今村聖奈とともに挑む女性騎手初の歴史的一戦、強運オーナー「ニセの近藤健介」ファンレターからつながった“奇跡のパズル”
読書好きな近藤氏は馬名にも小説のタイトル名を反映させている。会社名「ツナグ」や会社名義で所有したもう1頭の「アサガクル」は辻村深月の作品名にちなんだもの。「ジュウリョクピエロ」という名は、伊坂幸太郎の名作から取られたもので現実の苦しみとしての重力に縛られず、軽やかに舞うピエロのように、ターフを駆け抜けてほしいという願いが込められている。 「忘れな草賞はメンバーもそろい、14頭立ての大外枠でした。さすがに厳しいと思ったらあっという間に並んで抜け出し、最後は抑えていた」 今回のオークスでも手綱を託すのは今村聖奈騎手。1年目の22年には51勝を挙げ、女性騎手のJRA年間最多勝記録を更新した。その後は伸び悩んだが、筋力トレーニングに励むなどし、再び存在感を発揮し始めている。JRAの日本人女性騎手として初のクラシックレース騎乗という歴史的一戦を前に、近藤オーナーは「連勝しているし、馬と合っている」と鞍上へ全幅の信頼を寄せる。 仕上がりも上々で1週前の14日には今村騎手を背に栗東Cウッドコースで併せ、ラスト11秒1とシャープな動き。寺島師は「しっかりやるように伝えました。やれば、10秒台が出ましたね。体もふっくらしている」と高評価した。 ますます期待が高まる中、ふだんは出無精で競馬は専ら自宅観戦という近藤氏だが、さすがに今回は現地に向かう。 「オークスは5番人気ぐらいでしょうか。ひょっとしたら勝つかもしれないので奥さんと一緒に観戦に行きます」 忘れな草賞の勝ち馬がオークスを制すれば、19年のラヴズオンリーユー以来6頭目。そろそろ周期的に順番が回って来るのではないか。ジュウリョクピエロにはそう思わせる魅力が詰まっている。 (文・山本智行) 山本智行/1964年岡山生まれ。スポーツ紙記者として競馬、プロ野球阪神・ソフトバンク、ゴルフ、ボクシングなどを担当。各界に幅広い人脈を持つ。趣味は旅打ち、映画鑑賞、観劇。高校時代は元巨人・川相と投げ合い、B'zの稲葉浩志とは中高の同級生。好きな馬はオグリキャップ、キングヘイロー、ナリタトップロード。
山本智行