外交・安全保障問題をはじめ、物価高や少子化問題など、問題山積のわが国。子育てする人、また、その予備軍ともいえる若い層からは、将来が不安で子どもが産めないという声も聞かれる。
「日本国内に居住の妊婦及び0~5歳児の保護者約2万人に 『子育てで困っていること・不安なこと 』について聞いたところ、『子育て・教育の費用や育休中の経済的負担が大きい』が 全体の44.2%。次に多かったのが『子育ての心身への負担が大きい』で28.3%だったといいます」
こう話すのは、危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏。
「妊婦さんや小さなお子さん連れの方は、傍で見ている以上に移動や外食、買い物などに困難を感じるものです。体力的な問題だけでなく、心理的負担もかかっていることを想像し、時には配慮してさしあげることも重要な社会貢献となります」
今回取材に応じてくれたのは、30代で育休中の会社員Sさん。Sさんは昨年、妊娠9か月の時、新幹線自由席を利用する必要が生じた。その際、車両内は満席で、デッキにも大きなスーツケースを持った乗客が複数いたため、車両内の通路に立ったという。しかし、本音では一刻も早く座席に座りたかった、とのこと。
そもそも、妊娠9か月という大変な状況で、なぜ指定席を予約しなかったのか。
「祖母が脳出血で倒れて、急きょお見舞いに行くことが決まったからです。木曜日に倒れたと連絡があり、土曜日に行くことにしましたが、三連休だったせいか、すでに朝の時間帯の指定席は取れませんでした。
当時はまだ普通に通勤もしていたのですが、お腹がよく張るようにはなっていて、乗っているのは小一時間とはいえ、座りたいと思いました。
その頃、通勤電車では、立っているだけで必ずといっていいほど、どなたかが席を譲ってくれていたものですから、新幹線でも『誰かが譲ってくれるかも』という期待感がありましたが、いやらしい話、念のため、わざわざ優しそうな風貌の方を選んで横に立ちましたね」
Sさんが横に立ったのは、30代くらいに見えるスポーツマンタイプの男性だった。スマホをいじっておらず新聞を読んでいたため、何となく「常識的そうだ」と感じたという。
だが、待てど暮らせど、その人物はおろか、周囲の誰も席を譲ろうとはしてくれなかった。しかも、やがて車両が揺れ、お腹が急にかたくなり、Sさんに緊張が走った。
「お腹がカチコチになったので、ゆっくりさすって深呼吸していたんです。すると、私があてにして横に立った30代くらいの男性が『指定席、空いてるかどうか調べれば良くないですか。私、まだ2時間以上乗るので譲れませんよ』と話しかけてきたんです。
譲らない宣言はまさかでしたね。しんどくなり始めてから声をかけられたので、お腹をさする動作をパフォーマンスだと思われたのかもしれません」
とSさん。在来線や地下鉄ではほぼ100%座席を譲ってもらえるが、新幹線は料金が高いので、いくらお腹の大きな妊婦でも譲りたくないものなのでしょうか、と最後に述べた。
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※本記事で使用している写真はイメージです
【取材協力】平塚俊樹:危機管理コンサルタント【聞き手・文・編集】笹塚茉奈美 PHOTO:Getty Images【出典】こども家庭庁委託事業 妊婦や乳幼児とその保護者を取り巻く生活実態調査 調査結果報告書 令和7年(調査は株式会社 日本能率協会総合研究所 )