成績は爆上がりすれど学力は低下。大学生のAI活用で
学びとは?って考えちゃうトピック。
カリフォルニア大学バークレー校が発表した調査によると、生成AIの急速な普及で大学生の成績が上がっているそうです。でも問題も...。
大学生のAIの使い方
まず、学生による生成AIの使い方は大きく3つに分けられます。
AIはリサーチなど補助的な役目をするけれど、学生本人が主体的に取り組む「補助型」(拡張=augmentation)。AIを使うことを前提とした課題をこなす「応用型」(reinstatement)、そしてレポートを書くなど本来なら学生が自分でやるべき作業をAIに丸投げする「代行型」(代替=displacement)です。
3つのいずれも成績向上につながりますが、実際の学習やスキルの習得と相関があるのは「補助型」と「応用型」だけ。
そして、試験官のいる筆記試験や口頭発表、授業内ディスカッションなどとは正反対の、リモートでできる課題やエッセイ、レポートといった監視のない提出物は、「代行型」にうってつけの環境です。
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AIが使える課題とAIが得意な課題
この調査は、カリフォルニア大学バークレー校の研究員イゴール・チリコフ氏が、テキサス州にある大規模大学の84学部、50万件以上の学生の履修データを2018年から2025年にかけて分析したのもの。
成績が上がったのは、ライティングやコーディング課題の比重が高い科目に集中していて、自宅でできる課題の配点が高いほどその傾向が強かったそうです。つまり、学生がAIを使って課題の一部をこなし、より良い成績を取っているということですね。
全体としてChatGPTが登場して以降、学生がAIを使いやすい授業ではA評価が30%増加したことも明らかになっています。
大学生が課題をAIにやってもらうようになるというのは、ChatGPTの登場当初から言われていたことです。加えて、GPAは大学院進学や就職に直結するもので、学生にとっては死活問題です。若者の就職市場がAIによって脅かされている今の時代、少しでもいい成績を取っていい仕事をゲットしようと学生がAIに頼るのは、理解できますね。
AIに任せていい点は取れるけれど...
ただ興味深いのは、生成AIが私たちの日常に入って来て4年が経った現在でも、アメリカの大学がその影響にいまだ追いついていないという点。
また、AIによる成績向上が進むと、企業が優秀な新卒者を見極めることも難しくなります。なにより、それ以上に深刻なのは、AIへの依存が高まることで、AI頼りの中身が伴っていない人材が生まれてしまうという問題です。
チリコフ氏はこう書いています。
学習において、スキルを身につけるべき課題をAIが代行してしまうと、AIに代わりにやってもらえる分野ほど、学生は自分で習得する機会がなくなり、その分野の勉強が苦手なまま卒業することになります。教育におけるAI活用と生産現場でのAI利用が互いを強化し合うフィードバックループが生まれ、自動化がさらに加速する可能性がある。
つまり、AIによる成績向上を前提とした教育システムができると、基本的な業務もままならない労働者が増えてしまい、職場でのAI依存がさらに深まる。それが雇用の自動化を加速させる、ということですね。
こうしたAIを使った成績向上への対策を検討している大学もあります。
プリンストン大学でおこなわれたアンケートでは4年生の約30%が生成AIを使ったカンニングを認めているという結果が。これを受けて今週、教員たちが「教員の監督なしに学生が試験を受けることを認める」という133年続いた規定を廃止するかどうかの投票をおこないました。
一方、ハーバード大学では現在、学部の授業でA評価がもらえる学生はクラス全体の20%以内に制限するという提案について、教員が投票をおこなっているところだそうです。
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