白亜紀末期の古地理図

 東北大や東京大、福井県立大などの研究チームは5月19日、恐竜などが絶滅したとされる「白亜紀末の大量絶滅」を引き起こした小惑星衝突の影響を示す地層の一部を、北海道東部で新たに発見したと発表した。東アジア・北西太平洋域では初めて確認したとし、「メキシコの衝突地点から最も遠い地域の一つで、白亜紀末の環境や生態系の変化を解明する重要な基盤となることが期待される」としている。

 チームによると、約6600万年前の白亜紀末、メキシコ・ユカタン半島付近に小惑星が衝突し、巨大津波や広域の森林火災、粉じんなどによる太陽光の遮断、急激な寒冷化が発生。恐竜やアンモナイトなど中生代に繁栄した多くの陸上・海洋生物が絶滅したと考えられている。恐竜が繁栄していた白亜紀と、恐竜絶滅後の古第三紀の境界は「白亜紀/古第三紀境界(K/Pg境界)」と呼ばれ、年代を区分する代表的な指標とされる。東アジア・北西太平洋域は衝突地点から最も遠い地域の一つで、地球規模で起こった環境変動の影響を検証する上で重要という。

 東北大や東京大を中心とした、福井県立大、北海道大、愛知教育大などの研究チームは、2013年から北海道の根室層群でK/Pg境界を探索してきた。

 根室層群は、かつて深さ数百~千メートルほどの海底にたまった泥の層で、隆起して地表に現れている。小惑星衝突による巨大津波の影響を受けにくかった場所と考えられ、地球規模の環境変動を示す地層が失われていない可能性が高い。

⇒【写真】北海道で発見したK/Pg境界層

 これまでは1986年に報告された北海道浦幌町の茂川流布(もかわるっぷ)川沿いで地上に露出する粘土層が東アジア唯一のK/Pg境界とされてきたが、チームの分析の結果、境界ではないと判明。一方、北東約4キロに位置する川流布(かわるっぷ)川支流上流の泥岩層にある地層が、K/Pg境界の一部であることを今回、地球化学的証拠により確認したという。

 新たな地層によって100年単位という高い精度で堆積当時の環境変動を解析できる可能性があるとしている。東北大総合学術博物館の高嶋礼詩教授(53)は「発見された地層の上下で微化石や有機・無機元素の分析を進めれば、白亜紀末~古第三紀初めの陸上気候、海洋環境、陸上・海洋生態系の変化、生態系の回復までの時間などを詳細に明らかにできると期待される」としている。周辺をさらに調べれば、連続した境界層をさらに発見できる可能性がある。

 K/Pg境界層の一部であることは、白金族元素であるイリジウムの濃度やオスミウムの同位体の比率の変化で裏付けた。白金族元素は地球の表層ではごく微量しか存在しないが、小惑星では多く含まれるため、急変は同境界を認定する最も重要な指標だという。

 論文は19日、科学誌「コミュニケーションズ・アース&エンバイロメント」電子版に掲載された。

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