ハーレム玉本の「資金源」
さらに玉本は、タイの仏教におけるルールを持ち出し、歪んだ倫理観を盾に開き直った。
「タイには妻帯を禁じられた坊さんが200万人もいる。それだけ女性があまっているわけで、私としては、そうした女性を助けてやったつもりだ」
「彼女らを虐待したことなどまったくないし、洋裁学校に通わせたり、両親に家を建ててやったり、できるだけの面倒をみてやっている。妻たちには、毎月500バーツ(約7500円)の小遣いもやっているし。しかし、タイ人の人たちの誤解を招いたこと、在留日本人の皆様にご迷惑をお掛けしたことを深く反省している」
「助けてやった」という言い方が完全に上から目線で、反省しているようには見えない。
玉本はハーレム生活を送るため、当時の日本円で1000万円以上をつぎ込んだという。その資金源は、タイのシンジケートから入手した覚せい剤の密売で得ていたとみられ、広域暴力団の麻薬密輸ルートを捜査していた福岡県警から国際手配されていた。別の取材で、玉本はこんな心境も明かしている。
「チェンマイでの生活は幸せだった。普通の人の千年分も幸せだった。あとは自分がいなくても妻たちや子供たちが生活していけるよう、1人当たり5万バーツから10万バーツの預金をやりたいが、人に貸した金を回収する時間があるかどうか心配だ・・・」
和歌山県出身の玉本敏雄は、大阪の私立大学を卒業後、地元の銀行に就職。約5年間勤め、建築資材会社に転職した。そこでは専務という立場で仕事を任されるようになったが、会社が解散したために、「観光旅行する」とタイへ渡り、児童買春にハマってしまった。日本での結婚歴はなかった。
日本国内ではこの「ハーレム玉本」事件について、「外貨で横っ面を張るような行為は絶対にやめてほしい」「日本の恥」などの批判が巻き起こったが、そんな声とは裏腹に、少女の親たちは特派員の取材にこう語った。
「玉本は、いい人です。わたしたちを救って下さった大恩人です。わたしたちも娘も今、たいへん満足し幸福で感謝の念でいっぱいです。警察が玉本を逮捕する理由などまったくありません」
別の少女の母親も謝意を示した。
「2年前、娘を玉本さんの妻にした。1万バーツの土地を買ってもらった。ほかに家を建てなさいといって4万5000バーツをくださった。神様のようなお人だ」
玉本がバンコクの警察に護送される日には、民族衣装で着飾った幼い妻たちが次々に留置場を訪れ、「また帰って来るのを待っている」と伝えたという。日本の常識では測れない、“摩訶不思議”な出来事が起きていた。玉本はその後、日本へ強制送還されたが、今度はカンボジアに戻ってハーレムの“第2章”を満喫していたというのだ。