。



「今日はこれで終わりだ。また、連絡する」

ソファに置かれたエミヤの荷物を手渡しながら告げられた言葉に、エミヤはただ頷くことしかできず、荷物を受け取ると共に、いたたまれなさに、逃げるように店を後にしたのだった。




そしてその日から、クーからメールが届くことは無くなったのだった。




続かない


Comments

  • そー
    December 14, 2017
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