兵庫県立の2病院で計3件の医療事故 CT検査で「1cm大のしこり」発見も担当医らが報告を見落とし…「ステージ3」に進行し高齢男性が死亡
兵庫県は18日「兵庫県立はりま姫路総合医療センター」と「淡路医療センター」で、計3件の医療事故があったことを明らかにしました。
兵庫県によりますと、2022年1月、「旧姫路循環器病センター」(のちの「はりま姫路総合医療センター」)で、県内在住の70代の男性が腹部大動脈瘤の手術を受けるためCT検査を行った際、「肺に1cm大の肺結節(しこり)あり」という診断がカルテに記載されていましたが、主治医はこの記載を見落とし、男性への説明はなされませんでした。男性は同年3月、胸部の大動脈瘤の手術を受けるため、同病院で再びCT検査を行いましたが、その際、1月の検査で確認されていたしこりに増大が認められたため、担当した放射線診断科の医師は『肺がんの疑いがある』として、呼吸器内科での追加精査等の必要性などについてCT報告書に記載しました。しかし、これについても別の主治医が再び記載を見落とし、男性への追加の対応は行わなかったということです。
男性は翌2023年の5月に肺炎の症状が悪化し、はりま姫路総合医療センターに緊急入院。その際に、前年のCT報告書から、「胸部のしこり」についての診断を見落としていたことが発覚したということです。精密検査の結果、男性は既に肺がんの「ステージⅢA期」まで進行していることが判明し、翌月から肺がんの治療を開始しましたが、翌年に死亡したということです。県は病院側の過失を認めたうえで、既に遺族とは和解が成立していて、損害賠償として遺族に891万1000円を支払う予定だということです。
病院側は再発防止策として、CT検査などで、放射線診断科の医師が重要と所見した内容について、診察や手術を行う主治医や担当医が見落とすことがないよう、報告書に「重要」という新たな欄を設けチェックを入れるようにシステムの運用を変更したほか、診療科内での情報の共有や記録の確認を徹底するよう関係職員への周知を行ったということです。
また、去年2月、同病院で県内在住の70代の女性が右股関節の脱臼骨折で入院した際には、一週間後に人工股関節の全置換手術を行うまでベッドで安静にさせる間、体内に血栓ができないよう「フットポンプ」と呼ばれる血栓予防の装置を施していましたが、女性が3日後に突然意識が混乱する「せん妄」の症状が出たため、担当医はフットポンプの使用を中止しました。本来、こうした場合は、フットポンプの代わりに抗血栓薬を投与したり、手術前に血栓の有無を十分に確認するなどの処置が必要でしたが、担当医はこれらを行うことなく女性への手術を実施したということです。女性は手術中に「肺血栓塞栓症」を発症し、一時心停止状態となり、病院は開胸手術によって血栓を除去するなどし、女性は意識を取り戻しましたが、手術後に言語障害や歩行障害が残ったということです。女性はその後のリハビリで一部を残し症状は回復し、既に退院しているということです。
一方、洲本市の「兵庫県立淡路医療センター」ではことし1月、県内在住の50代女性に卵巣腫瘍の腹腔鏡手術を実施した際に、使用した医療機器のネジがお腹の中に残ったまま手術を終えてしまっていたということです。ネジは直径5mm程度の金属製で、看護師が医療機器からネジが脱落しているのに気づき、レントゲン検査でネジが残留していることを確認したため、同日中に再手術を行いネジを除去したということです。女性の術後の経過に問題はなかったということです。
兵庫県の病院事業管理者は、「県立病院として、安全な医療の提供に努める中で、このような事案が発生したことについて、大変申し訳なく思っております。今後より一層、医療安全対策の取り組みを進め、再発防止に努めてまいります。」とコメントしています。