オールドメディアが響かない Z世代のリアル①
「オールドメディア」の記事が同世代に響かない――。入社以来そう感じてきた20代後半の朝日新聞記者が、かつての同級生らと向き合い、すれ違う理由と情報をめぐるZ世代のリアルに迫ります。
初回は「忙しい毎日に文字ニュースが入る余地はない」と考える男性に聞きます。記事末尾の「取材後記」で、取材を経て見えたメディアやニュースの今後を記者が考察します。
寒さが少し和らいだ3月半ばの札幌市。不動産会社で働く男性(28)は同い年の妻と一緒に、ジンギスカン鍋を囲みながら記者(28)に淡々と説いた。
「新聞を購読しないのは、その金額の元を取る自信がないから」
午前6時起床、午後11時帰宅の毎日
学生時代と違い、ネット記事が読み放題となる月数千円程度の購読料が高いとは思わない。
それでも、仕事で忙しい今の生活スタイルでは、金額に見合うメリットは得られないという。
午前6時ごろに起きると、朝ご飯は食べずに家を出る。資産家らが顧客の不動産運用コンサルタントとして、建物の現状確認や顧客への売買提案など1日3件ほどアポイントメントをこなす。
北海道全域を管轄し、移動は飛行機や電車での長距離になるのもしばしば。移動時間もパソコンを開き、面会の準備に追われる。
外回りを終えた夕方、会社に戻る。時計の針が午後7時を指すころ、1週間分買い置いているカップラーメンを自席ですする。パソコンを広げたままメールを確認し、一つ一つ返信する。
契約書作成などの仕事をこなしていると、社内には誰もいなくなる。帰宅するのは決まって午後11時ごろだ。
徒歩5分の帰路、スーパーに立ち寄り、買った総菜を在宅勤務の妻と一緒に食べる。その後、犬の散歩に出かけ、電気を消すのは午前2時ごろ。そんな社会人生活を続けて6年目になる。
アポイント前にはニュース検索
仕事漬けの毎日でも、今の暮らしを変えたいとは思わない。自分にとって仕事は「趣味」。充実感に満たされ、特に不満はない。
羊肉をつつきながら、男性の話に耳を傾けていた妻も「だいたい似たような激務」とうなずいた。
こうした毎日を過ごす同世代のくらしの中に、読むのに時間がかかる新聞が入り込む余地が無い、という説明に納得した。
「もし仕事に余裕ができたら…
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