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高橋浩祐

米外交・安全保障専門誌「ディプロマット」東京特派員

「日本から世界へ」をモットーに対外発信に注力。英軍事週刊誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」前東京特派員。令和元年度内閣府主催「世界青年の船」日本ナショナルリーダー。米ボルチモア市民栄誉賞受賞。ハフポスト日本版元編集長。元日経CNBCコメンテーター。1993年慶応大学経済学部卒、2004年米コロンビア大学大学院ジャーナリズムスクールとSIPA(国際公共政策大学院)を修了。朝日新聞やアジアタイムズ、ブルームバーグで記者を務める。Naval NewsやNK News、Nikkei Asia、世界の艦船、軍事研究、東洋経済、週刊文春、英紙ガーディアン、ストレーツ・タイムズ等に記事掲載。

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    見解歴史的に、米中関係が改善すると、中国の対日政策はしばしば強硬化する傾向がある。なぜなら、中国は米国との関係安定を背景に、日本に対してより強い姿勢を取りやすくなるからだ。中国は今後も、日米間にくさびを打ち込もうとする可能性が高い。日本政府には冷静な警戒と戦略的対応が求められる。同時に、対中政策をめぐる日米間の認識のずれを最小限に抑える外交努力も不可欠だ。

    高橋浩祐
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    見解中国側の「軍国主義復活への反対」という主張には、強い違和感を覚えます。中国は自国が急速な軍拡を進めている現実を棚に上げているからです。 実際、中国は昨年9月3日の軍事パレードで、核弾頭搭載が可能な陸・海・空の「核の3本柱」を内外に誇示しました。日本政府の有識者会議資料を見ても、中国は長年、国防費を不透明に増額し、ミサイル戦力の強化や力による一方的な現状変更の試みを急速に拡大させています。これこそが現在のインド太平洋地域における最大級の安全保障上の脅威です。 自国の威圧的な軍拡には触れず、日本の防衛力整備のみを「軍国主義の復活」と批判する姿勢は、典型的なプロパガンダや認知戦と言わざるを得ません。 政府はこうした的外れな懸念に萎縮することなく、国際社会と連携し、客観的データと毅然とした外交姿勢で、中国側の二重基準(ダブルスタンダード)をマルチ言語で国内外にしっかりと指摘していくべきです。

    高橋浩祐
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    見解頼政権が防衛予算の積み増しや無人機の生産などの強化を打ち出した背景には、中国軍の圧力だけでなく、トランプ政権の「台湾は自らもっと負担せよ」という強い要求がある。ただ、頼政権が構想した大規模な特別防衛予算案は、野党・国民党などの反発で大幅修正を迫られた。 台湾は半導体産業で世界的競争力を持つ一方、産業構造の偏りや内需の弱さも抱える。頼総統が「防衛と経済の両立」を強調するのは、単なる軍拡では有権者の支持を維持できないからだろう。無人機やAI、防衛産業への投資を経済成長や産業育成と結び付け、「安全保障=経済政策」として国民に訴える狙いが透ける。 ただ、台湾政治の難しさは、対中強硬姿勢を打ち出しても、立法院では野党が多数を握っている点にある。中国への警戒感は共有されても、防衛費の急拡大には生活重視の世論も根強い。頼政権は今後も対中抑止と経済の底上げという難しい舵取りを迫られることになりそうだ。

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    見解高市首相は、この11月の中国・深圳で開催されるAPEC首脳会議で、習近平国家主席とプーチン大統領との首脳会談を開催することになるのか。注目が集まる。

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    見解今回の提言原案で最も注目されるのは、「長射程ミサイルを運用する次世代動力の潜水艦」という含みのある表現だろう。 垂直発射装置(VLS)を搭載する潜水艦は大型化し、通常型潜水艦より大量の電力を必要とする。長期間にわたり隠密行動しながら長射程ミサイルを運用するとなれば、現実的には原潜しかない。一方、防衛省は「次世代動力」として、表向きは全固体電池や燃料電池も挙げる。ただ、いずれも電池である以上、発電力や持続力には限界がある。 もっとも原子力自体は20世紀から存在する技術であり、「次世代動力」と呼ぶことには一見、違和感も残る。ただ近年は、超小型原子炉(マイクロ炉)やSMR(小型モジュール炉)など安全性を高めた次世代型原子力の研究が盛んだ。 背景には、中国海軍の太平洋進出拡大がある。太平洋遠洋で中国海軍の空母打撃群を、長期間追尾・監視する手段として、原潜を有力な抑止力とみる声が強まっている。

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    見解トランプ政権が中国との関係安定を優先し、対中・対台湾政策で日本との温度差が目立ち始める中、日韓協力の重要性はこれまで以上に高まっている。特に高市政権は台湾問題で対中強硬色が強いだけに、米国がさらに対中融和に傾けば、日本だけが中国との矢面に立たされるリスクもある。 そうした中で、韓国は日本にとって単なる隣国ではなく、東アジアの安全保障バランスを支える極めて重要なパートナーになりつつある。李在明政権との関係安定は、日米韓連携を維持する上でも不可欠だ。 日韓は歴史や領土問題を抱えつつも、北朝鮮、中国、台湾海峡情勢という共通課題に直面している。トランプ政権の東アジア関与への不安が強まるほど、日韓が直接連携を深める戦略的重要性は増していくだろう。日本はいま、韓国やオーストラリア、フィリピン、カナダなど、ミドルパワー同士の連携を一段と強化しなければならない時代に入っている。

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    補足ニュージーランド政府が2025年に公表した「国防能力計画」では、「フリゲート維持整備プログラム」について、「戦闘能力を有する艦艇(combat capable ships)」を維持し、国内・地域・世界規模で活動可能な「重要な戦闘能力」を保つためと明記されています。さらに、ペンク国防相も7日付の次期フリゲート計画に関する声明の中で、「maritime combat capability」「combat capable fleet」といった表現を用い、本格的な水上戦闘能力の維持・更新を重視する姿勢を鮮明にしました。 この点は、日本の新型FFMにとって追い風になり得ます。単なる「哨戒艦」ではなく、「本格的な水上戦闘艦」が求められている点は重要です。また、拙稿でも強調しましたが、オーストラリアが新型FFMを選定したことで、豪NZ間の相互運用性や訓練・整備面の共通化という利点が生まれています。

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    見解トランプ大統領が、中国の習近平主席との会談で台湾向け武器売却問題を「詳細に議論した」と認めており、台湾側が神経を尖らせているのは当然だろう。頼清徳総統が「武器売却は地域の平和に必要」と訴えたのも当然だ。もし米国が、中国と台湾向け武器売却を事前協議するような姿勢に転換すれば、レーガン政権以来の対台湾政策の重要原則「6つの保証」、すなわち「中国と事前協議しない」との原則に抵触する。これは台湾だけでなく、日本にとっても重大な問題だ。 台湾は日本にとって、単なる「友好的な隣国」ではない。中国の海洋進出を抑える重要な緩衝地帯でもある。仮に台湾が中国の影響下に組み込まれれば、中国軍のプレゼンスは与那国島目前まで迫り、南西諸島防衛の環境も一変しかねない。 トランプ氏は「9500マイル先の戦争は望まない」と語ったが、台湾問題は単なる米中間のディールではなく、インド太平洋全体の安全保障問題に直結する。

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    見解提言原案で「国民の理解が不可欠」と強調しながら、潜水艦の動力源については「次世代動力」という極めて曖昧な表現にとどめ、原子力潜水艦の可能性に一切触れていない点には疑問が残る。 安全保障環境の激変を踏まえ、VLSを搭載し、長期間の潜航能力を可能にする「次世代動力」の実態が原潜を念頭に置いているなら、それを伏せたまま議論を進めるのは誠実とは言い難い。 原潜には、巨額の建造・維持費や廃炉コスト、乗組員の専門教育、原子炉の安全管理など、通常型潜水艦とは比較にならないほど多くの課題が伴う。のちに国民に負担を強いるのが明らかな中、その是非を曖昧な表現で包み込むべきではないだろう。防衛力の抜本的強化や「新しい戦い方」を掲げるのであれば、反発を恐れて言葉を濁すのではなく、原潜保有の是非も含めた透明性の高い国民的議論を正面から提起すべき段階に来ている。政党と政治家には、より真摯な説明責任が求められる。

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    見解トランプ政権が、これまで主張してきた「イランのウラン濃縮の恒久放棄」から、「20年間の停止」でも合意可能との姿勢を示したことは、事実上の現実路線への修正といえる。2015年のオバマ政権下の核合意(JCPOA)も、濃縮活動を永久に禁じたわけではなく、10〜15年程度の厳格な制限を設ける枠組みだった。今回の20年案は、それを長期化した形であり、トランプ大統領の面目を保ちながら妥協点を探った印象だ。 背景には、イランがすでに高濃縮ウランや関連技術を蓄積し、「完全放棄」を実現するハードルが極めて高くなっている現実がある。 加えて、トランプ氏には中東情勢の安定を急ぎたい事情もある。原油価格やガソリン価格の高騰は、米国の消費者心理や中間選挙に直結するためだ。中国によるイラン産原油購入への制裁緩和まで議題に上った点を見ると、今回の交渉は、「核問題」だけでなく、エネルギーと対中関係が絡む交渉でもある。

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