日銀・植田総裁、高市首相と会談 金融政策めぐり「有益な意見交換」
高市早苗首相は22日、首相官邸で日銀の植田和男総裁と会談した。終了後、植田氏は記者団に金融政策をめぐり「様々な側面について有益な意見交換ができた」と話した。
首相と植田氏は経済財政諮問会議に先立ち、20分ほど会談した。2人だけの会談は2月以来となる。
植田氏は「中東情勢を踏まえて、経済、物価、マーケット情勢についてお互いに意見交換した」と語った。「金融政策の考え方についても説明した」と述べた。
日銀は6月15〜16日に次回の金融政策決定会合を開く。中東緊迫のもたらす原油高でインフレが進む懸念が強まっている。植田氏は、市場で6月の利上げ観測が高まるなかで首相との話題になったかを問われ「具体的な話は特に出さなかった」と答えた。
植田氏によると、首相から「(政府・日銀が2013年に結んだ共同声明である)アコードに沿って、政権が進める物価高対策や危機管理投資、成長投資を理解の上、日銀としても適切な政策を実行してほしい」との要望があったという。
「今後とも十分な意思疎通を図っていきたいと思っている。その点についてはお互いに一致している」とも強調した。
首相と植田氏の会談は金融政策の先行きに一定の影響を与えてきた。
首相は25年11月、就任後初めて植田氏と会談した。植田氏は当時、首相が金融政策の正常化路線を了解したとの認識を示した。日銀は同年12月の決定会合で政策金利を0.5%から0.75%に引き上げると決めた。
2度目の個別会談となった26年2月は、首相が追加利上げに難色を示したとの見方が政府内で出た。その後の米国・イスラエルによるイランへの攻撃で原油価格が高騰し、日銀は経済・物価への影響を見極めるため3月と4月の会合で政策金利を据え置いた。
首相と植田氏が対話を重ねるなか、今後の利上げ判断は中東情勢に加え外国為替相場の動向に左右されそうだ。
政府・日銀は4月末に円買い介入を実施し、1ドル=160円台だった円相場は一時155円台まで上昇した。その後は再び円安基調に戻り、足元では159円前後で推移する。
日銀の利上げが進まず、海外との金利差が縮まらないことが根強い円安圧力の一因となっている。円安は輸入品のインフレにつながるほか、トランプ米政権の批判を招くリスクもある。
植田氏は19日、仏パリでベッセント米財務長官と会談した。ベッセント氏は同日のロイター通信のインタビューで「必要なことを行う余地が与えられれば、(植田氏が)優れた金融政策を実現すると確信している」と発言した。
高市政権の「圧力」が日銀の利上げ判断をちゅうちょさせているとの見方を踏まえた発言とみられる。ベッセント氏は11〜13日に訪日し、高市首相や片山さつき財務相とも会談している。
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(更新)- 六車治美三菱UFJモルガン・スタンレー証券 インベストメントリサーチ部 チーフ債券ストラテジストひとこと解説
このタイミングでの高市首相と植田日銀総裁との会談は、インフレ懸念が高まるなかで、6月15・16日に開催される日銀金融政策決定会合における追加利上げ検討への「地均し」の意味がありそうだ。政権側には「日銀の利上げが経済や株価に悪影響を与えないか」との懸念があるかもしれないが、インフレリスクに対して中央銀行が適切な金融政策を行い、通貨価値の安定を図る方が、経済・物価・金融市場の安定に寄与することは歴史が証明していると考えられる。また、インフレ期待を適切に抑制することは、長期国債利回りの安定を通じ、政府の債務発行コストの抑制にもつながる。インフレ抑制に向けて政府・日銀の足並みが揃うことが重要な局面だ。
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