カンヌ国際映画祭コンペティション部門への出品は8作目となる。是枝裕和監督の最新作「箱の中の羊」は、人工知能(AI)によるヒューマノイドと人間が共存する近未来が舞台の家族の物語だ。母親役に挑んだ広島市出身の綾瀬はるかは、劇中も広島出身。気持ちが高ぶると思わず広島弁になる。庄原市西城町の国天然記念物「熊野の大トチ」や、福山市内海町の箱崎漁港で撮影があり、豊かな生命力を与えている。広島市で取材に応じた是枝監督は「広島の映画だと思ってもらえたらうれしい」と語る。
2年前に7歳の翔(かける)(桒木里夢)が亡くなり、心に傷を抱えたままの音々(おとね)(綾瀬)と健介(大悟)。遺族を慰めるサービスを利用し、過去の写真や動画を取り込んだそっくりなヒューマノイドを自宅に迎える。不器用な二人が「翔」を介して自分自身と向き合い、成長していく姿が美しい。
日本映画では「万引き家族」以来、8年ぶりのオリジナル脚本となる。「海街diary」(2015年)で組み、「また何かやりましょう」と約束していた綾瀬のため、当て書きした。A4判3枚程の粗筋を届けたのは2年前。