「いつ大きな事故が起きてもおかしくない」奈良メガソーラー3度の土砂流出で住民がついに刑事告発
奈良県平群町(へぐりちょう)のメガソーラー建設現場で4月、土砂流出事故が起きた。この1年半の間で3度目。下流域の住民らは5月11日、森林法違反で刑事告発状を地元警察署に提出した。 【写真を全部見る】町道にあふれ出した泥水 調整池や水路など防災施設の整備を先行させるという林地開発の許可条件が守られないまま、造成・建設工事が行われていたとしている。罰則が新設された改正森林法(今年4月施行)に基づく告発は初めて。大雨のシーズンを前に、違法行為が明らかにされるのか。
■3度目の土砂流出事故 このメガソーラーは、事業者の協栄ソーラーステーション合同会社(東京)が山林約48haを開発して建設中。元請け、下請け、孫請けの3社が造成、建設工事を進めてきた。この春から太陽光パネルの設置にかかり、完成すれば出力約2万kWの発電所となる。 4月10日午後3時ころ、雨が強まったため、心配になった平群町議会議員で平群のメガソーラーを考える会の代表世話人、須藤啓二さんが駆け付けたところ、工事現場脇の町道に土砂があふれ出していた。工事現場の作業員が散水車を出して土砂を道路の側溝に流し込む作業を急いでいた。
須藤さんは工事関係者に対し、警察署、平群町など関係機関への通報を指示。午後4時半ころ、西和警察署のパトカーが到着。雨が小降りになる中、合板を使った土砂流出のせき止めが行われた。 須藤さんは下水道の水処理施設の設計・施工を行う会社を経営する一級土木施工管理技士で、水路や調整池などの構造に詳しい。工事関係者の話から、この土砂流出の原因は、「3号調整池」周辺の水路の一部が上部の盛土のり面から崩落した土砂で埋まったため、道をふさがれた泥水が反対方向に流れ出し、脆弱な仮締切を突き破って道路上に流れ出したもの、とみている。
■平群町長が事業者に出した怒りの文書 土砂流出事故から6日後の4月16日、西脇洋貴・平群町長は平群のメガソーラー開発に資金を提供しているエンフィニティ・ジャパン株式会社の担当者2人にあてた「土砂流出事故への対策指示書」を出した。 文書は事故の原因について、「3号調整池へ流入する北側排水路が未完成でありながら、3号調整池下流への流出を防ぐための仮締め切りが不十分であったことにより、上流水路から大量の土砂が調整池を介さずに町道へ流出した」と断定。さらに、「防災対策と現場管理に対する認識の欠如」を指摘したうえで、開発造成地の全域についての点検実施、対策を講じるよう求めた。強い調子での「指示」に、怒りがにじみ出ている。