就職活動をしている学生から、「自分にはガクチカがありません」という相談を受けることがあります。留学経験もない。学生団体の代表経験もない。起業経験もない。そのため、「自分には企業にアピールできる経験がない」と感じてしまう学生は少なくありません。しかし、実際に多くのエントリーシートや面接を見ていると、評価されない理由は「経験が弱い」からではなく、「経験を整理できていない」からであるケースが非常に多いと感じます。
いい経験も抽象的だと伝わらず
最近は、就活サイトやSNSで、華やかな学生時代の経験が数多く発信されています。長期インターンで成果を出した話、海外での挑戦、学生団体でのリーダー経験などを見て、「自分には何もない」と焦ってしまう学生もいるでしょう。ただ、企業が見ているのは、必ずしも経験の派手さだけではありません。
実際の選考では、「何をしたか」以上に、「なぜその行動を取ったのか」「どのように考えたのか」が見られています。例えば、アルバイト経験一つを取っても差は出ます。ただ「接客を頑張りました」と話す学生もいれば、「新人スタッフが定着しない原因は何か」「なぜ店舗内の連携がうまくいかなかったのか」を考え、自分なりに改善策を試した学生もいます。
サークル活動でも同じです。ただ参加していただけなのか、それとも組織の中で課題を感じ、自分なりに役割を果たそうとしていたのかによって、相手に伝わる印象は大きく変わります。つまり、企業が見ているのは「結果」だけではなく、その人の「思考の過程」です。
ところが、多くの学生は、この部分をうまく整理できていません。「頑張ったことは何ですか」と聞かれると、出来事の説明だけで終わってしまう。「なぜそれをやろうと思ったのですか」と聞かれると、言葉に詰まってしまう。「その経験から何を学びましたか」と聞かれると、抽象的な表現になってしまう。これでは、どれだけいい経験をしていても、相手には伝わりません。
派手な経験である必要はなく
逆に、特別に派手な経験がなくても、自分の経験を整理できている学生は強いです。なぜその行動を取ったのか。どのような課題があったのか。自分は何を考えたのか。なぜその方法を選んだのか。その結果、何が変わったのか。こうした流れが整理されている学生は、面接でも話に一貫性があります。深掘りをされても言葉に詰まりにくく、「この学生は自分で考えて行動してきたのだな」という印象につながります。
一見、華やかな経験を持っていても、自分の言葉で語れない学生も少なくありません。「周囲がすごかっただけ」「なんとなく参加していただけ」というケースも実際にはあります。その場合、深掘りをされた瞬間に内容の薄さが見えてしまいます。
就活では、「何をやったか」に意識が向きやすいです。しかし、本当に重要なのは、「その経験をどのように整理し、言語化できているか」です。だからこそ、「自分にはガクチカがない」と感じている学生ほど、一度立ち止まり、自分の経験を丁寧に振り返ってみてほしいと思います。
派手な経験である必要はありません。大切なのは、自分なりに考え、行動し、その経験から何を得たのかです。実際、就活で評価される学生は、「特別な経験をした学生」だけではありません。「自分の経験を整理できている学生」なのです。(「内定塾」講師 齋藤弘透)
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