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藤丸立香とサーヴァント3/Novel by pine

藤丸立香とサーヴァント3

4,847 character(s)9 mins

沢山の反応をありがとうございます。

藤丸立香とサーヴァント3です。

時計塔に関しての知識が色々とでてきます。
階位やら君主(ロード)などといった専門用語有り。

正しいものなのかは分からないので、もし気になった方はネットで調べてみてください。

また、真名バレがあります。
新宿までクリアしていない方、もしくは真名を知りたくないという方は残念ながら読むのを推奨できません。

今回は主に藤丸立香とマスター達の話になっています。

以上の事を踏まえまして、大丈夫そうだったら是非読んで頂けると嬉しいです。

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ふさふさふさ。
なにかが頬に当たる。くすぐったくて、思わず笑ってしまう。というかこのふさふさはなんだ。俺は一体何に触れている?


ガバッと勢いよく起き上がる。どうやらマイルームのようだ。召喚室でボロ泣きしてからの記憶が無いので、あの後寝てしまったのを誰かが運んでくれたんだろう。ふさふさしたものの正体はロボだった。

起きたら大きな狼の顔が目の前にあるって、ちょっと心臓に悪い。
「おはよ、ロボ。」
ロボは機嫌良さそうに吠えると、尻尾を振りながらマイルームから出ていってしまった。

あぁ、もう少しもふりたかった…。
そんな事を考えていると、ふと自分の左手が視界にはいった。
そこには無くなってしまったはずの赤い令呪があった。

「…?」

あれ、俺、マスターじゃなくなったよね?うん。ないない。
頭の中で急速に藤丸立香会議が開かれた。
そういえば、皆が召喚室で俺をマスターって呼ぶもんだから、嬉しくてつい、無意識に契約しちゃった…かも?

自分でも思うが、どうなんだそれは。こんなにも簡単に契約できていいものなのだろうか。



暫くその場でうんうん唸っていると、可愛い可愛い後輩が迎えにきた。

「おはようございます先輩。よく眠れましたか?」

「おはようマシュ、うん。いつの間にか寝ちゃってたよ。ここまで誰が運んでくれたの?」

「はい、オルタさんです!先輩、食堂へご一緒しても良いですか?」


「オルタか。後でお礼言わないとなぁ。勿論、いいよ。久しぶりのエミヤの朝ごはんかぁ。幸せ。」


そんな他愛もない話をして、
マシュとマイルームを出て、
食堂へ向かう。







食堂へ行くと、そこにはサーヴァントのみんなと、ほかのマスター達、
そして珍しく、
「ダヴィンチちゃん?」

「やぁ立香くん。おかえり。」

「うん、ただいま。どうしたの、朝からダヴィンチちゃんが食堂にいるって珍しくない?」

そう、ダヴィンチちゃんは基本自分の工房に篭っていて、中々でてこない。逆にエミヤやブーディカが工房の方へ食べ物を運ぶのが日常茶飯事だったはずだ。


「まぁね。立香くんに早急に聞かないとならない事があるからね。」

「え、なに?」


「立香くん、君は昨日約50騎近くのサーヴァントと契約を結んだね。しかも仮契約じゃなく、本契約だ。一年前の君はマシュ1人分と契約するのがぎりぎりだった。だから今回もカルデアの電力で魔力を賄っているのかと思ったけれど、どうやらそうではないね?君は今、どうやってサーヴァントと契約を結んでいる?」


「…。」

そう、ダヴィンチちゃんの言う通り、俺には魔力が圧倒的に足りなかった。
何をするにも魔力が全然足りなくて、
1年前の人理修復中も皆の傷を直したり、ガンドをどうにか1発打ったりだとか最低限のことしか出来ず、サポートすらちゃんとできていなかったと思う。


それは時計塔に行っても変わらず、知識や技術はあっても、魔力が無かった。

時計塔の魔術師にはそれを大層残念がられたし、嘆かれた。
俺としても大きな魔術を試してみたくても、魔力がないからできない。という事が何回もあったので、魔力の量について深刻に受け止め、考えた。そして打開策をみつけたのだ。



「うーん。簡単に言うと、体に魔術行路、埋め込んだんだよね。」







時計塔には主に十二の学部があった。
普通ならば自分の特性にあった学部を一つ選び、その道を極めるのだがいかんせん
俺は素人だったので、特性もくそもなく。
そのため十二ある学部の内の十一の学部で俺は魔法を学んだ。

残りの学部はどうしたのかと言われると、耳が痛い。
勿論学ぶ気はあったのだが、いかんせんその学部は貴族主義だったため、一般家庭からの俺をあまりよく思っていなく、俺の方も受け入れてもらえない所で勉強してもなぁと思い、そこはパスした。

半年間は十一の学部で満遍なく学んでいた俺だったが、魔力の量という壁にぶち当たった。

そこで残りの半年は呪術科で無理矢理どうにか魔力を増やす方法を探したのだ。
勿論1人でどうこうできるはずもなく、呪術科の魔術師やら学友やら君主(ロード)やらを巻き込んでのかなり無茶な事だったが。

しかし君主(ロード)を巻き込んだだけあり、なんとか魔力増強効果のある魔力行路を開発できたのだ。
正直呪術として作った魔術行路だったので、体に埋め込む時死ぬかと思った。

さらにその魔術行路を作るために協力してもらった魔術師達に見返りとして求められた人体実験を少しばかりしたのは言わない方が吉だろう。


「魔術行路を埋め込むなんてそんな無茶をしたのかい!?しかし、どうやって!?そんな事できたら魔術師みんなやっているだろう?」


「うーん。まぁ君主(ロード)とかにも手伝って貰ったしね。それに魔術行路、って言っても実は呪術の類いなんだ。ほら、俺マシュのお陰で毒とか効かないし。そーゆーちょっとやばい薬品とか色々使ったらなんとかなったっていうか。」

そう何でもないことのように言えば、

ダヴィンチちゃんは黙り込んで何かを考えているようだった。

実際は本当に死ぬかなって感じだったけど、皆といるためならそれも構わなかったのだ。



「まぁまぁ、いいじゃんか。俺はこうして生きてるし。ちゃんとあっちで勉強してきたんだからね!ちなみに階位も貰ったんだよね〜。祭位(フェス)っていうんだけど!凄くない?!」


無駄に明るく話を逸らした。
そうでもしないと、ダヴィンチちゃんはきっとマシュや他のサーヴァント達に俺のした事の危険性を教えてしまうだろう。
きっとこのことを知ったらマシュは悲しむ。

それだけは避けなければならない。
だから、お願い。俺がした事は言わないで。
そう思いダヴィンチちゃんを見つめると、暫く悩んでいたようだが、諦めたように、
「分かったよ。それが君の願いなら。」


そう言っていつも通り、美しく微笑んだ。



そんなこんなでドタバタしながら食堂で朝食を食べ終えた俺は、再び自分のマイルームへと戻った。





ふぅ、と溜息をついてベッドにつくなりノックがきこえて、
返事をする前に誰かが入ってきた。


「…やぁ、何のようかな。」
入ってきた人はサーヴァントやマシュではなく、
マスター達だった。
このカルデアに新しくきたマスターは15人で、どうやら全員で俺の部屋に来たようだった。

全くこんな大勢できてなんのようがあるのか。


「単刀直入に言います。食堂で聞いてましたけど、祭位(フェス)ってどういう事なんですか。たった1年間でそんな階位とれるわけが無いでしょう!」

「それに君主(ロード)に研究を手伝って貰ったってどういう事だよ。学部長自ら素人同然の魔術師に協力するなんて有り得ない!」


あぁ、そうか。彼らは知らないんだ。

「ねぇ、君達は足の裏がボロボロになった事はある?走って、走って、走り続けて。
目の前で人が何人も殺されるのをみたことは?殺したことは?」


一人のマスターが言う。
「はぁ?ある訳が無いでしょう?」

「だろうね。俺が留学してた1年間のレイシフトの記録をみたけど、10回未満。した事は現地調査だけで、何とも戦っていなかったみたいだし、何もしてなかったみたいだね。羨ましいよ。」


誰かが声を上げようとしていたけど、喋らせない。
俺の方が先に言葉を紡いだ。

「俺はね、足も体もぜーんぶボロボロになったよ。目の前で人は簡単に死ぬし、助けたくても助けれない命がたくさんあった。時にはただの人間を殺さないとだめな時だってあったよ。何人も何人も目の前で殺されるんだ。俺は君達が知っての通り、素人だよ。レイシフト適正が100%だっただけの何も知らない一般人だったんだ。でも、それでも。俺にはやらなくちゃダメだったんだよ。最後のマスター、なんて言われて。君達に分かる?それがどれだけ辛いか。分からないでしょ。知ってるよ。ここのスタッフさんだって、俺じゃ役不足だって思ってたのも。俺以外が最後のマスターだったならどれだけ良かったのかも。きっとあんなに人は死ななかったのかもしれない。」


一度零れてしまった自分の想いは止まらない。
想いと一緒に、涙まで零れる。


「みんなみんな、前を見てるんだ。いかないで、なんていえなかった。ここにいてって、いえなかった。例え誰が死のうと、何者であろうと、俺は事実を受け止めることしかできなかったんだ。俺は一般人だから、魔力なんてないし。みんなが、英霊達が傷付くのをみてることしかできなかった。誰かが消えるのを見る事できなかった。ただただ声をかけるしかできなかったんだ。だから、俺は魔術行路を自分の体に埋め込んだんだ。元々時計塔に居たならさ、君達も分かるんでしょ。本来魔術行路を体に埋め込む事なんてできないって。」


そう言うと、1人の女の子、俺と同じくらいの年だろうか。その女の子はこう叫んだ。


「分かるわよ!分かるから理解ができないのよ!何で一般人のあんたが!!生まれも育ちも私達とぜんっぜん違う、生まれた時から私達は魔術が当たり前だった、なのに!私達はレイシフトしても前に進めないわ。足が震えるのよ。意味わからない生物がいて、サーヴァント達は当たり前のように前に前に行くけど私には、私達には無理だわ。人が死ぬところ!?そんなの見れる筈が無いわ!なのに何で?何で?あんたは!一般人の藤丸立香は人理修復が出来たの!?そんなの信じられない。有り得ない。有り得るはずがない。」


「何で俺達にはできない?魔力も技術も知識も全部あるんだ。何が違う?俺と藤丸立香、お前の何が違うんだ!サーヴァント達だって口をひらけばマスター、マスター、立香ばっかだ!今のマスターは俺達なのに。魔術行路だって、何でそんなにするんだよ!?分からない!逃げればいいじゃないか!君は一般人なんだよ!そこまで背負う必要はあるのか?!封印指定の話だってでてるんだぞ!?何でそんなに強く生きられる?!俺にはそんな事できない!」


俺と、マスター達はお互いに自分の想い叫んで。


「、ねぇ、俺のサーヴァント、返してほしい。これは俺のエゴで、我儘だけど、でも、彼らは俺のサーヴァントなんだ。彼らは俺だけの英霊で、友人で、大切な人だ。」

そう最後に言えば、


「分かってるわよ。今すぐにでも契約破棄したいくらいよ。
どんなに頑張ってもあの人達は私達をみないわ。貴方しかマスターだと思ってないもの。
そもそも私達に出来るはずがなかったのよ。

「、ああ。もう充分だ。時計塔にマスターから降ろして貰えるようにしよう」


そう言ったお互いの顔は涙でぐちゃぐちゃで。顔を見て、笑ってしまった。
皆それぞれ苦しかったんだなぁ、って今更ながらに思って、静かに俺は









「改めて、俺は藤丸立香。1年間時計塔で留学してきました。一般人じゃなくて、魔術師にはなったつもりです。ねぇ、君達の名前は?」

そう言ったのだった。

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Comments

  • あいかわショコラ

    続き下さい‼

    December 27, 2025
  • 獅唵 狗髏之

    みんな、宝具しまってー。みんな良い子だったわ。

    February 19, 2022
  • 最高すぎます。モブがいい子達でよかったです。これからも頑張ってください‼

    May 19, 2021
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