物言う株主が「カドカワ夏野社長の解任を」取締役会は反発 香港系ファンドが筆頭株主化、退陣要求
KADOKAWAは14日、同社株主であるOasis Japan Strategic Fund Y Ltd.が提起した取締役解任の株主提案に取締役会として反対する表明を出した。同提案は、6月24日開催予定の第12期定時株主総会において、夏野剛取締役(代表執行役社長CEO)の解任を求めるものである。
提案株主であるオアシスは香港に拠点を置く投資ファンドで、これまで多くの国内上場企業に対する株主提案を行ってきたアクティビスト、いわゆる物言う株主として知られる。
筆頭株主の海外ファンドが提案
同社は直近よりKADOKAWA株式を急速に買い増ししており、3月18日には17,655,800株、議決権割合は11.89%に到達。これによりオアシスが新たな筆頭株主となり、それまで筆頭株主の地位にあったソニーグループが同位置から外れることとなった。5月現在の保有割合は13.76%となっている。→関連記事で詳しく
そしてこの度、同社がKADOKAWA夏野剛取締役の退陣を求めており、オアシス側が下記の点を挙げ「取締役として著しく不適任」であると主張したことがわかった。
- ・一株当たり純利益が77.42円(夏野氏就任前)から33.34円(2026年3月期)と半分以下に低下し、自己資本利益率も約2.0%にまで落ち込む見込みである
- ・現経営体制が推進する「質より量」の戦略により、当社の中核たる出版IP創出セグメントが弱体化している
- ・フロムソフトウェア(ゲーム開発)を擁しながら、自社によるグローバル・パブリッシングを実現できておらず、グループ全体の成長やIPの収益化に十分結び付けられていない
- ・株式会社動画工房(アニメ制作)に関し、買収から1年で同社に係るのれん27億円を全額償却し、ところざわサクラタウンでも約54億円の減損を計上している
- ・大規模なサイバー攻撃により約24億円の特別損失を計上し、下請法違反の勧告を受ける等、内部統制及び ガバナンスに重大な課題がある
これに対しKADOKAWA取締役会側はいずれの批判も「当社の実情を正確に反映していない」としたほか、一部に誤りが含まれるとして、提案は「中長期的な企業価値の向上及び株主の皆様共同の利益の最大化の観点から適切ではない」と結論付けた。
取締役会が反対の根拠として挙げたのは、夏野体制が主導してきた事業構造改革の必要性。
夏野氏が代表に就任した2021年以降、「グローバル・メディアミックス with Technology」を基本戦略に海外拠点の拡大や出版IP創出体制の強化を進めており、売上高は拡大傾向を維持、海外売上も中期的トレンドとして拡大傾向にあるとした。
夏野体制下での成長アピール、一部批判には「事実に反する」と説明
一方で、出版・アニメ市場の環境変化や原価高騰、ヒット作品の不振などにより営業利益は計画を下回ったことを認めつつも、同日付で新たな中期経営計画を公表し、2032年3月期に売上高4,000億円、営業利益380億円、ROE9.4%、EPS180円の達成を目標として掲げた。
また、サイバー攻撃への対応をめぐっては、攻撃を防止できなかったことを重く受け止めるとしながらも、夏野体制下でのITインフラ強化が進んでいたことが早期把握と被害拡大防止につながったと強調。
こうした取り組みがなければ「実際よりも大きな被害が生じる事態となっていたと確信している」と述べ、体制の必要性を示した。