WBSをAIとともに管理するSkills
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プロジェクトマネジメントで欠かせないWBSを、AIと一緒にどう運用するかという話です。今回は私が普段使っているWBSスキル群について、それぞれの役割と、なぜそういう設計にしたのかを共有していきます。手動でWBSを更新し続けることに疲れている方には、ヒントになれば幸いです。
最後に、Skillsファイルも配布しておきます。
なぜExcelのWBSに戻したのか
WBSの管理ツールって、本当に人によって違いますよね。Notionで管理する人もいれば、JiraやBacklog、GitHubのIssueで回している人もいます。
そんな中で私が最終的に行き着いたのが、ExcelやGoogleスプレッドシートでした。
理由はシンプルで、関係者が多くなるほど「ツールを使いこなせない人」や「使えても更新してくれない人」が出てくるからです。せっかく高機能なツールを導入しても、更新されないWBSはただのお飾りになってしまいます。
もう1つの理由として、AIに操作させるとき、プロジェクトごとにツールが変わると運用が一気に大変になります。顧客ごとに使うツールが違うのは普通ですし、自分の手癖をひとつのツールに固定したい気持ちもあります。
その点、Excelやスプレッドシートはほぼどの現場でも通用します。「とりあえずExcelで配ればOK」という安心感がありますよね。
とはいえ、理想はJIRAやBacklogに統一できればいいとは思ってます。笑
なぜスキル化したのか
WBSの更新って、手動でやろうと思えばできます。新しいタスクが1つ追加されたとか、ステータスを1つ更新するくらいなら、直接Excelをいじったほうが早かったりもします。
ただ、複数の変更がまとめて発生したときが本当に面倒です。
しかも何より、依存関係まで考慮するのが難しいですよね。
「このタスクを2日延ばしたら、後続のあのタスクとあのタスクも動かさなきゃ…」と頭の中で追いかけているうちに、別の判断を求められて中断する。気づいたらマイルストーンに間に合わなくなっている。私自身、そういう経験を何度もしてきました。
特にプロジェクトの途中では、大きな変更が必ず発生します。スコープ追加、優先度の入れ替え、メンバーの増減。そのたびに手動で全体を整え直すのは現実的ではありません。
結果として、何が起きるか。WBSが運用されなくなります。
更新コストが重すぎて、誰も触らなくなる。これがプロジェクトマネジメントの世界でよく起きている悲しい現象です。
だからこそ、依存関係や波及までAIが面倒を見てくれる仕組みが必要だと考えました。それが今回紹介するWBSスキル群です。
3つのスキルの全体像
WBSスキル群は3つで構成されていて、プロジェクトの時間軸に沿って役割が分かれています。
立ち上げ期に使うのが2つ。
wbs-hearing(情報整理)
wbs-generator(WBS生成)
運用期に使うのが1つ。
wbs-edit(3シートの編集と本番反映を統合)
立ち上げ期はwbs-hearingで情報を整えてからwbs-generatorに渡す流れ、運用期は議事録もチャットも期限変更もすべてwbs-editに集約する流れ、というイメージです。
以前は運用期のスキルが3つに分かれていたのですが、後述する理由で1つに統合しました。
ここからは1つずつ紹介していきます。
wbs-hearing(ヒアリングして情報を整える)
「WBSを作りたいけど、何から考えればいいかわからない」という状態のときに使うスキルです。
特徴としてはこんな感じです。
AIが全部選択式の質問で、プロジェクトの目的・スコープ・体制・スケジュール・リスクを順番に聞き出してくれる
全12フェーズで、最初に「誰の何を解決するプロジェクトなのか」を必ず固める
無理なスケジュールには率直に「これは厳しいですよ」と指摘してくれる
若手メンバーの工数はベテランの1.5〜2倍で見積もる、レビュー工数や手戻りを自動で組み込む、といった現実的な配慮が入っている
出力は1枚のヒアリング結果ドキュメントで、そのまま次のwbs-generatorの入力になります。
このスキルのポイントは「自由記述で答えてください」ではなく「次のうちどれですか?」で聞いてくれるところです。
自由記述って、空欄を前にして固まる時間が地味に長いですよね。選択肢があるだけで、判断が一気に進みます。
wbs-generator(WBSをExcelで生成する)
ヒアリング結果か、もしくは既存の要件定義書を渡すと、そのまま現場で使えるWBSのExcelファイルを作ってくれるスキルです。
ただWBSが出てくるだけではなく、実務に必要な仕掛けが最初から組み込まれているのが大きな違いかと思います。
タスクID(T-001、T-002…)が自動で振られるので、会話で「T-005を5/20までに」と指示できる
期日を過ぎたタスクは赤くハイライトされる(遅延が一目でわかる)
完了・取り下げのタスクは自動でグレーアウトされる(生きているタスクだけが目立つ)
タスクIDが重複したセルは濃い赤で警告される(手入力ミスにすぐ気づける)
「課題管理表」シートが最初から同梱されている(軽量な課題・宿題を別シートで管理)
そしてもう1つ大事なのが、エクセル・Excel for the web・Googleスプレッドシートの3環境すべてで開けるように設計されていることです。
顧客環境を選ばずに配布できるので、「先方はGoogle派でした」みたいな状況にも慌てずに対応できます。
wbs-edit(編集と本番反映を1スキルで完結)
3つの中で一番強力で、一番事故防止に効くスキルがこのwbs-editです。
顧客とSharePointやGoogleスプレッドシートで共同編集しているWBSに対して、3種類のシート(WBS本体・会議タスク・課題管理表)すべてを自然言語で編集できるスキルです。
たとえばこんな指示が通ります。
「T-005の期限を5/27まで延ばして」
「○○のタスクを取り下げて」
「来週やる検証タスクを3つ追加して、担当は田中さん」
「議事録のアクションを会議タスクに入れて」
「Slackで頼まれた確認事項を課題管理表に」
3つのシートをAIが自動で振り分ける
ユーザー側は「どのシートに書くか」を意識する必要がありません。AIが入力を解釈して自動で振り分けます。
振り分けのルールはざっくりこんな感じです。
タスクID指定・フェーズ指定・5営業日以上の成果物 → WBSシート(計画タスク)
議事録の「Aさんが○○までに××する」 → 会議タスクシート(短期アクション)
「○○を確認」「△△を調べる」などの軽量な宿題 → 課題管理表シート(確認・調査)
このおかげで、ユーザーは内容だけ放り込めばよくなります。「これは会議タスクシート行きかな?課題管理表かな?」と毎回考える必要がなくなるのは、地味に大きいです。
事故を防ぐ仕組みが全部入り
ただ更新するだけではなく、事故を防ぐ仕組みが全部入っているのが特徴です。仕組みは大きく5つあります。
仕組み1: 古いファイルを編集する事故を防ぐ
更新するたびに、必ず最新版を取りに行ってから編集を始める仕組みになっています。
「2週間前にダウンロードしたファイルをうっかり編集して、顧客側の更新を全部上書きしてしまった」という典型的な事故、PMをやっている方なら一度はヒヤッとした経験があるかと思います。
最初に最新版を取ってくる、というルールをスキル側に強制させることで、この事故が起きないようにしています。
仕組み2: 変更したセルが黄色く塗られる
AIが触ったセルだけ、自動で黄色マーキングされます。
レビュアーは黄色いセルだけ見ればAIが何を変えたかわかるので、確認コストが激減します。「どこが変わったのか全体を見比べる」という作業がなくなるのは、地味にありがたいです。
仕組み3: 期限変更の「波及」を必ず先に提示する
これが個人的に一番嬉しいポイントです。
たとえばこんなやり取りになります。
ユーザー: 「T-005の期限を5/27まで延ばして」
AI: 以下の波及が予想されます。
・T-008「設計レビュー」: 開始 5/21 → 5/28 (7日後ろ倒し)
・T-012「実装着手」 : 開始 5/25 → 5/28 (3日後ろ倒し)
・T-015「単体テスト」: 開始 6/11 → 6/14 (連鎖波及)
1) 波及分も一緒に変更(推奨)
2) T-005 だけ変更(整合性は崩れるが許容)
3) 中止人間が頭の中で「T-005をズラすと、えーっとT-008とT-012が後続で…」と追跡する作業を、AIが先に全部やってから承認を求めてくれます。
ここを人力でやっていると、抜け漏れが必ず発生するんですよね。AIに任せられるようになってから、私は依存関係の見落としによる遅延がほぼなくなりました。
仕組み4: 削除ではなく「取り下げ」運用
タスクを消したいときも、行は削除しないようにしています。ステータスを「取り下げ」に変えてグレーアウトさせる運用に揃えています。
「あのタスクってなんでなくなったんだっけ?」が後から追えるようになるので、振り返りやレビューのときに役立ちます。
仕組み5: 3シート分まとめて本番に反映する
ここが、以前の構成からの一番大きな進化点です。
以前は「議事録から課題管理表に追記」「議事録から会議タスクに追記」が別スキルで動いていました。しかも、追記した内容が本番(SharePointやGoogleスプレッドシート)に反映されない仕様だったです。
結果として何が起きたか。ローカルのxlsxにだけ課題や会議タスクが溜まっていって、本番側には何も無い、という事故が起きていました。私自身、「あれ?Aさんと話したあの確認事項、どこ行ったっけ?」と探し回ったことが何度かあります。
新しいwbs-editでは、3シート分の差分をまとめてセル単位で本番に反映します。会議タスクシートが本番にまだ無ければ、自動で新規作成してヘッダ装飾まで仕込みます。ローカル取り残しが構造的に発生しなくなりました。
3つのスキルの関係を整理すると
最後に、3つのスキルの関係を一覧で整理しておきます。
wbs-hearing: プロジェクトの立ち上げ時に使う。出力は整理済みのヒアリング結果(.md)。計画を一から立てるPMに向いている
wbs-generator: ヒアリング後・要件定義後に使う。出力は実用WBS(.xlsx)。WBSをエクセルで配りたいPMに向いている
wbs-edit: タスク追加・期限変更・議事録からの抽出・取り下げなど編集全般で使う。出力は3シート(WBS・会議タスク・課題管理表)への反映と、本番ファイルへの自動セル単位反映。顧客と共同編集していて編集事故をなくしたいPMに向いている
「いつ」「何の入力から」「どこに書き込むか」がきれいに分かれているうえに、運用期の入り口が1つに集約されているので、使うときに迷いません。
SKillsファイル
こちらからzipダウンロードしてください。
Mac環境でのみ動作確認できておりますので、Winでは正常に動作しない可能性がありますのでご了承ください。
まとめ
このスキル群の狙いは、WBSを「作る・更新する・反映する」という全工程から、PMの単純作業を剥がすことです。
PMの本来の仕事は、
このタスクは本当に必要か
期限を変えたら誰が困るか
リスクは何か
を判断することであって、エクセルのセルに値を打ち込むことではないかと思います。
このWBSスキル群を使うと、
立ち上げ: 選択式ヒアリングで考えるべき論点が漏れない
生成: 警告色・採番・3環境互換が最初から仕込まれたWBSがすぐ出てくる
運用: 自然言語1行で、3シートのどれかにAIが自動で振り分けて追記・編集
反映: 波及範囲を先に提示してから、3シート分の差分を安全に共有ファイルへ反映
という形で、WBSの運用コストが構造的に下がります。
「PMが1人で複数案件を回すために、AIに任せるべきところは全部任せたい」――そう感じている方に、ちょうど良い構成かと思います。
私自身、このスキル群を整える前後で、WBSと向き合うストレスがかなり減りました。同じように消耗しているPMの方の参考になればうれしいです。
さいごに
AIを活用して実務の生産性を上げているPMは増えています。こうしたスキルを身につけたうえで、次のキャリアを考えたい方は、PM専門の転職エージェント「ネコノテキャリア」にご相談ください。
転職は考えていないけど、AI駆動PMについてもっと知りたい人は「PM研究所」というnoteメンバーシップにも是非ご参加ください。
今後も、プロジェクトマネジメントやプロダクトマネジメントに関する情報を発信していきますので、Xやnoteのフォローお願いしますー!
自分のAI活用方法を他人に説明するためにCodeXに分析してもらってImage2で図解してもらう方法が便利。
— すぅ| PM & PdM🐈 (@suh_sunaneko) April 26, 2026
実際の私のAI駆動PM設計を図解してもらった結果ですが、大体合ってる。
雑プロンプトですがリプ欄に貼っておきます。 pic.twitter.com/yXFfA2OTFS



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