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益尾知佐子

国際政治学者/九州大学大学院比較社会文化研究院教授

専門は現代中国の対外政策、国際関係論。東京大学総合文化研究科博士課程修了、博士(学術)。小倉高校在学中にアメリカに、東京大学教養学部在学中に中国に交換留学してサバイバル力を磨く。日本国際問題研究所研究員、エズラ・F・ヴォーゲル教授研究助手、早稲田大学講師などを経て現職。ハーバード大学イェンチン研究所協働研究学者、中国社会科学院・外交学院訪問学者などを歴任。単著に『中国の行動原理──国内潮流が決める国際関係』、『中国政治外交の転換点──改革開放と「独立自主の対外政策」』、共著に『中国外交史』、訳書にエズラ・F・ヴォーゲル『日中関係史』など。好きなものは国境。

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    補足近年、中ロは第二次世界大戦後に自分たちが世界の主導権を取れていたら...という「想像の歴史」にとらわれてきました。彼らは自国が日本などの軍国主義に勝利した後、本当なら国連は安保理5大常任理事国の協調(国際関係論でコンサートと言われる状態)で動かされるはずだった、中ソ(ロ)は世界で米国と同等の権力を持てたはずだった、と解釈しています。しかし米国が単独主義を行い、中ソを排してサンフランシスコ条約などを締結し世界覇権を握った、いまこそ国連はそうした悪行を改め、本来の立場に立ち戻らなければならない---というのが、中ロの最近の主張です。だから、彼らは「公正な国際秩序」の再建を主張します。 でも米国がイラン攻撃の泥沼にハマり、弱体化の一途をたどっているのも事実。いまや力関係は変わりました。中国は新たな第15次五カ年計画期に入り、世界の秩序形成で主導権を取る意思を明示するようになっています。

    益尾知佐子
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    解説テレビの影響か、中ロの首脳は毎年会うのだから大したことない、という見解が流布していますが、ずっと中ロ関係をウォッチしている研究者の中では、なぜ日本の中ロ関係への認識はこれほど甘いのだろう?と囁きあっています。希望的観測に偏りすぎです。現時点で中身が未発表ですが、今回も中ロ共同声明は2本立て。主に2国間関係に関するものと、「世界の多極化と新型国際関係を提唱する」共同声明です。後者ではおそらく、中ロで国際秩序の再建を主導していくという意思表明がなされます。香港のサウスチャイナモーニングポストは、中ロは世界的な「統一戦線」の結成を狙っているとしており、正しいと思います。イランもお仲間です。 なおトランプ訪中時、米中は「建設的戦略安定関係」で合意しました。今の中国は、潜在的敵国とは「戦略安定」関係を追求し、そうでない国とは「新型国際関係」をやるという整理がなされています。(まるで毛沢東時代。)

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    補足これまでのところ、会談は中国のペースで進んでいます。中国は昨日午前の会談がまだ終わっていない段階で、習近平の台湾発言をフライング的に報道しました。それに米国がどう反応したかには触れませんでしたが、海外メディアは習氏の発言を大きく報じましたので、米国側は中国に枠をはめられた形です。トランプが米国の最も重要な企業人を引き連れ、中国にいろいろな物を買ってもらいに行った...というのも、彼が米中貿易戦争を皮切りに世界に関税攻撃を仕掛けてきたことを考えると、かなり情けない状況。 これではトランプは、なぜわざわざ中国に行ったのか、国内に説明できなくなってしまいます。こんな中で彼がいつものイニシアチブを取り戻そうと思えば、台湾への武器売却を実行するのが簡便。台湾では4月の国民党主席の訪中後、党が分裂状態になり、購入予算が可決されたばかり。米中関係は今回の首脳会談だけで形作られるわけではありません。

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    見解ほう。これは興味深いですね。まだ米中首脳会談は続いているのに。イラン側は今回、中国がイラン問題について米国の要求を大きく呑むことはない、中国はイランの主権や権利をリスペクトし続けてくれる、という確証を得たのでしょうか。

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    見解米中ともにトランプのこの訪問を「成功」であったと国内向けに協調する必要があり、そこに今回の共通利益があります。政治関係はより動かしにくいので、経済、特に貿易で成果をアピールする算段が透けて見えます。もっとも、中国からすればもともと米国が中国に貿易戦争を仕掛けてきたわけで、そこで問題が落ち着くのは願ったり叶ったりです。

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    補足中国の主要大学の交換留学生は中国政府の公費派遣の留学制度を使うことが多く、大使館や総領事館から毎月の奨学金が振り込まれるため、当然、その意向を強く受けます。中国政府が日本との交流を望まなければ、その枠は縮小します。申請撤回はすでにこの春から相次いでいました。 国立大の教員は、ここ数年、かなりイカサマな中国人仲介業(留学生ビジネス)が興隆して対策に消耗していたので、減っても別に...という人が多いです。ただ、交換留学の覚書には5年などの期限があるため、満期が来て書類が更新されなければ、長期的には学生交流そのものが消えていくでしょう。中国への日本人留学生数はこのところ激減していますが、少数の有志も中国に渡航できなくなっていけば、東アジアの安定を支える日中の人的基盤の薄さは将来的には課題になります。 ところで、日本は交換留学生にはほとんど優遇措置は与えてないですよ。(だって短期なので。)

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    補足親中的と言われるカンボジアですが、現首相は少し慎重で、日米豪や中国との間でのバランス外交を志向しているようです。というのも、カンボジアとタイとの国境紛争では、対象地域が大昔、国際司法裁判所でカンボジアに帰属すると判決が出ています。それにもかかわらず、中国が事実上、タイを支援するような行動をとった、というのがカンボジア側の解釈です。カンボジアの中で中国に「国際法を守れ」という不満が出ていると聞き、状況によって国家間関係が変わる国際関係の流動性を実感しました。 人間関係もしかりですが、あまり固定的な観点(偏見?)で国同士の関係を見るべきではないようです。

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    補足中国はインド太平洋の島嶼国に接近を図っています。最近はそうした国々の海洋空間計画の策定なども手伝い、場合によっては中国の人工衛星網の地上局なども建設してそれらの「現代化」に力を貸し、各国の国内行政に食い込んでいます。つまり、中国が地球空間でできることも集められる情報も、以前よりずっと増えているということです。 飛行許可の取り消しという新たな手法には驚きましたが、最近、中国がやってきたことを考えれば府に落ちます。

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    見解中国は反高市キャンペーンの中で日本の「新型軍国主義」の批判を始めていたので、「日本の脅威が膨らんでいる」という中国の主張にとって、本件は格好の宣伝材料を提供してしまいました。日本政府にとっては絶対に起きてほしくなかった事件でしょう(実際に、国際法上、起こしてはならないレベルの事件ですし。)自衛隊が中国の脅威に対して日々、「備え」をとっているのは当然でしょうが、そうした組織に所属する個人が逆に日本の国益を損なってしまわないよう、政府は所属メンバーに対する教育を強化する必要があります。

    益尾知佐子
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    見解台湾人は観光目的ならノービザで日本に来れちゃうんですよね。これ、「民間関係」ですから。 日本は台湾のパスポートを持つ人に一括して同じ待遇を与えているので、台湾側が自主規制しなければそうなります。あちらの政治家にとって自主規制する理由はほとんどないでしょう。 本質的に日台間の民間交流であり、それを規制しようとすれば台湾人全体へのノービザ制度を取り消すしかなく、そんなのは世論の反発を招くだけで行き詰まりになっちゃうので、中国に慣れてもらうしかなさそうです。 野球見に来ただけで、そう目くじら立てなくても...と思いますが。

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