オールドメディアが響かない Z世代のリアル④
「オールドメディア」の記事が同世代に響かない――。入社以来そう感じてきた20代後半の朝日新聞記者が、かつての同級生らと向き合い、すれ違う理由と情報をめぐるZ世代のリアルに迫ります。
2回目は、政治的な立ち位置や思想とは関係ない理由で「マスメディアの情報は偏向している」と感じる女性に聞きます。記事末尾の「取材後記」で、取材を経て見えたメディアやニュースの今後を記者が考察します。
神奈川県内のデパートで美容部員として働く女性(29)のスマホ画面は、X(旧ツイッター)のニュース通知であふれていた。
「“居候先”の住人女性をコードで絞殺か、32歳男を殺人未遂容疑で緊急逮捕」
「成田空港、春節の中国線旅客が4割減 渡航自粛影響か」
「北の軍事パレード異例の兵器なし」
友人や知人に、ニュースなどの情報の何を、どのように触れているかを聴く若手記者アンケートに対し、大学時代の友人の妻である女性の回答が、私の目を引いた。
マスメディアの印象を尋ねる自由記述欄にはこうあった。
「情報統制により最も伝わるべきことが伝わらず、都合の良い内容ばかりに偏りがちなことが気になる。インターネットなどに触れる機会がなければそういった事実にも気づけない場合があることを問題に感じる」
ニュースの情報 ネットの1千分の1
マスメディアを忌避する理由として、たびたび指摘される「偏向」。どちらかと言えば、「思想」は薄い印象があった旧知の女性はなぜそう感じるのか。
取材を申し込み、川崎市内の飲食店で向き合った女性は、Xの通知であふれるスマホ画面をスワイプしながら言った。「こんなにニュースってあふれているのに、テレビはこの1千分の1しか扱っていないよね」
1997年に生まれ、物心がついた頃からネットでつながる世界が日常だった。小学校低学年でソーシャルゲームや「ミクシィ」などのSNSにはまった。
スマホを持ったのは小学5年生の時、欲しい情報が何でも得られる利器を得て、実家で購読していた新聞は「いらなくない?」と、家族で話したことを覚えている。
コロナ禍が始まった2020年ごろ、ニュースを意識し始めた。ツイッターで、ヤフーニュースとライブドアニュースのアカウントをフォローし、コロナの感染者速報を通知するよう設定した。
コロナ以外も、見出しが気になるニュース通知があれば、リンクを開いた。自らも始めた少額投資非課税制度(NISA)に関わる経済の話題や災害、天気は目を引いた。「やじ馬根性」がそそられる事件事故もつい開いてしまう。
スマホを通じて女性が触れている情報全体からすれば、ニュースはほんの一部だ。浴びるように受け取る情報の多くは、愛好するサンリオの投稿、新商品や美容・コスメの案内のほか、アイドルやYouTuberの話題が占める。
それでも、ニュース通知をチェックするのは、美容部員として客との雑談についていくためだ。「まんべんなく、うっすらでもニュースを知っておかないと、あほだと思われるから」
数分に1度の頻度で届く通知を、うっとうしいとは感じない。たまったらざっと見渡す。グーグルが検索画面に記事を表示する機能「ディスカバー」を眺めることを含め、1日に千件くらいのニュースに触れられる。
スキャンダルより大事な情報 あふれている
こうしたニュース通知以上にニュースが必要だと思ったことはない。むしろ、通知を見て重要だと感じるニュースが、テレビで報じられていない時、マスメディアへの不信が募る。
「たとえば、どんなときにそ…
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- BossB天文物理学者・信州大准教授視点
スマホ誕生前のX世代の高校生だった私も、オールドメディアの偏りに無意識に「洗脳」される構造に気づき、テレビを見なくなった。ニューヨークでは海賊ラジオやzine、DIY文化に価値を感じ、90年代インターネット登場時には「情報が人の手に戻る」と
2026年5月24日 07:00 - 谷原つかさ立命館大学准教授=社会情報学視点
オールドメディア的な「ジャーナリズム」と、読者・視聴者が期待する「公正な報道」に乖離が生じていることが、近年のメディア不信の原因の一端かもしれません。 「公共性の高い重要なニュースを選んで伝える」、「権力の監視」、「文脈や背景情報の提示」
2026年5月24日 07:00