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藤本宏輝受刑者の再審請求騒動について

先日、Xで冤罪を訴える記事を見つけました。

上記の記事を読んで驚きました。
ネタのつもりで送った「メッセージ」、「言葉のあや」、「ボヤキ」で懲役20年を科せられる事など、この日本であるのかと。

現在、再審請求に向けてリーガルファンディングで支援を求めているということです。

X上では日本の司法に対する批判や、無辜人を救えといった投稿が多く見受けられました。
普段、裁判所に毎日通い裁判傍聴をしている人間としては、記事だけでは信じがたく、藤本受刑者の一審判決要旨、実行犯の一審判決要旨を読んでみました。
私が感じたことを出来るだけ手短に、シンプルにお伝えしたいと思います。

「ネタのつもりで送ったメッセージが原因」が独り歩きしている

「うざいうざいうざい 殺したい」
藤本受刑者が令和3年12月19日(事件3ヶ月前)に実行犯に送った実際のメール内容です。
藤本氏の第一審判決要旨は7ページなのですが、すべて読んだ感想としてこのメールが決定打となって有罪判決が下された印象はまったくありませんでした。
あくまでも検察により積み重ねられた証拠の一つで、藤本氏の殺意の認定の補足に過ぎないというのが私の印象でした。
むしろ、このメールだけが証拠であったならば起訴もされていなかったでしょう。
「ネタのつもりで送ったメッセージが原因」が独り歩きしているのは再審請求を目指す弁護側の戦略、キャッチコピーみたいなものでしょう。

知りたい詳細が表に出てこない

上記のニュースを読んで「はて?」と思うことが多いです。

「藤本さんは被害者への示談金について、当初の300万円を支払い、その後も月々5万円の返済を続けていました。

上記ニュースより抜粋

本件が発生するキッカケな事情であることは想像に難しくないが詳細が伝えられていない。
このような事情が多くあり、前述のように弁護側の戦略を感じます。
都合の悪いことを掲載せずに記事を読む人たちに誤解を生じさせると感じたので藤本氏のリーガルファンディングでの主張と判決要旨を照らし合わせてみます。
※これより先、読む前にリーガルファンディングのサイトを一読下さい

弁護側:示談金を毎月返済しており、証拠に残るSNSに感情的で稚拙なメッセージを送るか?

判決では、藤本さんの「ネタ(冗談)であって本心ではない」という訴えを、こう切り捨てました。
「到底理解できない弁解である。」(第1審判決より引用)
しかし、果たしてそうでしょうか? 藤本さんは示談金について、当初の300万円を支払い、その後も月々5万円の返済を続けていました。本当に殺害を計画している人間が、3ヶ月も前から証拠の残るSNSで、これほど感情的で稚拙なメッセージを送るでしょうか。

まず、藤本氏(被告人)、実行犯(D)、被害者家族(父親E、母親F、息子G)の関係を判決文より整理します。

被告人、D及びGの関係
被告人、D(実行犯)及びG(被害者息子)は、同学年で高校1年時に同じ高校に在籍し、DとGは友人関係であった。
他方、被告人はDやGとは面識がある程度であったが、被告人とDは平成29年頃にコンビニエンスストアで顔を合わせたことをきっかけに付き合いが始まった。

藤本氏一審判決要旨より

別件詐欺事件
令和2年7月頃、被告人はE(Gの父親)に対し、自宅に置いていた400万円をG(息子)に盗まれたと装い、Gにも話を合わせさせるなどして、E(父親)から400万円を詐取した。この件で被告人は令和3年2月頃、詐欺事件で逮捕・勾留された後、同年3月3日に起訴されたが、被告人とEを含む関係者の間で、被告人がまず300万円、その後も毎月5万円ずつの総額685万円余りをEに返済していく旨等を内容とする関連案件も含めての示談が成立した。被告人は、勤務先からの借入を原資として上記300万円を支払い、同月10日に保釈された上で同年5月に執行猶予付き懲役刑に処せられた。

藤本氏一審判決要旨より

リーガルファンディングにこの別件詐欺事件の詳細は掲載されていません。

返済状況
被告人はEに対し、同年3月31日に3万円を支払ったほか、同年4月ないし6月及び8月の各末日に5万円を支払った。
被告人が同年9月30日、Eに対し同月の支払を待ってほしい旨の連絡をしたところ、Eは同年10月5日にかけてこれを了承しつつも、7月分の支払がなかったことも指摘した。
その後の同年12月18日、被告人はEに対して15万円を支払うとともに、支払が遅れた旨等を連絡したが、Eは翌19日、「返済できない月は連絡してくれるか。示談書内容把握してるか? 10万円滞ったら、残金の全額一括返済になっている。この内容で俺がサインして執行猶予になったんやろ。今後滞りが無いように。」と返信した。
すると被告人は同日、Dに対し、Eの上記返信等を表示させた画面のスクリーンショットに「うざいうざいうざい 殺したい」とのメッセージを添えて送信した。
本件当時、被告人のEに対する債務はなお342万円余が残っていた。

藤本氏一審判決要旨より

弁護側:なぜ実行犯Dは当初の供述を変えたのか?

この事件には、極めて不自然な点があります。実行犯は当初、警察の調べに対し「自分一人でやった」と供述していました。
それがなぜ、突然「藤本さんに指示された」と語り始めたのでしょうか。

なお、Dは逮捕当初、本件は一人でやったことである旨の嘘をついていたが、その後、被告人に指示されて本件襲撃を行った旨話すようになった。
Dはそのように供述を変えた理由として精神鑑定の担当医と話すうち、被告人は外でのうのうと生活しているのに自分だけ捕まるのはおかしいと思うようになって本当のことを話すことにしたなどと説明している。
これはDが捜査段階の途中で供述を変えた理由として不合理なものではなく、Dが捜査段階の当初には被告人の指示の存在を述べていなかったからといって、D供述の信用性が損なわれるとはいえない。

藤本氏一審判決要旨より

弁護側:藤本氏宅に入り浸る実行犯
実行犯は自宅にWi-Fiがないという理由で、藤本さんが仕事で不在の日中、毎日藤本さん宅に入り、入り浸っていました。

Dは本件犯行の二、三週間前からは被告人の家に午前5時頃から午後10時過ぎ頃まで滞在させられ、家事や子守りなどをさせられる生活を強いられていた。

実行犯D一審判決要旨より

弁護側:藤本氏が不在の交流
藤本さんが外で汗を流している間、実行犯は情緒不安定な藤本さんの妻や、3人の子供たちと日常を共にしていました。

第一審公判での被告人供述
Dは勤め先で起こした器物損壊の損害賠償金の取り立てから逃れるため、平成30年頃から私の家で生活するようになったが、生活費を払わないまま連絡がつかなくなっては困ると思い、200万円の借用書を作成させた。
その後、実際に連絡がつかなくなったことから、借用書に基づきDが200万円を支払うことで、Dと合意した。

藤本氏一審判決要旨より

弁護側:外部からの暴力的な影
さらに、妻の父親(義父)が、実行犯に「指を詰めろ」と迫り、保険金のパンフレットを渡すなど、激しい圧力をかけていた事実があります。

被告人によると、I(被告人妻)やその父(被告人義父)は、Iがうつ病になった、これはDのせいであるとしてDに金を要求し、指詰めを示唆することまでしていたとのことであるが、被告人の供述によっても被告人がIやその父を止めた形跡はなく、少なくとも被告人はこれを黙認していたといえる。家族の情報が記載された戸籍謄本を預かるという異例な行為についても同様である。

藤本氏一審判決要旨より

令和4年3月4日から同月24日までの被告人及びDの行動等
Dは、令和4年3月4日、携帯電話機で「指保険金」「指 値段 保険金額」「どの指が高いか」などと検索したり、「子供ら送ってから、指のことI(被告人妻)に聞いてから1人で行く」とのメッセージを被告人に送信するなどした。同日、Iと同人の父であるJとの間で、J「パンフレットもろたか?」、
I「もろてきよったで!」、J「どない?入ったからいうて、すぐに金にならんからな。何回か保険料を払ってからやな。」、I「まだ目通してないっぽいわ 何させてもトロいからな」とのメッセージが交わされた。
Dは、同年3月上旬頃、自身を被保険者とする終身保険(災害特約や医療特約を付し得るもの)のパンフレット(提案書)を受け取った。
被告人は同月23日、Dに対し、「チャリうるなり おばあにカネもらうなり 5000円くらいつくって」とのメッセージを送信し、翌24日、Dは自転車1台を代金4000円で売った。

藤本氏一審判決要旨より

弁護側:被告人の妻、義父の報復を恐れ被告人に罪を被らせたのでは?
藤本さんが不在の自宅という「密室」で、本当に指示を出したのは誰だったのか。実行犯が「単独犯」から「藤本さんの関与」へと供述を変えたのは、日中ずっと共に過ごしていた「妻側」の報復を恐れ、身代わりを立てた結果ではないのか。 その疑念を、裁判所は一顧だにしませんでした。

リーガルファンディングの問いかけに対しての判決要旨の照らし合わせは以上です。
リーガルファンディングの詳細を見た後に判決要旨をみるとSNS上で最初に感じた印象とかなり変わりました。
とはいえ、私はこの裁判を見たわけでもないですし、藤本氏の有罪無罪を問いたいわけでも、証明したいわけでもありません。
よく、「日本の司法は!」というような声をSNS上で見かけますが、確かに司法は完璧ではありません。
それは司法以外のことにも言える事です。(もっと言えば我々自身も)
しかし、「殺したい」というメールだけで強盗殺人未遂罪で有罪になることは普通ありません。
裁判傍聴の経験がなく、「日本の司法は!」とSNS上で叫んでる人たちが思っているほど日本の法曹関係者たちはそんな酷い人たちではありません。
もちろん過去に冤罪事件も起き、多々、過ちを繰り返してきた事実もあります。
そうならないよう、私たち自身も切り取られた事件の表面だけを見て判断するのではなく、立ち止まってしっかり調べ考えることが大事なのではないでしょうか。

本日、時間がなく、判決要旨の照らし合わせで終わってしまいましたが、この強盗殺人未遂事件に関しては、また後日、ゆっくり詳細を伝えたいと思います。









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コメント

13
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noteさん

図書館で読めるとは、データベースになっているということでしょうか? 検察庁に行っても、事件の関係者じゃなかったら読めないのではないでしょうか? 検察庁で刑事記録を閲覧出来たことはございますか? 事件とは無関係だけど刑事記録を閲覧出来た経験はございますか?

ひとりアメリカ大統領選挙 a.k.a 裁判傍聴人 田辺朋之のプロフィールへのリンク
@noteさん さん

それはわかりませんね

noteさんのプロフィールへのリンク
noteさん

判決要旨はどこで読まれましたか?

ひとりアメリカ大統領選挙 a.k.a 裁判傍聴人 田辺朋之のプロフィールへのリンク
@noteさん さん

検察庁に行けば手続きは面倒かもしれませんが裁判記録も読めると思います。 県立図書館などの大きい図書館であれば扱っている可能性もあります。

藤本宏輝受刑者の再審請求騒動について|ひとりアメリカ大統領選挙 a.k.a 裁判傍聴人 田辺朋之
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