僕のゲームクリエイティブ論

 こんにちは、TECOPARKの三宅です。
 PICO PARKしか作ってない人になっていますが、PICO PARK以外も作っています。

 最近入院してしまい、外に出かけられなくて時間ができたので、今日は一度自身のクリエイティブで大事にしていることを少し書いておきます。

 先にこれだけは。ここに書いたのはあくまでも私の考え方です。100人いたら100通りの考え方があります。一つの考え方としてお読みください。

何はともあれ感情・感情・感情

 ゲームデザイン論の話を聞く時、ゲームメカニクスとかナラティブとかレベルデザインとかまぁ、いろんな要素が語られる。ジャンルで語られる時もあります。

 それらの要素はとても大事ですが、全ての要素の起点に「どんな感情を抱かせたいか?」が自分にある。まずは感情を考えないと、ジャンルもメカニクスも何もかも意味がないと思っています。

 この感情を引き出したいから、こういうジャンルが一番良いと思っていて、こういうメカニクスが必要で、こういうストーリーが必要なんです! となる。逆に言うと抱かせたい感情を説明できない状態で行うクリエイティブ活動は自分には怖くてできません。

 この感情の話、それ自体はよく言われている気がするのですが、もうちょっと言えることあるんじゃないかと思い、もう少し書きます。

 この感情は、喜怒哀楽という単純なものではないです。

 PICO PARKで語るなら「普段まじめな人間が小指をぶつけて痛がってる姿を見て、不安よりなぜか笑いが勝ってしまいそうになる時のような感情」とか「普段の立場が逆転で、立場の上の人が下の人にへこへこしてる姿を見た時のおかしさ」とか、僕は具体的なシチュエーションセットでの感情を想像しながらゲームを考えています

 僕は常日頃、以下の2点を考え続けています。
 1. あなたは普段どのようなことに感情が動く人間ですか?  少なくとも100個書き出してください。
 2.  あなたが感情が動かなくても、他の人は感情が動いているこってありますよね? それはどのようなものですか? 何故だと思いますか? また他人はなぜそれで感情が動いていると思いますか?

 1は100個じゃなくてもいくらでも書き出せるはずなんです。それだけ人間は多様な感情を持っているからです。これ書き出したことがない場合、まわりの人と一緒に書き出しあって見比べてみると面白いかもですよ。
 2に関しては、世の中には多くのエンタメがある。スポーツ、実写ドラマ、アニメ、漫画、お笑い、音楽、アイドルなどなど。全てに興味をもってお金を出している方が稀有ではないでしょうか。だからこそ、それらに興味を持っている人達の感情を深く知ることは大事と思っています

 考えても分からなければ、ドキュメンタリーを見たり、自伝を読んだりすることもあります。何を考え、何を感じているのか。

 僕はここを常に掘り下げて考えて、「この感情を味わえるゲームってなくない?」 を探してるし、見つけてるし、それらが自分のクリエイティブに還元されている。「この感情を味わえるゲーム他になくない?」を言えたらそれは0→1のクリエイティブと僕は思っている。

 全ての起点に感情あり。

面白い、感情、楽しい

 皆さんは「面白い」と「楽しい」を区別していますか?
 僕は以下のような定義をしています。

 面白いは、外的刺激。
 楽しいは、内的発露。

 面白いは外的刺激です。面白いルール、面白いギミック、面白いストーリー、面白いNPCのリアクションなどなど、ゲームを作るには面白いをたくさん入れる必要があります。

 でも、それらを楽しめるかは受け手に関わっています。
 そして面白い要素を考えた時、ちゃんと受け手であるプレイヤーがそれらを楽しめるところまで誘導線を設計する必要があると思っています。

 パズルゲームを作っていて面白いギミックを思いついても、いきなり応用的な遊びを提供しても人は楽しめません。基礎の遊びをまず味わってもらってはじめて応用の面白さが味わえるのです。

 ドラクエ5のビアンカとフローラとの嫁選びの時のルドマンを選んだ時のリアクション。あれは面白いNPCのリアクションでしょう。でも、いきなりあれを見せても、ただの変なおっさんです。ビアンカ、フローラ、ルドマンの文脈をちゃんとプレイヤーに理解させた時、はじめてあのリアクションでプレイヤーは感情が動き、楽しめるんです。

 『面白い』を『楽しめる』。常に丁寧なデザインを心掛けないと、せっかく作った『面白い』要素が『楽しめなくなる』。

 『面白い』からプレイヤーが発露する感情が深かったり多種多様であったりすることで、総合的に『面白いゲーム』と評価されるんだと思っています。

 『面白いゲーム』とは、楽しいに繋がるいろんな感情を発露させてくれるツールだと思っています。

体験価値は手に取る理由

 体験価値も大事ですね。これらも抱かせたい感情の上で、どのような価値を生み出せるかだと自分は思っています。
 
 PICO PARKなら「5人以上で集まってカジュアルに対戦じゃなくて協力でわちゃわちゃ盛り上がれるよ!」が体験価値だと思っています。人と集まる時の理由に使われる価値があるからPICO PARKはたくさんの人に遊んでもらえているんだと思っています。

 この体験価値の競合が少なければ創る意味があると思っています。既に競合が多くて認知されている体験価値でも、ウェルメイドであれば勝負できるかもしれないですが、それは大手がとっている戦略だと思っているので小さなスタジオの僕には怖くてできません。

 この、競合が少ないけど創る意味のある体験価値。僕の中にはたくさんあるんです。感情を起点に普段から人間観察してるとたくさん沸いてでてくるんです。それらが本当に多くの人達が手に取ってくれるか分かりませんが、挑戦しがいはあると思っています。全部、受け入れられたらいいな。

飽きさせず、挫折させず、疲れさせず

 プレイヤーがゲームを途中でやめる三大感情は
 1. 飽きた
 2. 挫折した
 3. 疲れた

 だと思っています。
 
 なので常に自分に言い聞かせています。

 1. プレイヤーはあなたが作るゲームを飽きずに興味を持ってくれていますか? 興味を持ち続けてもらうためにどのような工夫をしていますか?
 2. ちゃんと挫折しないように工夫できていますか? リトライ性は適切ですか?
 3. 疲れすぎないように、配慮できていますか? 緊張と弛緩とかコントロールできていますか?

 これらの感情を配慮して、楽しんでもらいたいなと思っています。

最後に

 これらが全てじゃないんですが、ちょっと自分のクリエイティブの根っこ
に近い部分を書いてみました。

 『全ての起点は感情』は少し極端だとは思っています。世の中の多くの作品の起点は決して全てが感情が起点ではないと思っています。なので、あくまでも私の中の起点だと受けとってください。

 ただ、自分の中から発露される感情に常に誠実に受け止めて観察して、他の人が感動していることに興味をもって考える。その時考えた感情を味わえるゲームがあるのか?と考える。
 それを考え続けることがとても大事だと思って日々を過ごしています。

 終わり。

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僕のゲームクリエイティブ論|三宅俊輔 ( TECO )
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