第6回:スマホで支配されるお坊さんたち 〜狂った成績メーターと粉飾の闇〜|日本一お布施される葬儀社たち
■ 異常な頻度で繰り返されるルール改定や料金改定と実質無償労働の営業義務
私たち提携寺院は、U社が指定する専用アプリをスマホに入れ(有料)、日々の業務を管理されていました。 百聞は一見に如かず。まずは、私たちのスマホにどのような通知が届いていたのか、実際の画面を見ていただきたいと思います。
画面を見ていただければわかる通り、「優先送客制度のルール変更」「ご報告漏れに関するご案内(警告)」、そして極めつけは「お節購入協力のお願い」まで。
履歴を遡ると、その異常な頻度がわかります。 優先して仕事を回す基準となる**「ルールの改定」は、約6年間で少なくとも10回以上**。 お布施や手数料の**「価格改定」は、わずか3年弱の間に8回**も行われています。 さらに、本来の供養とは無関係な「お節の購入協力」「自社の永代供養の営業協力」などが、年間十数回というペースでスマホに届き続けるのです。
世間の皆さんが、「坊主丸儲け」と思っているかもしれません。しかし、その裏側で現場を支える私たちお坊さんに対しては、**巨大プラットフォームの権力を盾にした「終わりのない後出しジャンケン」**が繰り返されていました。私たちが常に向き合わされていたのは宗教上の信念でも遺族へのケアでもなく、鳴り止まない「スマホの通知」と「他のお寺を出し抜く」騙し合いだったのです。
■ 数字を追わされる現実
このアプリの中には「解析画面」というものがあり、私たちお坊さんの成績が全国ランキングとして残酷なまでに可視化されています。 そして、その評価基準は、本来の宗教行為とは無関係な「位牌の販売数」や、次回の法要をどれだけ自社プランで獲得できたかという「法要獲得率」でした。
目の前のご遺族に寄り添い、どれだけ感謝されようとも、IT企業が求める「営業成績(数字)」を上げなければ、優先して仕事を回してもらえません。 「遺族のために良いお坊さん」ではなく、「U社のために良いお坊さん」。 坊さんたちは、この狂った評価システムの中で、生き残るために無給で数字を追わされ宣伝営業を強いられる日々を送ることになったのです。
■ 数字を追わされたが故に生まれる「粉飾」
極限のランキング競争。上位は月に数百万円のお布施を受け取れます。下位には仕事は来ません。その末に何が起きたか。 このアプリがいかに狂っているかを示す、決定的な証拠があります。U社から公式に送られてきた、成績の見方を示す解説画面をご覧ください。
そもそも今の時代、葬儀の後に法要を予定していないご家庭の数が、ほとんどと言って差し支えないくらい多いのが現実です。最初から次の法要がない前提である以上、お坊さんがどんなに完璧な法要を行っても、法要の戻り率が100%になることなど絶対にあり得ません。
事実、かつて私がご遺族と真摯に向き合い、65%の戻り率を達成した時、U社から「東京近郊で1位です」と言われたことがありました。 つまり、この100%を超えるような異常な数字は、数字に追わされ、追い詰められた一部の寺院による「成績の改竄・粉飾」なのです。
■ 最初の告発者は、U社の部長だった
かつての基準(65%で1位)を知るU社が、この数字の粉飾の事実を知らないわけがない。なぜ、プラットフォーム側はこのような粉飾数値を公式の例示として堂々と使い、対策も打たずに放置しているのでしょうか?
ここからお話しすることは、私の命懸けの告発です。 実は、この「成績の粉飾」という事実を最初に口にしたのは他でもない、U社の部長自身でした。
私が大阪のU社本社に出向きの評価の理不尽さについて直接思いをぶつけた時のことです。彼は私に、実際の社外秘の「寺院の成績表」を見せながら、「これは仲田さん(私の実名です)だから言います」と前置きをした上で、はっきりとこう言いました。
「おそらく上位の寺院は自分達で数字を作ってます。法要のお布施を値引きして営業したり、実際には行ってない法要を行ったことにして手数料を納めたりしています。ただ、今のところこれに対してなにか対策することは考えていません。」
耳を疑いました。 ランキング上位にいる寺院の多くが「粉飾している」ことを、運営の責任者がその手口まで把握していながら、「対策はしない(=放置する)」と明言したのです。U社にとっては、そもそも現場で実際に法事が行われたかどうかすらもどうでもよく、**「自社に手数料さえ入ってくればそれでいい」**からです。
そして、彼は私に向かって、信じられない言葉を続けました。 「私も仲田さんには感謝してます。でも社内システム上、私が力になれるのは限りがある。みんな自分で数字を作ってます。仲田さんも、せめて上位の数字を作ってもう一度来てください」
その言葉を聞いた時、彼の隣に座っていた女性のコールセンター長が、ひどく苦い顔をしていたことを私はハッキリと記憶しています。 社内の人間でさえ顔を歪めるような異常な要求。これが「日本一お布施される葬儀社」の裏側で行われている、生存競争の実態です。
皆さんが「坊主丸儲け」「お寺と付き合いなんかしたくない」と頼んでいるそのサービスの裏側で、お坊さんたちは今も、スマホの画面に表示される「作られた数字」に支配され続けているのです。
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【現場僧侶のコラム】なぜ「法要の戻り率100%」は絶対にあり得ないのか?
本編で「戻り率100%はあり得ない」と断言した背景には、現場を歩くお坊さんにしか分からない、現代の複雑な「供養のリアル」があります。 例えば、私のような日蓮宗の僧侶が呼ばれるお葬式には、様々な背景を持ったご遺族がいらっしゃいます。
菩提寺の代理: 遠方に代々のお付き合いがある「菩提寺」を持っているが、今回のお葬式だけは来られないため、私たちが代理として呼ばれるケース。その後の法要は当然、本来の菩提寺が行います。
他教団の信徒様: ご遺族が「立正佼成会」や「霊友会」といった日蓮系他教団の信徒であり、「葬儀だけをお坊さんにお願いしたい」と依頼されるケース。これもやはりその後は教団で行われます。
そもそも法要を希望しないケース:皆さんも多くの方が頷くと思いますが仮に葬儀をやったからといって四十九日忌、初盆供養、一周忌、三回忌をパーフェクトにやる遺族が100%なんてあり得ますか?
こうした、ご遺族が抱える切実な「事情」や「信仰の形」があるからこそ、次回の法要をご案内できないことは多々あります。お坊さんの態度や努力の問題ではありません。 IT企業のデジタルなシステムは、こうした人間の複雑な信仰や事情をすべて無視し、ただ「リピートしたかどうか」だけで私たちを評価している、いや、もは実際には「リピートしたか」も問題ではないのです。さらにはこのような事情すらも「ボーナス」という数字で坊さんを煽りコントロールして裏切り合いをさせています。ただただ「U社に忠実であるか」評価されるのはその一点のみです。



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