共通テスト地理がいかに「ヤバい」科目かを解説
まず最初にことわっておきますが、以下は、大学受験の共通テスト社会において、少しでもいい点を取りたいという人に向けて書いております。
地理という学問を研究されている教授・先生方や、地理を学び直している社会人の方へ向けたものでは一切ございません。それは尊敬に値することだと認識しております。
共通テスト社会において、特に理系が選ぶべき科目が「地理」だとされています。その理由は、「コスパがいい」「取りやすい」ということらしいです。
しかし、結論から言うと、地理という科目は選ぶのをやめるべきです。
その理由を、ここで詳しく説明します。また、「それでも地理がやりたい」と固執する人に向けて、その条件を最後に述べます。
一応俺は、現役と一浪時にセンター試験で地理を選び、2年間真面目に努力しました。そのうえでの意見だということをお知り置きください。(現役77一浪71だから、一般的な努力はしているといえる点数。)
・地理がヤバい理由①「出題の振れ幅がおおきすぎる」
地理は、日本・世界の社会・地理について、ひろく扱う科目ということになっています。その性質上、実質、「なんでも出していい科目」です。
「原理・原則にもとづいて考えれば解ける」(ただしその原理・原則なるものは不確実であるし、未知の問題に適応するとなると「応用力」という名前の才能が必要。)のが地理のコンセプトなので、受験生がみたことないグラフ・データでも出していいのです。それができなかったら、「キミは地理的思考力がないのね」といって減点される、それが地理という科目です。
したがって、どんな問題が出るかは、実際に試験を受けてみるまで分かりません。ここがヤバさのひとつめ。
そこで、これに対策するには、たくさん過去問を解いて出題意図を確認したり応用力を鍛えよう!という対策が考えられます。「過去問研究」の第一歩ですね。
ただ、ここで新たな問題が浮上します。
・地理がヤバい理由②「過去問演習がほぼできない」
地理は、扱うデータが現代の社会なので、そのデータは常に変動し続けます。歴史と違い対象が現在だからです。
つまり、20年前の過去問をやってしまうと、ヘタなデータが目に入り危険だということになります。したがって、20年前の問題とかは、やってはダメなのです。だいたい、10年前までが限度と言われています。
つまり、対策が必要そうな出題形式・難易度なのに、その対策の材料が限られてしまう、ということです。
ではどうしようか。
そう、駿台、河合など、模試の過去問をやるという対策が考えられます。
しかし残念ながら、ここでも問題が浮上します。
・地理がヤバい理由③「模試の問題演習もできない」
共通テスト地理は、どうやら国語などと同じく、模試と本番の過去問では「感覚」「頭の使い方」というものが異なって、「模試は質が悪い」ようです。模試の問題演習をたくさんやると、かえって点数がさがる、ということさえもあるようです。
したがって、模試の問題を解くという対策も封じられることになります。
地方の現役だろうが都会の12浪だろうが、どんな受験生でも、演習量でたたきつぶすことはできないということです。人類皆平等に、本番の過去問10年分くらいで戦わないといけない。
そうなると、どういうことが起きるでしょうか?
・地理がヤバい理由④「応用の才能が無い人は一生共通テスト地理は解けない。」
そう、後天的努力を封じられているのだから、先天的感覚・先天的センスというものだけで点数の差が決まることになります。そのセンスとは、具体的には、「応用力」です。
数学でも同様ですが、青チャートを解いただけで東大数学満点取れる人がいる一方で、旧帝大の過去問を50年分すべて解いても東大数学で半分しか取れない人もいます(後者は俺です)
その差は、「応用力」があるかないかですが、応用のもととなる原理・原則は人に教えてもらえるけど(数学でいえば青チャートが該当)、「応用力」は誰かに教えてもらうことではなく、その人自身の「地頭」などに依るところが大きい。
努力をする・しないの以前に、努力をする選択肢がこの世のどこにも存在しないのです。
そして共通テスト地理は、才能(応用力)のウェイトが大きい科目です。もとから地理ができる人が「地理はこう勉強しよう!」と、たかだか1回80%を取ったくらいで偉そうにもの申すせいで、できない人は、自分の才能がないせいであることにも気づかず、無限の努力を強いられることになってしまう。努力なんてできないのに。
「現役のとき70%だったが一浪のときは90%だった、だからこれは努力だ。」と言う人もたぶん、いるでしょう。
しかしそれは、90%を取る才能があったのであり、その才能を咲かせる努力を一浪の時にしただけか、もしくは、1回90%を取れたのさえたまたまであって、もしその人が来年受けていたらふたたび70%を取ってしまう、という可能性があります。一概に「90点を安定して取る実力があり、なおかつその実力は先天的ではなく後天的に身に着けたのだ」と断ずることができない。
まだまだ、地理をやめた方がいい理由のリストは続きます。
・地理がヤバい理由⑤「地理を解くことで、その後の国語に悪影響を及ぼす」
共通テストは2日間あり、1日目の最初、つまり、試験の最初の最初に社会はあります。
このときに地理を解き、うまくいけばいいですが、悪ければ「あそこで3選んだけど、考え方によっては4か…?」という不安を心の片隅におきながらその後の国語を解くことになります。
国語はみなさんも知っての通り、「メンタル」が大事な科目です。
その時に、余計な不安を抱え込むという点で、地理は問題解く時にあまり頭を使わない歴史選択より不利です。
また、それだけではありません。もし万が一、地理がうまくいき、確信をもって9割を取れたとしても、不利です。
人間の脳は、決断を重ねると、疲れていき、後半では誤った決断を下してしまうようになります。これはdecision fatigue(決断疲労)という概念で、調べてくれたら、専門的な記事などが出てきます(俺のデタラメではないということ)
したがって、試験中に頭をフル回転させて決断をしまくらなければならない地理選択の脳は、我々世界史選択より疲れている、といえます。
よく、終わった科目のことは忘れて切り替えよう!とか言いますが、人間の頭は、何かを意識して忘れることはできないので、意識しないようにしても、心の片隅には必ず、地理での失敗や不安が残り続け、国語に悪影響をおよぼします。そのようなリスクを取ることは、はたして本当に、「合理的」「コスパがいい」でしょうか?
・地理がヤバい理由⑥「業界があまり成熟していない」
業界というのは、大学受験業界のことです。具体的には、予備校講師の数、参考書の数として定量化できます。
社会のなかでもっとも先生が多く、もっとも問題集が多いのは、どうみても歴史です。
歴史に比べると、地理はやはり、採用している大学が少ない=選択者も少ない=カネになりにくいこともあって、地理を専門にしている先生はどうしても少ない。ちなみに公共・倫理はもっと少ない。そうなると、参考書は予備校の先生が書くものだから、参考書だって少なくなる。
これは理由①にもつながるのですが、後天的努力をしづらい理由の一つになります。
業界が成熟していないのは、理系の地学、公共倫理(政経)にもあてはまることです。同じ理由で、これらも選ばない方が良い、ということになります。
・地理がヤバい理由⑦「地理選択のジレンマ」
俺が発見した、「地理選択のジレンマ」という現象を説明したいです。
地理選択のジレンマとはなにか?
まず、大体の人が地理を選ぶ理由ってなんでしょうか?
それは「ラクして時間をかけずに点取りたい」だったはずです。
しかし、11月や12月になると、誰だって不安になってきます。勉強の計画だって、当初の想定と違って進みが遅いかもしれない。模試で70点を取り不安になることだってあるでしょう。
地理でも、80点を取りたいな、安定させたいな、そう思うのではないでしょうか。
そうした時に、どうしても、勉強時間が増えたり、暗記事項を人より多く覚えるという選択をしてしまうものです。それが直前期の受験生心理です。
しかし、それは「ラクして時間をかけずに点取りたい」という当初の希望に反してはいないでしょうか?ここに、地理選択が抱えるジレンマ=矛盾があります。
そして、次の結論にいたるわけです。
「同じ時間をかけるなら、より安定する世界史に時間をかけた方が結局安定したじゃん……」と。
勉強すればするほど、自分が当初地理を選んだ理由に矛盾していく。これが地理選択のジレンマです。
以上、7つが地理選択を共通テスト社会ではやめるべき理由です。
ただ、この世にはどうしても選びたい人がいるでしょうから、「こういう条件をクリアするなら」という条件を4つ述べます。
地理選択を貫いてもいい条件①:センスがあること
今まで言ってきたことは、すべて、センター・共通テストの地理のセンスや「応用力」という地頭に恵まれなかった凡人側の意見です。
センスがある人は、それこそ勉強しなくても9割が安定する「感覚」があるのでしょう。(実際にみたこともある。ただし、すごく少ないが。)ならば、その強みは活かすべきです。たしかにセンスがあれば、ノー勉でもいける世界ではあり、そこが地理の唯一の魅力ではあります。
ただし、理由⑤の「国語への悪影響」は人間なら皆あてはまってしまうので、そこは覚悟すること。
地理選択を貫いてもいい条件②:社会が7割や6割でも構わないし、全体の得点が80%しかなくてもいい人
今まで言ってきたことは、「何もセンスがない凡人でも、社会で9割安定するかどうか」という視点にたった側の意見ではあります。
世の中には、社会が7割や6割でも関係ないという人もいるでしょう。その人も地理を取ってもいいかもしれません。
ただし、一科目酷い点数があるとものすごく足をひっぱるので、全体で9割はほぼ不可能になることは覚悟してください。(9割は100点しか失点できません。そのなかで40点地理で落としたとして計算してみると、いかに大変なことかがわかると思います。)
それでもいいという人が選ぶ科目です。
地理選択を貫いてもいい条件③:不合格でも泣かないこと
キツい言い方ですが、地理選択には、共通テストを失敗して不合格になっても泣く資格がありません。だって、地理を選んだのは自分であって、環境や才能や時代のせいではないから。
医学部受験を強制する家庭はあるけど、地理選択を強制する家庭は聞いたことがありません。
不合格と「科目のラクさ」を天秤にかけて、落ちてもいいからラクしたい・勉強なんかしたくない、そう言い張れる人は地理を選んでもいいです。
地理選択を貫いてもいい条件④:地理選択のジレンマに流されず、勉強しない姿勢を貫ける精神力があること
上でも言ったように、「地理選択のジレンマ」に流されて勉強時間が増えてしまっては、地理の最大の強みを自分で殺すことになります。
逆に言うと、どんなときも地理に関しては勉強時間ほぼゼロを貫ける精神力があれば、地理を貫いてもいいです。
ただし、特に現役に言っておきますが、直前期は相当不安です。その不安に流されない人はすごく少ない、と思う。


コメント
5「原理・原則にもとづいて考えれば解ける」(ただしその原理・原則なるものは不確実であるし、未知の問題に適応するとなると「応用力」という名前の才能が必要。)のが地理のコンセプトなので、受験生がみたことないグラフ・データでも出していいのです。それができなかったら、「キミは地理的思考力がないのね」といって減点される、それが地理という科目です。
受験したことがないので地理の試験がどんなものか分かりませんが、アラを探して見つけられてはバンバン減点される、恐ろしい世界なのですね
他教科がセンターから共テになるタイミングで大幅に難化するのに対して地理はセンター2013からすでに難化してるので質の高い過去問の量は多いですよ
地理は才能が無かったので倫理にしました。
良い選択やった。
主張は一理あると思う。受験科目としての社会の良いところって、暗記中心で点数が安定しやすいことだが、共テ地理は暗記で解けないようにできてるのでその安心感を得にくい。
地理自体はとても魅力のある科目だとは思うが…