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1日目 令嬢と騎士、逃亡の果てに迷い込む村の夜/Novel by 嵐山ノキ

1日目 令嬢と騎士、逃亡の果てに迷い込む村の夜

4,042 character(s)8 mins

呪いを解くためにはセックスによる男の精気が必要!? アリスは毎晩夜這いに来る男達を受け入れて、連続絶頂に達する……

お久しぶりでございます。新作を連載スタートします。完結までは考え済みで、12万字ほどになる予定です。後半になるとエロシーンばかりになってくると思います。
応援よろしくお願いいたします。

※「小説家になろう」と同時に連載します。

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「た、助かった。村がある、ここで今日は休ませてもらいましょう」

 ラルフは目をこらし、遠くの村らしき明かりを見ながらアリスに話しかけた。

「そうねラルフ、あなたも疲れたでしょうし、村の方にお願いして宿を貸していただかないと……」

 隣国のお城に嫁いでいくはずだった公爵令嬢のアリス。
 10人の護衛騎士を引き連れてキャンベル城へと向かっていたが、途中でモンスターの襲撃に遭った。馬の御者が殺されて戦闘になるも、モンスターが強力で護衛騎士側も劣勢になってしまう。

 隊長からの指示で一番年若だったラルフがアリスの手を取り、一心不乱に逃げた。おおよその方向だけ見当を付けて一日走り通した。

 普段から訓練を積んでいるラルフはともかく、走り慣れていないアリスには大変なことだっただろう。息を切らしてしばしば苦しそうな表情を見せるが、止まることなく懸命に歩いている。

 (ああ、アリス様、なんとおいたわしい)

 ラルフは隣を歩くアリスを見る。艶のある長い金髪が砂埃にまみれてしまっている。この日のためにあつらえていた清楚な白いドレスも、いまや土と汗で汚れてしまっている。

 フェラーズ家の令嬢として蝶よ花よと育てられてきたアリスは今は20歳だ。人目を引く整った顔立ち、のぞき込んだら深く沈んでいきそうな青い瞳が特に魅力的だ。才気煥発としても評判で、幼少の頃からお父上の側で秘書のような業務を務めていた。

 隣国のキャンベル城で催された宴に出席した際に同席したクリストフ王子に見初められ、あれよあれよと婚約が決まったのだった。

「アリス様、もう少しで村に着きます。あと少しです」

「ええ、ラルフも大変だったでしょう。ここまで守ってきてくれてありがとう」

 こんなときでもラルフへの感謝や気遣いを忘れないアリス。疲れているだろうが彼に向かって微笑みかけてくれる。それを見て彼は胸が締め付けられるような痛みを感じた。

 ラルフは亡き父親の代からフェラーズ家の騎士として仕えてきていた。幼い頃から剣技を磨き体力をつけてきて、かつての父には及ばないまでも護衛の騎士団の中では実力がある方だと自負している23歳だ。アリスとは年齢が近く、向こうから話しかけてきてくれたときには胸が躍った。

 彼女のことを強く意識し始めたのは10代後半。
 護衛騎士内での訓練試合にて、惜しくも先輩に敗れて悔し涙を流すラルフにそっとハンカチを差し伸べてくれたアリス。綺麗な娘だとは思っていたが、そこで一気に恋した。
 アリスに仕える身分でありながらも、その美しさと優しさに憧れを抱いていた。彼女を側で守ることができる立場になって至上の喜びを感じた。
 そんなラルフだが、童貞であった。

 (僕がこれからもアリス様を守らなければならない、ならないのだが……) 

 アリスは裾を掴んで歩いているためにしばしば太ももが見える。彼はそれを目にするたびになんとも言えない劣情を催していた。

「んっ、んうぅっ……はあっ……」

 苦しそうなアリスの声が喘ぎにも聞こえ、ラルフは股間が熱くなるのを感じていた。逃亡中に出っぱなしだったラルフのアドレナリンだったが、村を発見して少し安心したことで分泌が抑えられたらしい。そうなると冷静に周囲を、特にアリスのことを見る余裕が出てきてしまった。

 (昔から憧れだったアリス様、明日にはキャンベル城のクリストフ王子に嫁いでしまわれるはずだったが、こうして今は僕と2人きりだ)

 よろよろとした足取りで村の前まで辿り着いた。
 柵で囲われており、入口らしき所にはよくわからない彫像が置かれ、脇に松明が灯っている。彫像は山羊のような大きな角をした動物の頭をした筋肉質な男がかたどられていた。
 入口で見張りをしていると思しき男性がこちらの姿を認め、声をかけてきた。

「おい、何者だ?」

「よ、夜に突然の来訪を失礼いたします。私は騎士のラルフ、こちらはフェラーズ家の公爵令嬢のアリス様です」

「こ、公爵令嬢? それがなぜこんな夜に……」

「実はキャンベル城に向かうところだったのですが、一団がモンスターに襲われて散り散りになってしまいました。申し訳ありませんが今晩の宿をお貸しいただけませんか」

 見張りらしき男性は薄着で筋肉質。腰に護衛用なのか剣を携えている。まだ若そうで20代半ばと思われた。ラルフと会話はしているものの、横目でちらちらとアリスの方を見ている。夜中にいきなり美人が現れたことで戸惑いもあるのかもしれない。

「そういうことですか、うーむ、この村には特に外の人向けの宿というのはないんですよねえ……しかし人を泊められそうな屋敷というと……」

 考え込む男性。その間もアリスの方をちらちら見ているので次第にラルフは不快になってきたが、当のアリスはここで泊まれるかの瀬戸際と考えているのか、真剣な顔で男性の方を見ている。

「ああそうだ、ルードネスさんのお屋敷に頼んでみましょうか、あちらは客人用の寝室がいくつもあった」

「本当ですか! す、すみませんがぜひお願いします」

 希望が見えてラルフは深々と頭を下げる。アリスもそれに続いて礼を言った。

「ちょっと待っててくださいね。ルードネスさんに話をしてみます。まだ起きてるといいんだけど」

 そう言って駆け出していく男性。そちらの方向を見ると、確かに舗装された村内の道の左側に大きな洋館がうっすらと見える。
 ラルフはアリスと顔を見合わせる。

「よかったですねアリス様、なんとか泊めていただけそうで」

「ええ、本当に……親切なあの方にも感謝しないとね」

 しばらくして男性が戻ってきた。口元に笑みが浮かんでいるが、ラルフにはなぜかそれが下卑た不浄なもののように思われた。

「泊めてもらえそうですよ。あちらのお屋敷まで行ってみてください。主人のルードネスさんと奥さんのヴァネッサさんがいらっしゃいます。事情は話してありますんで」

「ありがとうございます、助かります……」

「あと、俺はケネスと言います。村で見かけたら声をかけてくださいね」

 ケネスは完全にアリスに向かって言っているが、その彼女自身も心底ホッとした顔をしている。松明に照らされて見える彼女の目には力が戻りつつあった。ラルフはケネスから無視されているような気分で少し不快になるも、彼のおかげで話がスムーズにいったことは感謝しなければならなかった。

「では、行きましょうかラルフ」

「あ、はい」

 2人でうっすらと見えていた屋敷の方へ向かった。古びた洋館といったたたずまいで、窓には明かりが灯っている。

「結構大きな屋敷ね」

「はい、お部屋を貸していただければよいのですが」

 (フェラーズ家の屋敷の方が数倍の大きさだけどな)

 この家も村の中ではもちろん最も大きな建物なのだろうが、公爵令嬢のアリスからすると単なる屋敷であろう。それはアリスの護衛を務めているラルフも同じ思いだった。そのためにおそらく村の名士であろう人物に気後れすることはなかったが、機嫌を損ねないかだけは注意する必要があった。
 ドアノッカーを手にかけてノックしようとしてラルフは気がついた。よくあるのはライオンの頭型のドアノッカーだが、この屋敷のそれは山羊の頭があしらわれている。目の黒目部分は描写されていないのか白目に見える。それが妙に不気味な迫力を生み出していた。

 (そういえば村の入口の彫像も、こんな顔をしていたような)

 ラルフは少し気になったが、手の動きを止めたことで隣のアリスが怪訝な顔をしたのが見えた。慌ててドアをノックする。

「はい」

 女性の声がして、ドアがゆっくりと開いていった。中には落ち着いた雰囲気の美人が立っている。30代前半であろうか。羊毛と思しきワンピースに身を包んでいる。先ほどのケネスの話だとおそらくルードネスの奥さんであるヴァネッサだろう。少し勝ち気な印象を抱かせる切れ長の目だ。

「あら、あなたたちが……お話はケネスさんから伺っています。困ったときはお互い様ね。こちらへどうぞ」

「ありがとうございます。失礼いたします」

 女性に促されるままにラルフとアリスは中に入る。ホールが広がっており、その咲きには2階への階段が見られた。先へ歩いて行く女性の後について廊下から新たな部屋へと入っていく。そこは客間だった。

「やあ、いらっしゃい」

 客間でアリスたちを出迎えたのは、年齢としては50代頃と思しき背の高い男性だった。頭の左右の髪は残っているが頭頂部は薄くなっている。黒縁の眼鏡をしており少し痩せ気味だ。学者然とした風貌だった。

「私がこの屋敷の持ち主のであるルードネスです。こちらは妻のヴァネッサ」

 ルードネスは先ほどの女性を紹介する。やはりヴァネッサだったようだ。夫婦とのことだが少し年齢は離れているようだ。

「夜分に申し訳ありません。私たちは……」

 ラルフが事情を説明しようとするが、ルードネスは右手を出してそれを制する。

「今日の門番のケネスから事情を少し聞いています。お2人もお疲れでしょう。ちょうど我々も夕食をとるところです。2人分を準備していたのであまり多くは差し上げられないのが申し訳ありませんが、スープでもいかがでしょう」

 ラルフたちよりもだいぶ年上のはずだが、ルードネスは丁寧な言葉で話しかけてくる。おそらくケネスから、アリスが公爵令嬢であることについても聞いているのだろう。ラルフ単独であれば屋敷に入れてももらえなかったのではなかろうか。

「2人の食事を邪魔してしまい申し訳ありませんが、ご厚意に感謝いたします」

「いいのですよ。たまにはにぎやかな食事も楽しみたい。お2人の詳しい事情は食べながら伺うことにしましょうか」

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