Article

Conversation

ガンガン上がってる金利についてよく知らなかったので、何が自分に影響するか勉強してみた
「長期金利が29年ぶりの高水準」みたいなニュースを見ても、正直、自分の住宅ローンや家計に関係あるのかどうか、よくわからない。そういう人、多いと思います。
私も、人に説明しようとすると意外とあやふやでした。なので一度ちゃんと整理してみました。
結論から言うと、金利の言葉はたくさんあるように見えて、住宅ローンに効くルートはたった2本です。この2本さえつかめば、ニュースの「金利上昇」が自分に関係あるのか、ひと目でわかるようになります。

Q1. そもそも金利って、1種類じゃないんですか?

A. 1種類じゃないです。ここが最初のつまずきポイント。
ニュースに出てくるだけでも「長期金利」「政策金利」「短プラ」「長プラ」と、いろんな金利が出てきます。全部バラバラに覚えようとすると、わけがわからなくなる。
でも安心してください。住宅ローンに関係するのは、そのうち2系統だけです。残りは脇役。まずは「金利には系統がある」とだけ思っておいてください。

Q2. その2系統って何ですか?

A. 「固定金利の系統」と「変動金利の系統」です。
住宅ローンには固定金利と変動金利があります。この2つは、そもそも見ている数字が違う。だから別系統。
ざっくり言うとこうです。
固定金利 ← 「長期金利」を見て決まる
変動金利 ← 「政策金利」を見て決まる
この2行が、この記事のいちばん大事なところです。あとは全部、この2行の説明です。

Q3. まず固定金利から。「長期金利」って何ですか?

A. 「長期金利」とは、ほぼイコール「10年もの国債の利回り」のことです。
国債というのは、国が「お金を貸してください」と言って発行する借用書です。その10年ものの借用書が、市場でどれくらいの利回りで取引されているか。その数字を、世の中では「長期金利」と呼んでいます。
つまり「長期金利」と「10年国債の利回り」は、別の2つのものではなく、同じものの呼び名違いです。ここを2つだと思っていると混乱します。
そして固定金利の住宅ローン(フラット35など)は、この10年国債の利回りを見て決まります。
長期金利(=10年国債の利回り)が上がる → 固定金利が上がる
ルートはこれだけ。とてもシンプルです。

Q4. その長期金利は、誰が決めてるんですか?

A. 誰か特定の人が決めているわけではありません。市場で毎日、勝手に動いています
国債は株と同じように市場で売り買いされています。みんなが「国債を売りたい」となれば利回りは上がり、「買いたい」となれば下がる。需要と供給で、日々ふらふら動く。
たとえば「物価がどんどん上がりそうだ(インフレ)」という空気になると、国債は売られて長期金利は上がります。最近のニュースで長期金利が上がっているのは、原油高でインフレが意識されているから、というのが大きな理由です。
ポイントは、長期金利は市場で毎日動くということ。これは後で「政策金利」と比べるときに効いてきます。

Q5. 次は変動金利。「政策金利」って何ですか?

A. 政策金利は、日本銀行(日銀)が決める金利です。
ここが長期金利との決定的な違い。長期金利が市場で勝手に動くのに対して、政策金利は日銀が会議(金融政策決定会合)で「上げます」「下げます」「据え置きます」と意思を持って決める数字です。
そして変動金利の住宅ローンは、この政策金利の影響を受けます。
日銀が政策金利を上げる → 変動金利が上がる
ただし、この間にもうワンクッションあります。それが次の質問。

Q6. 「短プラ」って何ですか?

A. 「短プラ」は「短期プライムレート」の略で、銀行が優良企業に短期でお金を貸すときの、いちばん優遇した金利です。
変動金利は、政策金利を直接見ているのではなく、正確には「短プラ」を見て決まります。そして短プラは政策金利を見て決まる。つまり、こういう数珠つなぎです。
政策金利 → 短プラ → 変動金利
日銀が政策金利を上げる。すると銀行が短プラを上げる。すると変動金利が上がる。バケツリレーのように伝わっていきます。
ここで間違えやすいのが順番(向き)です。短プラが政策金利を決めるのではありません。政策金利が先、短プラが後。日銀がボールを投げて、それを銀行が受け取る、という向きです。

Q7. じゃあ「長プラ」は?短プラの仲間ですか?

A. 仲間ですが、住宅ローンの話ではほぼ脇役です。
「長プラ(長期プライムレート)」は、銀行が優良企業に1年を超える長期でお金を貸すときの最優遇金利です。短プラの「長期版」ですね。
ここで多くの人がこう考えます。「短プラが変動金利のもとなら、長プラは固定金利のもとなんでしょ?」
違います。固定金利は長プラを見ていません。固定金利が見ているのは、あくまで10年国債の利回り。長プラではない。
長プラが活躍するのは、住宅ローンではなく企業向けの融資の世界です。会社が工場を建てたり長期の設備投資をしたりするとき、その借入金利の基準として使われます。だから、家を買う人の2系統図には、長プラは入ってきません。「企業向けの長期融資の基準金利」とだけ覚えておけば十分です。

Q8. 短プラと長プラ、決まり方はどう違うんですか?

A. 短プラは「政策金利」を見て決まり、長プラは「銀行が自分で決める」性格が強い。
短プラ ← 政策金利(日銀が決める)
長プラ ← 長期の調達コストを見ながら銀行が自分で設定(銀行が決める)
短プラは受け身です。日銀が政策金利を動かせば、短プラもほぼそのまま追いかける。銀行の裁量はあまり入りません。
一方、長プラはもう少し複雑で、銀行が「長期でお金を集めるのに、今どれくらいコストがかかっているか」を見ながら、自分で設定します。長期金利の動向や、銀行自身が長期資金を調達するときの利率などをもとに決める。だから長プラのほうが、銀行の判断が入る余地が大きい。

Q9. ここまでを一度まとめてください。

A. 全部つなげると、こうなります。
・政策金利 → 短プラ → 変動金利(住宅ローン)
・銀行の長期調達コスト → 長プラ → 企業向けの長期融資
・10年国債の利回り(=長期金利) → 固定金利(住宅ローン)
住宅ローンに関係するのは、1行目と3行目だけ。2行目(長プラ)は別レーンで、企業向けの話。
そして1行目と3行目の決定的な違いは、出発点です。3行目の長期金利は市場で毎日動く。1行目の政策金利は日銀が会合で決める。だから「長期金利が上がった」が、即「変動金利が上がる」にはならない。ニュースが固定金利を直撃して変動金利を直撃しないのは、ここの違いです。

Q10. 結局、もう住宅ローンを借りている人は、何を気にすればいいんですか?

A. 固定で借りているなら、何も気にしなくていい。変動で借りているなら、政策金利だけ見ていればいい
固定金利で借りた人は、借りた時点で完済までの金利が確定しています。その後に長期金利が動こうが政策金利が動こうが、自分の返済額は1円も変わらない。「金利上昇のニュース」から完全に切り離された状態です。
変動金利で借りた人は、見るべきは政策金利だけ。長期金利のニュースは固定金利の世界の話なので、既存の変動ローンには関係しません。日銀が利上げするかどうか、そこだけ追っていればいい。

Q11. 変動の人が政策金利を「気にする」とき、注意点はありますか?

A. 2つあります。
ひとつはタイムラグ。日銀が利上げを決めても、それが自分の返済額に反映されるまでには数か月ずれます。基準金利の見直しは年2回、返済額への反映はさらにその後。「利上げのニュース=来月から返済増」ではありません。
もうひとつは「5年ルール」「125%ルール」のワナ。これらのルールがある商品だと、金利が上がっても、毎月の返済額の見かけはすぐには変わりません。一見、安心に見える。でも中身では、返済額のうち利息の割合が増えて、元本の減りが遅くなっている。「返済額が変わってないから大丈夫」と思っていると、見えないところで負担が増えています。
気にする対象は政策金利だけで合っているけれど、気にし方には少しクセがある。ここだけ押さえておけば完璧です。

まとめ

金利の言葉はたくさんあるけれど、家を買う人がつかむべきは2本のルートだけ。
固定金利は「長期金利(10年国債)」を見ていて、これは市場が毎日動かす。
変動金利は「政策金利」を見ていて、これは日銀が決める。
そして借りたあとは、固定なら気にしなくていい、変動なら政策金利だけ。長プラも社債利回りも、自分の住宅ローンには関係ない脇役。
ニュースで「長期金利が上がった」と聞いたとき、「あ、これは固定の話だな」「自分は変動だから、見るべきは日銀だな」と切り分けられたら、もう金利オンチではありません。
Want to publish your own Article?
Upgrade to Premium