ウォール街支える「伊藤の公式」 日本発の数学、金融AI補う
世界は数学でできている③
・ウォール街で最も有名な日本人は?
・金融工学の基礎を築いた数式とは?
・AIはバブル経済の発生を防ぐか...
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
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(更新)- 比屋根一雄三菱総合研究所 研究理事 AI技術顧問ひとこと解説
AIはデリバティブ価格の推定や相場分析の高度化には有効ですが、その延長線上で株価の将来を正確に読み切り、バブルまで防げるとするのは言い過ぎでしょう。金融市場では、地政学リスクや政策変更、群集行動のように、学習データだけでは十分に捉えにくい変数が大きく作用します。AIは有力な助けにはなりますが、市場の不安定さを解消する万能薬ではありません。また、似たモデルの普及が売買行動を同質化して、かえって変動を増幅する可能性もあります。市場を予測する話と、市場全体を制御する話は分けて考える必要があります。
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(更新) - 田中道昭日本工業大学大学院技術経営研究科教授ひとこと解説
1995年のシカゴ大学留学時でも、教科書に登場する伊藤氏は同大学で最も有名な日本人だった。伊藤氏が編み出した公式の本質は、株価のランダムな動きを確率過程として記述した点にある。株価はどの方向に動くかは誰にもわからない。それでも「どの範囲に、どの確率でいるか」は計算できる。不確実性を消さずに定量化して飼いならす。これが公式の革命だった。揺れが大きい株のオプションほど価値が高い。不確実性はリスクであり、価値の対象でもある。ファイナンス科目でこの構造を学んだことは、その後の私のファイナンス思考の原点にもなった。日本人の数学的知性が世界の金融とAIの両方を先取りしていたことは日本人の誇りだと思う。
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(更新) - 梶原誠日本経済新聞社 本社コメンテーター貴重な体験談
ブラックショールズ式でノーベル経済学賞を取ったロバート・マートンさんに「日本は経済大国(当時は米国に次ぐ2位)なのにノーベル賞がもらえていないのは、研究の方向が間違っているからでは?」と聞いたことがあります。答えが「日本にはイトーがいるじゃないか」。伊藤の公式なしにデリバティブの値段は分からず、企業は今のように為替相場が激動していてもヘッジできず、苦労して稼いだりコスト削減したりしても一瞬で努力が吹っ飛びます。金融工学界隈で知らない人はいませんが、多くの人々がその恩恵を受けているのです。
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