ネット掲示板「4chan」から、暴力的な投稿が減らない理由が内部文書から明らかに

ニューヨーク州バッファローの銃乱射事件を受け、悪名高いネット掲示板「4chan」の運営元がニューヨーク州司法長官事務所に数千点の資料を提出した。このほど『WIRED』が入手したこれらの文書によって、4chanの管理のずさんさが明らかになっている。
ネット掲示板「4chan」から、暴力的な投稿が減らない理由が内部文書から明らかに
Illustration: Anjali Nair; Getty Images

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18歳のペイトン・ジェンドロンが複数のネット上の友人たちにあるリンクを送信したのは、2022年5月14日のことだった。送られたリンクはTwitchの限定ライブ配信へとつながっており、それまで書き続けていたオンラインの日記と180ページに及ぶ宣言書を閲覧できたという。

このリンクをクリックした人たちは、ニューヨーク州バッファローにあるスーパーマーケット「Tops」の駐車場で、ジェンドロンが自分のクルマに座っている様子を見ていた。そして、ジェンドロンが大容量弾倉を積んだ「AR-15」のようなライフルを構え、発砲する姿を目撃することになったのである。このときジェンドロンは、わずか6分で10名を殺害した。

警察がジェンドロンによる虐殺を止めて彼を逮捕する前から、このリンクは匿名掲示板「4chan」に投稿されていた。4chanの“政治的に正しくない”とされているスレッド「/pol/」では、この銃乱射事件の惨劇がリアルタイムで書き込まれていたのだ。

あるユーザーは、「中絶の抗議デモの参加者たちも撃ってしまえばいいのに。腰抜けかよ」と書き込んでいる。そこに別のユーザーが加わり、「こいつの宣言書はかなり面白いぞ」と投稿した。ライブ配信を見逃した数十もの人々は、録画映像を要求したという。ほかのユーザーのなかには、ディープステートの偽旗工作だと断言した者もいた。

これに対してある投稿者は、ユーザーたちに対して責任を負うよう求めていた。「なぜこの掲示板は憎しみと怒りに溢れているんだ」と、投稿者は尋ねた。「まるで不公正[編註:原文には「inequality(不公平)」の打ち間違いの「inequty」と書かれている]の巣窟だ。愛や思いやりを込めた書き込みがあったためしがないじゃないか」

投稿者はジェンドロンの写真を投稿して、ファイル名を「the 4chan killer(4chanの人殺し)」と名づけている。

「きみたちがペイトン・ジェントロンを反社会的な大量殺人犯に仕立てたんだ(原文ママ)」と、投稿者は書き込んだ。

この投稿からほどなくして、4chanのモデレーターはこの投稿者のアカウントを停止し、書き込みを削除した。アカウントを停止した理由は「4chanに対する不満を訴えたから」だという。

異質なコンテンツモデレーションチーム

4chanの運営管理のあり方に、米国政府関係者の間で関心が高まっている。23年1月6日(米国時間)に開催された米下院議会の委員会は、米連邦議会議事堂への襲撃を助長したした役割を巡って4chanに対して召喚状を発行した。

そして、ニューヨーク州司法長官事務所の捜査当局は、ジェンドロンのテロ攻撃における4chanの役割をより深く理解するために、数千点の資料の提出を命じている。こうしたなか『WIRED』は、公文書の開示請求を通じて4chanの内部文書をいくつか入手した。

それらの文書には、4chanのモデレーターチーム(プラットフォーム内では「清掃員」と呼ばれている)が、どのようにサイトを管理しているかが示されている。内部のメールやチャットの履歴、そしてモデレーションに関する決定事項から、モデレーターたちがいかに自分たちが思い描いた通りにサイトをかたちづくり、自らの権限を使って4chan特有の厨二病的な白人至上主義を醸成してきたかが明らかになったのだ。そしてこの文書は、4chanが再び大量殺人行為のイデオロギー的な推進力として引用されたことで高まった注目に対して、モデレーターがどのように対応したかを顕著に示している。

それ以上にこの文書は、4chanの有害な影響力がプラットフォームの不具合ではなく、そのように設計されたことを露呈しているのだ。

ジェンドロンは宣言書のなかで、4chanが「真実」を見せてくれたと記している。この「真実」とは、「白人が絶滅しつつある」というかなり偏執的かつ人種差別的な信条のことを指す。ジェンドロンは、黒人が大多数を占める地域にあるからという理由で、スーパーマーケットのTopsをわざわざ選んだという。

そして4chanも、彼にどうすればいいのかを“教えて”くれた。犯行が起きる数年前、このサイトを閲覧していたジェンドロンは、28歳のブレントン・タラントがニュージーランドのクライストチャーチにあるアル・ノール・モスクに忍び寄って51人を殺害した19年の動画を偶然観ていたのだ。

バッファローでの銃撃事件を実行に移すに当たってジェンドロンは、タラントがとった行動を参考にしている。宣言書もタラントが書いたものを盛大に盗用していた。そして、4chanの偏狭で憎悪に満ちたミームや内輪ネタの数々も日ごろから使っていたのだ。

ジェンドロンは殺人や国内で起こしたテロ行為、そして憎悪犯罪の罪を認めており、連邦政府の追加罪状の判決を待っている。だが、一部の犠牲者の遺族は、4chanやチャットアプリ「Discord」、ネット掲示板「Reddit」、「Snapchat」、アルファベットメタ・プラットフォームズ、そしてアマゾンに対して訴訟を起こしている。

ジェンドロンが過激化した理由は、これらの企業が暴力的な陰謀論の表示を食い止められなかった、あるいは食い止めることを拒否したことに起因すると、遺族らは主張している。とはいえ、今回の訴訟で名前が挙がった企業の多くは、過激なコンテンツを削除するためにユーザーに寄り添うかたちで努力している。だが、4chanの場合は著しく異なると言えるだろう。

4chanにおけるルールやモデレーションの方法は、プラットフォーム内での政治と文化に大きな影響を及ぼしている。この掲示板で許されていることと許されていないことを見れば、人種差別的な言葉が頻繁に使われている理由がわかるだろう。そして、自殺してできるだけ多くの人を巻き添えにする方法をユーザー同士で助言し合うような場所になった背景の説明も付くはずだ。

スレッドごとの独自ルール

4chanの規約は、ほかのソーシャルメディアのものと比べて厳格な点もあれば、寛容な点もある。4chanには17の「グローバルルール」が存在する。そのひとつ目は、米国の法律に違反するあらゆるコンテンツを禁止するというものだ。「暴力やテロ行為を起こすという脅迫は、いかなるものであってもひとつ目のグローバルルールに違反する」と、4chanの管理者は、ニューヨーク州司法長官事務所に文書で伝えている。

もうひとつのルールは、人種差別を実質的に禁止するものだ。しかし、さまざまなコンテンツが投稿されているスレッド「/b/」は、このルールの対象外となっている。このスレッドでは、人種差別的な投稿が許されているだけでなく推奨されているのだ。

また4chanの運営者たちは、人種差別を容認する態度を「/pol/」のスレッドでもとっていることを、ニューヨーク州司法長官事務所に対して告白している。これは、4chanが玩具「マイリトルポニー」のコンテンツを扱っている方法と同じだ(「ポニー・ブローニー[マイリトルポニーの男性ファンダム]に関するスレッドや画像、Flash動画、そしてアバターは、いずれも『/mlp/』のスレッドのみ許容される」と、ルールには記載されている)。

4chanのグローバルルールは、何百ものスレッド特有のルールによって補強されている。だが、実際のところこうしたルールの適用は恣意的であり、それを運用するかどうかはモデレーターに大きく依存することを、4chanのユーザーたちは理解しているのだ。モデレーターたちは、あらゆるものを「スレッドのトピックとは関係ない」ものとみなすことができ、自分たちで勝手にルールをつくり上げることもできる。

4chanがニューヨーク州司法長官事務所に届け出た内容によると、4chanでは5,000〜7,000件のアカウントを定期的に停止しているという。これには、IPアドレスの停止にはつながらない投稿の削除は含まれていない。

4chanの有償の管理者たちは、ニューヨーク州に500件を超える停止されたアカウントの記録を提出した。そして、どのアカウントもジェンドロンによるバッファローの銃乱射事件に少なくとも間接的に関係していたようだ。

停止されたアカウントのおよそ60%は、投稿内容がスレッドのトピックに関係していないか、もしくは誤ったスレッドに投稿されていたことが理由だという。ジェンドロンが武器の選定と犯行の準備に使っていた武器の画像が投稿されているスレッド「/k/」に、質問を投稿したユーザーを例にとってみよう。「どれだけの銃乱射事件が起きれば、あなたたちは何らかの銃の規制や管理が米国で必要だということを認めるんだ」と投稿したことで、サイトへのアクセスが停止されている。

このスレッドのルールには、「投稿される画像やディスカッションには、銃器、軍用車、ナイフ、リアルな軍事シミュレーションゲーム、その他の武器を含む必要がある」と、記されている。「/k/」にはスレッド特有のルールはひとつしかない。それは、「すべての武器を歓迎する」というものだ。

ヘイトが許容される場所

ニューヨーク州に提出された停止されたアカウントのうち21件は、米国法に違反しているとして停止されたという。これらのアカウントは、バッファローの銃乱射事件の数日後に停止されたものだ。

これらの一部は、4chanが司法長官事務所に対して指摘しているように、さらなるテロ攻撃を企てていたという。具体的には、4chanのユーザーに対して政治家やジャーナリスト、捜査当局の関係者、ユダヤ教徒、そして黒人を殺害し、LGBTQ+のイベントを標的にするよう呼びかける投稿だったようだ。

しかし実際には、4chanにおける暴力の呼びかけの大半は、アカウントの停止に至らない。極右の言葉で言うところの「ブーガルー」と呼ばれる人種戦争を起こす呼びかけや、個人または集団全体に対する脅迫の言葉が頻繁に投稿されている。特に黒人やクィア、ユダヤ教徒に対する差別的な言葉には不快な内容が多い。

ユーザーたちは「ERのようになれ」と互いに促している。「ER」とは、カリフォルニア州アイラビスタの大学で6人を14年に殺害し、自殺した22歳のエリオット・ロジャーのことを指す。暴力を助長する投稿に感化されて実行に移した人物は、実際に4chan上に存在した。

25歳のアレク・ミナシアンは、カナダのトロントで群衆にバンで突っ込んで11人を殺害し、15名に重軽傷を負わせている。犯行の直前に彼は「4chan軍曹」や「最高紳士エリオット・ロジャー!」といった理解しがたい発言をFacebookに投稿していた。

フロリダ州ボルーシャ郡で保安官を務めるマイク・チットウッドは、こうした暴力的な脅迫が4chanではびこっていることを強調している。チットウッドが所属する保安官事務所では、彼に対して具体的な脅迫があったことから複数の4chanのユーザーを逮捕した

これに対してユーザーたちはモデレーターから注意されることもなく、めげずに中傷的な投稿で反抗している。「クソウッド(Shitwood)を殺せ」「クソウッドの首を切れ」「回し蹴りをくらわせてクソウッドをコンクリートに突っ込んじまえ」といった具合だ。

ナチスの旗をアイコンにし、陰謀論と人種差別的な投稿をしているユーザーは、4chanの有害な影響についてほとんどのユーザーより大胆に語っている。「どこかの子どもがこれを読んで、頭の片隅に置いておいてほしいんだけど。いつかタイミングと機会がすべて揃ったら、ブーガルーを始めてくれるといいな」

かつては健全なサイトだった

4chanは昔から人種に対する憎悪や憎しみの温床だったわけではない。サイトの創設者のクリス・プールが運営していたころは、人種差別がはびこる無秩序なサイトにならないよう常に努力していた。プールが15年に4chanの運営から離れる直前まで、彼はサイトに政治色が出ないよう積極的に抵抗していたのだ。

開設当初は、ハクティビスト集団「Anonymous(アノニマス)」に象徴されるようなリバタリアニズムに傾倒していた。ところが時が経つにつれ、4chanは牙をむき始めたのである。

あるとき4chanは、悪名高いネオナチのフォーラム「Sormfront」への襲撃を指揮していたことがあった。しかし、プールは10年あたりから、いくつかの4chanの掲示板が実質的に「Stormfrontになった」事実を認識し始めたと、デール・ベランの書籍『It Came From Something Awful』に記されている。

そしてプールは、極右的な考えに歯止めをかけることを目的とした「/pol/」のスレッドを11年に作成した。ところが、これは失敗に終わっている。「むしろ4chanの新たなネオナチのスレッドは、よりにぎわってしまったのだ」と、ベランは書いている。

プールは、増え続ける暴言を食い止めるために無駄な努力を続けることになる。14年には、女性嫌悪的なオンライン上のハラスメント運動「ゲーマーゲート」が4chanを席巻した。プールはこれに関する投稿の全面禁止を試みたが、これに対する反動的な精神もそのままサイト上に浸透していったのだ。

ほどなくしてプールは、闘う意欲を失った。そして日本のネット界の大物であり、4chanが参考にした「2ちゃんねる」の創設者でもある西村博之(ひろゆき)にウェブサイトを15年に売却している

日本の玩具メーカーのグッドスマイルカンパニーから数百万ドルの出資を得た西村は、4chanの単独オーナーとなった。しかし、彼が運営に口を出すことはほとんどない。西村はサイトの管理やモデレーション、そして発展のために、長いことモデレーターを務めていた「RapeApe」の手を借りることにした。

ときには「GrapeApe」とも呼ばれるRapeApeは、過去10年の間で4chanに絶大な影響力を及ぼしている。「RapeApeにはある計画があります。それは、『/pol/』がサイト内のほかのスレッドや4chanの運営への影響力をもつことです」と、過去にモデレーターを務めていた人物は「VICE」のテック・サイエンス系ニュースサイト「Motherboard」に20年に語っている

ニューヨーク州の捜査当局に提出された文書から、4chanはRapeApeに毎月3,000ドル(約42万円)の報酬を支払う契約を15年に結んでいたことが明らかになった。そしてその額は、22年5月までに4,400ドル(約61万円)まで上がっている(RapeApeは4chanから給与を受け取っている数少ないスタッフのひとりだ)。

ニューヨーク司法長官に提出する文書を作成する必要に迫られた西村は、RapeApeに残業代を提示した。西村は22年、「来月の請求書に1,000ドル(約14万円)追加しておいてくれますか?」とRapeApeに伝えている。「ニューヨーク州司法長官に提出する書類の準備はとても時間がかかると思います。お疲れさまでした!」

責任感が感じられないモデレーターたちの会話

バッファローの銃乱射事件のあと、あるユーザーが「Motherboard」の記事へのリンクを4chanの複数のスレッドに投稿し、RapeApeに惨事を報告した。「わたしは何年も前から、RapeApeの『/pol/』への対応の遅れが悲惨な結果を招くと言い続けてきた。そして、バッファローの銃乱射事件はそれが正しかったことを示している」と、そのユーザーは書き込んでいる。「従って、このサイトを救う方法が唯一あるとすれば、RapeApeの個人情報を晒して追い詰め、殺害するしかない」

このユーザーは、米国法に違反したことから、4chanから追放された。

ジェンドロンの犯行からほどなくして、4chanのモデレーターたちはチャットルームに集まった。

「どうやら今日の銃乱射事件の犯人は、宣言書のなかで責任の一端は4chanにあると言っているようだ」と、4chanのモデレーターのひとりである「Astria」は記している。「4chanがこのような残虐行為と関連づけられるのは、わたしが最も望んでいなかったことだ」

モデレーターたちは、ジェンドロンの宣言書に記されている内容が偽物であることを願っていた。「これ以上4chanのイメージを悪くするものはないよ」

別のモデレーターであるTroidは、銃乱射事件についてなぜ議論する必要があるのか疑問に思っていた。「銃乱射事件をそもそも話題に上げる意味ってあるのかな? 何か対策を練るというならまだしも、実際にはまだ何もやっていない」

「Astriaのことは大目にみてやってくれ。4chanのモデレーターとして初めて銃乱射事件に触れたんだから ;^)」と、3人目のモデレーター「yournamehere」は記している。

そこにモデレーターのAeolianは、自分たちのせいではないと主張するために割って入ってきた。「わたしが思うに犯人は8chanのユーザーであって、実は4chanのユーザーではないと思う。この件に関して、わたしたちは十分な対応ができているはずだよ」

一度は反省の念がみられるも......

ところが、ジェンドロンの宣言書のなかには、彼が過激化した原因は4chanにあると記されている。彼は8chanの影響も認めているが、「/pol/」や「/k/」がジェンドロンに“真実”を示し、銃乱射事件を実行に移す機会を与えてくれたとして絶賛しているのだ。

「ぼくは4chanの掲示板『/k/』で見つけた『Plateland』の会話から多くの情報を得た(みんなありがとう)」と、ジェンドロンは書いている。

Troidは4chanの役割をすぐには否定しなかった。「実際、『/pol/』にグレート・リプレイスメント(白人たちの政治権力が国際的な策略によって弱められているという陰謀論)の書き込みが存在する」と、Troidは書き込んでいる。「事件との関連性は何なのか、このような事件が起こるとなぜ人々が4chanを疑うのか、わからないふりをするのはやめよう」

ほかのモデレーターたちも、これに同意している(チャット内の表示名が4chanのユーザー名と必ずしも一致するとは限らない)。だが、時間と日が経つにつれて、チャットルームでの会話には反省の念が薄れていった。

モデレーターたちは、「仮にジェンドロンが4chanのユーザーだとしても、そもそもの“出所”はここではない」と、責任をほかのウェブサイトに転嫁している。また、「荒らし投稿をしたバカなユーザーに関するメールが大量に届く」と、ウェブサイトに投稿された数々の脅迫を調査しようとする連邦政府機関を嘲笑した。揚げ句の果てには、自らのモデレーションの取り組みを称賛していたのだ。

モデレーターたちがモデレーションの実践について話し合う目的で設置されたチャットルームで、経験の浅いひとりのモデレーターが、大量殺人の動画のリクエストや共有がルールに違反するかどうかを尋ねた。そして、長年モデレーターを務めているCIAeolianは、「おそらく問題ない」と応えている(AeolianとCIAeolianが同一人物か否かは不明)。

そして議論は、どのチャンネルがライブ配信の録画のホストに最適かという方向に進んだ。 CIAeolianはその後、4chanの第一のルールに関する説明とともに返信してきた。

米国法の違反は「重大」であり、「長期間の利用禁止」を伴うとCIAeolianは語っている。このため最も明確な違反のために最初のルールが用意されているのだと、このユーザーは付け加えた。「『この日時にこの場所で犯行に及ぶ』とか『違法なものをどうやって手に入れるか』とかがそのいい例だ」

暴力の撲滅を望んでいないモデレーターたち

バッファローの銃乱射事件からおよそ1週間が経ち、4chanから報酬を受け取っているモデレーターのRapeApeと「dsw」は、この事件の余波について話し合った。広告プラットフォームのBid.Glassから、4chanとの契約を解除したという通知を受け取ったからだ。

「Bid.Glassから契約解除通知が届いた。わたしは彼(Bid.Glassは基本的にひとりの男が運営しているんだ)と話をして思いとどまらせるつもりだ。でも、もしそれに失敗した場合は、Bid.Glassに代わるものが必要になるかもしれないね」と、RapeApeは書き込んでいる。そして、「いまのところFBIも地元の警察も、銃撃犯が4chanに投稿したという証拠をまったくもっていない」とも、RapeApeは書き込んだ。

RapeApeは、RedditやDiscordなどほかのウェブサイトが「無罪放免」となっているなか、4chanが「ひどい目に遭っている」と嘆いた。

しかしRedditは、人種差別や暴力を唱道しているとされるコミュニティーに積極的に介入しており、数多くの極右コミュニティーやインセルコミュニティー(女性との関係をもてない理由は女性のせいだと主張する男性)を徹底的に利用禁止にしてきている。「参加した多くのRedditのスレッドが停止された」と、ジェンドロンは自身の日記のなかで書いている。

これに対してDiscordはバッファローの銃乱射事件を受けて、ジェンドロンが戦術的なアドバイスを得たコミュニティーを禁止したり、コンテンツモデレーションの自動化技術を共有する業界団体「Global Internet Forum to Counter Terrorism」と提携したりするなど、モデレーションの改善を目的とした数多くの措置を講じている。このような戦術がどれほど効果的かはまだわからない。だが、これによってRedditとDiscordは、何らかの対策を講じていることを主張できる。

それに引き換え、4chanはできるだけ変化を少なくする決意をしているようだ。たとえそれが、ユーザーによる国内テロ行為の増加につながる可能性があるとしてもである。

「残念ながら、これは決して変わることはないかもね」と、dswは書いている。そして「『/pol/』のような無秩序な掲示板すべてを削除するなど、抜本的なことをしない限り変わらないんじゃないかな」と、dswは記している。RapeApeは、20秒も経たないうちにこの提案を却下し、「たとえ4chanが変わったとしても、企業はどこもわたしたちを受け入れてくれないさ」と、記している。

「4chanがブランドのイメージを一新すれば、受け入れられるかもしれないんじゃない」とdswは反論したが、RapeApeの心は変わっていないようだ。

「それは考えが甘いよ」

WIRED US/Edit by Naoya Raita)

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